疲労骨折の原因は3つ!治療と予防でスポーツに復帰しよう
スポーツ選手によく見られる疲労骨折。
トレーニングのやりすぎによって発症しやすい疾患です。
場合によっては長期離脱も強いられてしまう事もあります。
今回は疲労骨折について解説していきます。
疲労骨折とは
疲労骨折とは、ふだんは骨折が生じないような小さな外力が反復して繰り返し同じ部位に加わることで生じる骨折です。
まず小さな骨折をしてから、それが拡大していき、やがて明らかな骨折になってしまいます。
特にスポーツ選手に起こりやすく、オーバートレーニングやトレーニング環境が変化する事で発症する事が多いです。
スポーツをしている人はどの年代でも起こりやすいですが、10代の成長期の子はに多いとの報告もあります。
わかりやすいイメージとしては<span class="fc-r">針金を繰り返し折り曲げるような感じです。
強固な針金でも、なんども反復するとポキンと折れてしまいますが、疲労骨折も同じように生じます。
骨は常に再生と破壊を繰り返しています。
そのため修復もされるのですが、その修復のスピードよりも外力による損傷のスピードの方が上回ると疲労骨折を起こしてしまうのです。
疲労骨折の症状
明らかな原因がないのに、骨折している部位に運動痛が生じます。
安静時には痛みがなくなる事が多いですが、進行すると安静時にも痛みが生じます。
疲労骨折の原因
疲労骨折は主にトレーニングのやりすぎ(オーバーユー)によって生じやすいです。
他にも原因がある場合があります。
疲労骨折の原因①トレーニングによる過負荷による疲労骨折
疲労骨折の最も多い原因はスポーツのトレーニングによって繰り返し外力がかかる事です。
トレーニングメニューがハードになったり、練習環境が変わったり、靴が変わったりとこれまでにない負荷がかかる事によって生じやすくなります。
また身体の柔軟性や筋力不足、技術不足なども影響します。
疲労骨折の原因②日常生活で同じ箇所に負担がかかっている
歩く事が多かったり、力仕事、立ち仕事などで同じ箇所に繰り返し負担がかかる事でも疲労骨折が生じる場合があります。
日常生活は同じサイクルである事が多いため、気づきにくい外力です。
疲労骨折の原因③骨に必要な栄養素不足や病気によるもの
骨は常に壊されて新しいものが再生されています。
これを骨のリモデリングといいますが、カルシウムやビタミンなど骨に必要な栄養素が不足する事で疲労骨折を生じやすくなることもあります。
また女性に多いのですが、ホルモンバランスの乱れから疲労骨折に至る場合もあります。
エストロゲンという女性ホルモンには骨の吸収を抑制する働きがあります。
しかし、婦人科系の疾患などでホルモンバランスが崩れるとエストロゲンの作用が弱まり、骨の吸収が促進されてしまい骨密度が低下してしまいます。
よって疲労骨折になりやすくなります。
疲労骨折の好発部位
疲労骨折が生じやすいのは体重の負荷がかかる足の骨です。
特に多いのは脛骨(すねの骨)、中足骨(足の甲部分の骨)で、全体の50%を占めます。
他には肋骨、腓骨、足の内くるぶし、大腿骨に生じやすいです。
脛骨の疲労骨折
脛骨は疲労骨折の中でも最も生じやすい部位です。
スポーツ別に見ると陸上、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボールの競技者に多くみられます。
そのタイプには疾走型と跳躍型の2種類に分けられます。
疾走型
マラソン競技のように長距離を走る機会が多い人に起きやすいです。
脛骨の上1/3あるいは下1/3の境界部分に発症します。
跳躍型
バレーボールやバスケットボールのようにジャンプを反復する事が多い人に起きやすいです。
脛骨の前方部分の中央に発症します。
跳躍型疲労骨折の場合、骨の癒合が困難な事が多く手術となる場合もあります。
シンスプリントと疲労骨折は違う?
同じように脛骨に慢性的な痛みが生じる疾患としてシンスプリントがあります。
シンスプリントの場合は骨自体の怪我ではなく、骨の表面にある骨膜の炎症のため疲労骨折とは異なります。
レントゲンやMRIで見極めが出来ます。
疲労骨折の場合はやや狭い範囲の強い圧痛所見があります。
シンスプリントの場合は比較的広い範囲での圧痛と痛みの強さは疲労骨折よりは軽めとなります。
中足骨の疲労骨折
中足骨とは足の甲にある骨で、第1〜第5まで存在します。
ランニングやジャンプ、ターンなどの繰り返しによっては負荷がかかり疲労骨折を生じます。
好発するスポーツとしてはサッカー、ラグビー、バスケットボール、マラソンなどです。
特に第2と第3に起きやすいです。
第5中足骨の疲労骨折はジョーンズ骨折といわれサッカー選手に多いです。
肋骨の疲労骨折
意外と多いのが肋骨の疲労骨折です。
肋骨はあまり負担がかかるイメージがないですが、気管支炎や肺炎が長引き咳が続くことで肋骨に外力が加わり続け疲労骨折となる場合があります。
またゴルフのスイングも肋骨に負荷がかかり、疲労骨折になる場合もあります。
疲労骨折の治療方法
疲労骨折後の治療法はなんといっても患部の安静です。
骨の癒合が困難な場合や骨転移がある場合は手術を行う場合もあります。
最近では骨の癒合を早めるために超音波や体外衝撃波を使用する事も増えてきています。
これまでの骨折治療よりも期間の短縮が期待されます。
超音波骨折治療法
超音波骨折治療法とは、微弱な超音波を骨折部に当てて骨折治療を促進する方法す。
サッカーのデービッド・ベッカムや野球の松井秀喜も施術を受けました。
超音波による力学的刺激が骨癒合を促進する効果があります。
通常の骨折治療期間を早める事が可能です。
実際に日本の病院でも取り入れらてきて来ています。
毎日超音波を当て続ける事が必要であるため、簡易的な超音波機器を患者へ貸し出して、自宅で患者自身が治療を行うことも増えてきています。
体外衝撃波療法
衝撃波を患部に照射する治療法です。
欧米を中心に普及し、最近では日本でも行われるようになっています。
衝撃波を照射する事で、痛みを感じる神経の変性を起こして痛みを緩和させたり、新しい血管新生を起こす事で治癒を早めたりする効果があります。
アキレス腱炎や足底筋膜炎などにも効果があります。
疲労骨折の予防
疲労骨折の予防や再発防止には疲労骨折の原因を取り除く事です。
オーバートレーニングを避ける
疲労骨折の一番の原因はオーバートレーニングによる負荷です。
急にトレーニング量が増えたり、トレーニングする環境が変わる事で発症しやすいため注意が必要です。
また痛みがあるのに無理をしてトレーニングを続けない事も大切です。
硬い床面や足に合わないシューズの使用を避ける
地面が硬い場所でのトレーニングや足に合わないシューズの使用が疲労骨折の原因となります。
特に硬いアスファルトの上でのランニングや底の磨り減ったシューズの使用では、強い衝撃が足にかかってしまいますので注意が必要です。
トレーニングする場合を変えたり、まめにシューズを買い換えると良いでしょう。
柔軟性や筋力改善にて負担のかからないフォームにする
関節が硬かったり、筋力が弱ってしまう事で理想的なフォームが乱れて身体に負担がかかってしまう事があります。
トレーニング前のストレッチやウォーミングアップをしっかり行ったりする事が疲労骨折の予防に繋がります。
また、トレーナーや理学療法士などに身体のコンディショニングチェックなどをしてもらう事も予防となります。
まとめ
●疲労骨折はスポーツ選手に多く、繰り返しかかる外力によって発症する
●治療の原則は安静で、痛みがある場合はスポーツの休止が大切
●最近の治療法では超音波や体外衝撃波が効果的である