手根管症候群の治療・手術・ストレッチ・サポーター・リハビリ・全知識
手の親指、人差し指、中指に痺れがあったりしませんか?
もしかすると手根管症候群かもしれません。
今回は手を使うスポーツや仕事・出産前後に多い、手根管症候群の治し方について解説していきます。
手根管症候群とは
手首にある手根管という筋肉や神経の通り道であるトンネルが何らかの原因によって、圧迫をされる事によって生じる手の障害です。
手根管の中に通っている正中神経という神経が圧迫される事によって症状が出ます。
手根管症候群の症状
手根管症候群の主な症状です。
皆さん当てはまりませんか?
チェックしてみてくださいね。
●手の主に親指、人差し指、中指側が痺れ、痛みを伴う。
●手のひらの中指から親指側の感覚が鈍くなる
●夜中や明け方に症状がひどくなる。
●手に力が入らなくなって、ペンを持ったり、ふたを開けるという動作が困難になる。
●洋服のボタンを留めたり、小銭を掴んだりする事が困難となる
初期では中指にシビレが出る事が多いです。
進行とともにシビレの範囲が広がっていきます。症状は日によって・時間によって変動があります。
●常に痺れが続いたりするようになります。
●親指と人差し指で丸を作るようなOKサインが出来なくなります。
●指の感覚が感じにくくなります。
●親指の付け根の母子球と呼ばれる部分の筋肉が萎縮して痩せ細ってきます。
※小指側には痺れや痛みが出ません。
もし小指側に痺れや痛みが出る場合は肘部管症候群の可能性が高いです。
参考⇒肘部管症候群の治し方
手根管とは体のどこの部分?
手首にある小さな骨
●大菱形骨
●小菱形骨
●有頭骨
●有鈎骨
という骨とその上を通る靭帯によって囲まれたトンネルを手根管といいます。
更に、このトンネルの中を
●橈側手根屈筋腱
●長母指屈筋腱
●浅指屈筋腱
●深指屈筋腱
という主に手首や指を曲げる作用のある筋肉と
●正中神経
という神経が通っています。
手根管は非常に狭い空間の中を腱や血管、神経と多くのものが通っているのです。
手根管症候群の原因
指や手首の使いすぎ(オーバーユース)
手首や指の使いすぎによって手根管のまわりの炎症が原因になるケースがあります。
特に野球、テニス、ゴルフなど手首を使うスポーツに多いとされています。
また仕事で手を酷使する人、最近ではPCでのデスクワークの人なんかにも多く見られるようになっています。
手根管を通る筋肉の腱が炎症を起こし腱鞘炎になることも原因のひとつです。
手首の骨折や変形によるもの
骨折後の骨の変形などによって手根管を圧迫してしまう事によって発症する事もあります。
他の病気やホルモンバランス異常
詳細な原因は明らかになっていませんが、甲状腺機能機能障害、糖尿病、リウマチ、血液透析などの影響により発症する事もあるといわれています。
また妊娠や更年期障害によるホルモンバランスの変化も原因となったりします。
手根管症候群の診断と検査
手根管症候群かどうかチェックできる方法を教えます。
チネル徴候
手根管の部分(手首の下あたり)を指や道具を使って叩くと、指先に痺れや痛みが生じます。
正中神経の圧迫部分を刺激する事によって症状を誘発させるため、症状が出たら手根管症候群の可能性が非常に高いです。
ファレンテスト
両手の手の甲を合わせて写真のように押し合います。
手根管を圧迫する事によって症状を誘発するテストでしばらくして手に痺れや痛みが生じたら手根管症候群である可能性が非常に高いです。
パーフェクトOテスト
親指と人差し指でOKサインのように丸を作る動きをします。
正常では右手のように円形の丸を作る事が可能ですが、左手のように指が曲がってしまい丸を作れない場合を異常とします。
手根管症候群の治療・手術
手根管症候群の治し方は保存療法と手術の2種類があります。
保存療法
手術などの外科的処置を行わない治療法です。
消炎鎮痛剤やビタミンB12などの飲み薬が処方されたり、サポーターやシーネ固定などで安静にして経過をみます。
またスポーツや仕事などによるオーバーユースによって症状が起こっている場合は休止し、手や指にかかる負担をなくす事が大切です。
腱鞘炎がある場合は局所に注射をして炎症を抑える事もあります。
手術
保存療法で経過をみても治らない場合や手の筋力低下が著明にみられ生活に大きく支障をきたしている場合などでは手術を行います。
手根管を圧迫している靭帯を切除したり、ガングリオンを除去したりする手術が行われます。
症状や手根管症候群を起こしている原因によって手のひらを切開して行う手根管開放術と、身体に負担の少ない内視鏡手術で行われます。
手術自体はおおよそ30分前後といわれ、約一週間後には抜糸し、6〜8週間で痺れは引いてきます。
手根管症候群の手術費用
手術費用は病院や個人によっても異なりますが、おおよそ下記の通りです。
●手根管開放術・・・15,000円前後
●内視鏡手術・・・ 30,000円前後
ちなみに保険が適応されますので3割負担の場合の金額です。
手根管症候群の予防ストレッチとサポーター選び
手根管症候群になる多くの原因は使いすぎです。
なるべく手首に負担のかかるような動作は避け、ストレスをかけない事が重要です。
肘から手首についている筋肉が硬くなる事で手根管への圧迫を強める事もあります。
手根管症候群のストレッチ・マッサージ
この筋肉を柔らかくするためのストレッチ、マッサージ方法をお伝えします。
※手根管を圧迫しているものが除去されない限りは症状の改善は困難です。
ストレッチを続けても症状がなかなか改善されない場合は医師の診断を受けましょう。
前腕部のマッサージ
テニスボールを床に置き、肘の内側から手首までの筋肉を圧迫しながらマッサージしていきます。
前腕部のストレッチ
」
肘を伸ばした状態で手首を手の甲側にそらして、反対の手で抑えます。
肘から手首にかけて伸びている事を感じながら30秒以上ゆっくりとストレッチしていきます。
手根管症候群のサポーターの選び方
手根管症候群は主に手首を手のひら側に曲げる掌屈という動きをする筋肉の負担がかかる事で起こりやすいです。サポーターはその掌屈の運動を制御するようなものが望ましいといえます。
またあまりキツく締めすぎないものが良いでしょう。
※手根管症候群を引き起こしている原因によってはサポーターでは解決しない事も多いため、その原因をしっかりと医師に診断してもらう事が重要です。
産後は手根管症候群になりやすい?
出産前後は急な体重増加やホルモンバランスの変化でむくみやすかったり、筋肉が疲労しやすかったりして手根管症候群になりやすくなります。
また産後は赤ちゃんと授乳や抱っこによって手首に負担がかかりやすく、手根管を圧迫しやすくなる事も影響しています。
手根管症候群と同じ症状が出る障害も
同じような症状が出てしまう障害もありますので紹介しておきます。
前骨間神経麻痺
●肘の少し下の部分で正中神経を圧迫して起こる障害です。(手根管症候群は手首です。)
●症状は手根管症候群と非常に似ていますが、感覚障害は生じないのが特徴です。
●筋肉の萎縮や力が入らないなどの運動障害が主となります。
前骨間神経麻痺の場合は浅指屈筋という指を曲げる筋肉が硬くなったり、緊張が高くなる事が原因で起こります。
円回内筋症候群
●肘にある円回内筋という筋肉によって正中神経が圧迫されて起こります。
●肘から下の部分を前腕といいます。この前腕を内側にひねるような動作を回内と呼び、円回内筋は前腕を回内させる機能があります。
●野球の変化球で前腕をひねったり、作業でネジを回したりする動作で回内動作を繰り返す人に起こりやすい障害です。
3つの障害の違い
●手根管症候群
●前骨間神経麻痺
●円回内筋症候群
はどれも似たような症状が出ます。
ですが神経が圧迫されている部位が違うというのが特徴です。
まとめ
手根管症候群は手首にある腱や神経の通り道であるトンネルの圧迫によって生じる。
手を酷使するスポーツや仕事をしている人、出産前後、ホルモンバランスの乱れなどで生じやすい
長期に症状が続く場合や生活に大きく支障をきたしている場合は手術をする事が多い。
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