膝の痛み!半月板損傷の症状・治療・手術・テーピング・リハビリ全知識
スポーツをしていて突然、膝にペキッという衝撃が走ったことはないですか?
それこそが半月板損傷の症状です。
今回は半月板損傷の治療法とテーピングについて説明していきます。
半月板損傷になったら!適切な治療とテーピングでリハビリを
スポーツ選手の怪我でよく耳にする半月板損傷。
場合によっては長期離脱を余儀なくされるこのケガは、サッカー、ラグビー、バスケットボール、野球、スキーなど様々なスポーツで起こりやすい怪我です。
特にジャンプの着地の際や、ステップ、ダッシュ動作で膝にひねるストレスが加わる事で発症します。
半月板とは?
膝の関節の中に存在する線維軟骨という柔らかく弾力のある成分で出来ている組織です。
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)の間に存在し、内側と外側に存在し、それぞれ内側半月板、外側半月板と呼ばれます。
半月板の役割は?
大まかに半月板には以下の役割があります。
●関節の適合性をよくする
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)で膝の関節は形成されますが、関節面は凹凸があったりして骨だけでは適合性があまりよくありません。その凸凹による適合性を補っている役割があります。
●関節にかかる圧を分散させる
膝にかかる衝撃が一点に集中して、骨が損傷を受けないように、かかる圧を分散させる役割があります。
●衝撃のクッション作用
ジャンプ動作やダッシュ時などは体重の何倍もの負荷が膝にかかります。
その際に膝の軟骨や骨が摩耗したり損傷するのを防ぐためクッションのように緩衝する機能があります。
身体の中でもヒザに半月板はあります。他の関節は軟骨だけで守られています。ヒザは半月板と軟骨で二重に守られています。
それだけヒザは負担のかかりやすい関節という事です。
膝は足からの衝撃により負担が大きくかかりますが、半月板がその力を分散させている事で関節の機能を守っているのです。
半月板は2種類・内側半月板と外側半月板がある
半月板は内側にある内側半月板と外側にある外側半月板が存在します。
それぞれで機能や特徴が異なるため以下に説明していきます。
内側半月板
C型の形をしていて内側半月板は膝の内側にある内側側副靱帯、半腱様筋という筋肉と連結しています。
半月板自体の可動性は乏しいです。
外側半月板
O型の形をしていて、靭帯との連結はなく、半月板自体の可動性が大きいです。
その可動性は内側半月板の2倍といわれています。可動性が高いので損傷頻度は内側よりも少ないです。
半月板損傷になる原因
半月板は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)に捻れるストレスがかかる事で損傷しやすいです。
つま先が内側に向く方向に脛骨がひねる動きを内旋、反対につま先が外側に向く動きを外旋と呼びます。
膝は太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)で構成されています。
脛骨と大腿骨にひねるようなストレスがかかると関節を圧迫してしまい、半月板に負担がかかります。
内側、外側ともに強くひねるストレスがかかる事で半月板損傷は起こるのです。
半月板損傷の症状
半月板損傷の症状は6つあります。
●痛み
●腫れ
●膝の可動域が小さくなる
●キャッチング(膝を曲げ伸ばしした際に関節内に引っかかる感じがする症状)
●キビングウェイ(突然膝が崩れるように力が抜けてガクッとなる状態)
●ロッキング(損傷を受けた半月板が膝の関節に挟まり、膝を曲げ伸ばしする事が出来ない状態)
半月板損傷の症状を挙げましたが、実は半月板には知覚神経が通っていません。つまり半月板自体が損傷を受けても痛みは感じないのです。
半月板が損傷を受ける事によってその周辺にある筋肉や関節を包んでいる関節包と呼ばれる膜のような組織などが刺激を受ける事や、関節の適合性が失われてストレスがかかる事によって痛みが生じると言われています。
半月板損傷は治らない?
よく半月板は痛めると治らないといわれますが、半月板のほとんどの部位は血液が通ってなく自己修復は不可能であるためです。
そのため特にアスリートでは手術となる事も多いのが現状です。
しかし、半月板の外縁部では血液供給があるため、自己修復が望めます。
痛める場所と程度によって自己修復できるかどうかが変わってくるので、しっかりと医師の診断を受ける事が大切です。
また半月板はレントゲンでは写りません。
膝をひねって曲げたりして半月板損傷を疑うテストもありますが、正確な診断を望む場合はMRIで検査する事をオススメします。
半月板損傷の治療法
損傷の程度や部位によって保存療法か手術療法か選択されます。
保存療法
保存療法とは患部の切開や摘出などを行わない治療法の事を言います。
簡単にいうと手術はしないで治療するという事です。
●患部を温める温熱療法●関節内に栄養を与えるヒアルロン酸注射(※後述参照)、
●テーピング
●サポーター
にて膝の負担軽減させたりして経過をみます。
比較的、軽い症状であったり、損傷部が血液供給のある場所で自然治癒が望める場合、手術が出来ない損傷の場合は保存療法が選択されます。
またスポーツをそこまで激しく行わない人や日常生活レベルで支障がなければ問題ない人も保存療法を選択する事が多いです。
保存療法でも経過があまり良くない場合は手術を選択するようになります。
ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロンとは関節の中を満たしている関節液の成分です。
主な働きとして関節の潤滑油として衝撃を緩衝する、関節の動きをスムーズにする、炎症や痛み軽減するといった事があげられます。
手術療法
半月板損傷の手術は大きくわけて切除術と縫合術の2つ種類があります。
切除術
その名の通り損傷を受けた半月板を部分的に切り、取り除く手術です。
主に縫合術をしても回復が見込めない、損傷部位が血流供給の乏しい部分でくっつく(癒合)のが困難である場合に選択される事が多いです。
手術後、ほとんどは早い段階から体重をかける事が可能であるので、スポーツへも縫合術より早く復帰できる事が多いです。
一方、デメリットもあります。
元々あった半月板の一部が無くなるので
●半月板の役割である衝撃のクッションや関節の安定性が失われる。
●膝の機能が落ちる。
●将来的に膝の軟骨が変形を起こす
●変形性膝関節症になりやすい。
最近では可能な限り切除術を行わないように治療を進める事が多くなっています。
半月板損傷の治療法④縫合術
その名の通り、半月板の損傷部位を縫い合わせる手術です。
損傷部位に血流供給があり、縫合する事でくっつく(癒合)ことが見込める場合や縦断裂損傷では縫合術にする事が多いです。
●くっついて(癒合)してしまえば半月板本来の機能を取り戻すことが出来る
●将来的な予後も良好です。
デメリットは
●手術したら数週間は体重をかける事が出来ない。
●スポーツ復帰も遅くなる。
●まれに再断裂が起こる事もある。
スポーツ復帰に向けたしっかりとしたリハビリが重要になってきます。
リハビリは段階に応じて理学療法士が個別の身体評価、治療計画を作り
●膝の可動域訓練
●筋力訓練
●ステップ動作やダッシュなど動作の訓練
を行っていきます。
半月板損傷を防止にするには
半月板損傷はプロスポーツ選手でも非常に頻度の多いケガです。特に相手とのコンタクト時や転倒時では防ぎようのない事が多いです。
大腿骨と脛骨に捻るストレスがかかる事で発症します。
大腿骨は股関節、脛骨は足関節を形成している骨であるため、足関節と股関節の機能が重要である事があげられます。
足首と股関節の機能低下が半月板損傷の引き金になる事も!
足首のねんざに注意!
足首の捻挫の後遺症があると膝に捻るストレスがかかりやすくなります。
捻挫の後遺症で足首の可動域が小さくなっていたり筋力低下があると、扁平足または踵(かかと)が内側に倒れる回内足という状態になる事があります。
●足首のねんざで回内足になる事があります。
●回内足だと足首が不安定になります。
●足首が不安定だと脛骨にひねるストレスがかかりやすくなります。
このストレスによって半月板損傷が引き起こされる事があります。
股関節の動きに注意!
股関節も半月板損傷に大きく関わっています。
●股関節の筋力が弱いと安定性が低下します。
●安定性が低下すると大腿骨も不安定となりひねるようなストレスがかかりやすくなります。
これが引き金となって半月板損傷を引き起こす事もあります。
ヒザは足首と股関節にはさまれているため足首と股関節の影響を非常に受けやすいのが特徴です。
半月板損傷はテーピングやサポーターでリハビリを
テーピングやサポーターは膝を捻るストレスを軽減させる効果があります。
スポーツ復帰後に使用する事で再びケガをすることを防ぎ、プレーへの支障を軽減する事が可能です。
また一度受傷をすると怪我した時のイメージがプレーにも影響を及ぼす事があります。
そのイメージを払拭し、安心させる効果も期待できるのでオススメです。
半月板損傷のサポーターの選び方
サポーターは膝のひねるストレスを軽減させる効果のあるものをオススメします。
最近では膝の症状別にサポーターの種類があるので、半月板損傷用や膝の回転のストレスを軽減させる機能があるものを使用すると良いでしょう。
半月板損傷のテーピングの巻き方
テーピングは比較的簡単な巻き方を説明します。
※伸縮固定テープを使用します。膝の内外旋を制動するテーピングです。
①膝を軽く曲げた状態で膝のお皿の下から外側へ膝の裏を通り太ももまで斜めに巻きます
②反対の走行で同じように巻きます
まとめ
●半月板は膝にとってなくてはならない部分で、衝撃のクッション、関節の安定化などの機能を果たしている。膝に捻るストレスが原因となって損傷しやすい
●受傷部位、程度によって保存療法か手術療法か選択され、治療法、スポーツ復帰までの時間は異なるためMRIなどで正確な診断を受けることが望ましい
●足首、股関節の機能低下があると半月板損傷の原因となりやすい
●半月板損傷になったら正しいテーピングの巻き方でリハビリが必要
豊田早苗(医師)●文
桜井佑葵(理学療法士)●文
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