ジョーンズ骨折を全治へ!治療と予防ストレッチの全知識
ランニングやジャンプ要素の強いスポーツに多いジョーンズ骨折といわれるケガ。あまり馴染みのない名前ですが多くのスポーツ選手がこのケガに悩まされています。
今回はジョーンズ骨折について解説していきます。
ジョーンズ骨折とは
ジョーンズ骨折とは足の小指側にある第5中足骨と呼ばれる部分の疲労骨折です。
図のように足の指の根本には中足骨と呼ばれる骨が存在します。
親指を第1中足骨、そこから第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨、第5中足骨と続きます。
第5中足骨は足の外側にあり、繰り返し負荷がかかる事によって発症します。難治性の骨折といわれ、骨折が完治したとしてもまた再発しやすいケガであり医者泣かせのケガとも呼ばれます。
ジョーンズ骨折の名前の由来はこの骨折の症例を発表したロバート・ジョーンズ氏の名前から来ています。
ジョーンズ骨折になりやすいスポーツ
●サッカー
●ラグビー
●マラソン
●バスケットボール
●バレーボール
●野球
主にダッシュやターン、ジャンプ動作が多いスポーツで起こりやすいケガです。特にサッカーで多くみられ、日本代表クラスの選手にも多く発症します。
ジョーンズ骨折をした主なサッカー選手
玉田圭司
2005年 当時柏レイソル所属
小野伸二
2005年 当時フェイエノールト所属
香川真司
2011年 当時ドルトムント所属
清武弘嗣
2015年 当時ハノーファー所属
ジョーンズ骨折の症状
スポーツ中に走ったり、ターンやジャンプなどで足の外側に体重がかかると痛みを生じます。
多く聞かれる症状としては、初めはあまり強い痛みでない事がほとんどで、スポーツには支障があまりない事が多いです。
徐々に痛みが強くなってきて、改善がみられないため受診してみたら疲労骨折と言われるということが多いです。
骨折というと一回の強い外力が加わる事で骨に亀裂が入るため腫れて強い痛みが出るのが通常ですが、このジョーンズ骨折は一回の外力というよりも度重なる負荷による疲労骨折というのが特徴です。
そのため腫れもほとんどなく、一回の外力による骨折よりも痛みが軽度であります。
ジョーンズ骨折の診断
整形外科にてレントゲンで診断を受けます。
出典:https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/seikei/about/disease/sports/sports_09.html
しかし、発症間もない時期であると骨折部分がレントゲンには映らない事もあるため、時間を空けて再度レントゲンを撮ることもあります。
MRIでは早期からの診断が可能です。
ジョーンズ骨折の原因
第5中足骨には短腓骨筋という筋肉がついています。足首をひねった際にこの短腓骨筋によって第5中足骨の基部が強く引っ張られてしまい骨が剥離する事が原因となります。
ジョーンズ骨折の分類
出典:http://sports-doctor93.com/jones-fracture-kiyotake/
ジョーンズ骨折は起こる部分によって種類があります。ジョーンズ骨折は一般にzoneⅡとzoneⅢの部分の疲労骨折をいいます。
上の図のzoneⅠの部分は足首をひねった際に腱によって骨が引っ張られる剥離骨折を起こしやすい場所で、このような骨折は下駄骨折と呼び、ジョーンズ骨折とは別に分類されます。
下駄骨折
下駄骨折の名前の由来は昔下駄を履いていて足を捻挫して骨折を起こしやすかった部分のためといわれています。
下駄骨折は足首を内側に捻った外力によって骨が腱に引っ張られて骨が剥がれてしまう剥離骨折です。ジョーンズ骨折と比べると痛みや腫れも強く、スポーツ継続は困難となります。
他の足首の靭帯の損傷を合併する事も多いため、腫れや内出血を伴います。
ジョーンズ骨折の治療
ジョーンズ骨折と診断されたらスポーツは休止し安静にします。
ジョーンズ骨折の治療は大きく分けて手術を行うか、手術を行わない保存療法のどちらかとなります。
保存療法
程度にもより様々な症例報告がありますが、だいたい復帰まで3〜12ヶ月という期間に幅があります。足を6〜8週間ギプス固定し骨の癒合を待ちます。
しかし、第5中足骨は血液供給に乏しい箇所であるため骨の癒合がしにくく、治りにくいといわれています。
また復帰後に再発する事も多いため、早期復帰を望む場合や、トップアスリートでは手術を選択する事が多いです。
手術療法
●スクリューボルトにて中足骨を固定する方法が多く取られています。
●手術後は第5中足骨には体重がかけられないため松葉杖での歩行となります。
●一般的に手術後の経過は6週間でジョギングが可能で、競技復帰は2~3ヶ月程度です。
●再発率は保存療法の3分の1といわれております。
※下駄骨折の場合はギプスにて3〜4週間固定します。骨のズレが強い場合は手術をする事もあります。
ジョーンズ骨折はスポーツ保険がきく?
ジョーンズ骨折はスポーツ保険の適応外とされています。
スポーツ保険は急激で偶然な外来の事故が適応とされており、ジョーンズ骨折は疲労骨折のため急激に起こる怪我ではないためとされています。
ジョーンズ骨折になりやすい身体の特徴
ジョーンズ骨折は足の小指側に体重がかかりやすい人がなりやすいといわれます。
なりやすい身体の特徴を紹介します。
●走っている時や足をついた時に体が外側に大きくブレやすい人
●小指側にタコが出来る人
●踵の骨が後ろから見た時に外側に倒れている人
●O脚の人
特に重要である踵の骨が後ろから見た時に外側に倒れている人について解説していきます。
踵の骨を後ろから見ると以下のように3つの分類に分けられます。
特にジョーンズ骨折を引き起こしやすいのは回外足と呼ばれる踵の骨が後ろから見た時に外側に倒れている状態です。
この状態では足をついた時に外側に体重がかかりやすいため、第五中足骨にストレスがかかりやすくなります。
靴の踵の外側がすり減っている人は要注意です。
捻挫後は要注意
足の捻挫の怪我をした後にしっかりとリハビリをしないままスポーツに復帰してしまうと、不安定さや筋肉の硬さ、筋肉の弱さを残したままとなってしまうためこの回外足なってしまう事もあります。
捻挫後、痛みが引いたからといっても後遺症が残っている事が多いため要注意です。
ジョーンズ骨折にならないための予防法
出来ることならジョーンズ骨折にはなりたくないものです。予防法を教えますので、きっちり実践していきましょう。
予防法① 後脛骨筋の柔軟性を高める
回外足になるとジョーンズ骨折を引き起こしやすいです。
この回外足になってしまう原因としてふくらはぎにある後脛骨筋という筋肉が硬くなる事が挙げられます。この後脛骨筋をしっかり柔らかくする事が予防となります。
後脛骨筋
ふくらはぎの奥の方にある筋肉で脛骨と腓骨から足の土踏まずにある舟状骨と内側楔状骨に付着します。
主につま先を下に向けるように足首を動かす作用と内側に足首を捻る作用があります。つま先立ちをするような動作でよく働きます。
この筋肉が硬くなると踵が外側に倒れやすくなってしまいます。
後脛骨筋のストレッチ方法
写真のように伸ばす方の足を後方に引き、アキレス腱を伸ばす要領でふくらはぎを伸ばします。
その際につま先がしっかりと正面を向いている事がポイントです。
後脛骨筋マッサージ
脛骨(スネにある内側の骨)に沿って指で圧迫をしながらマッサージを行います。
予防法② 股関節の柔軟性を高める
ジョーンズ骨折は外側に体重がかかりやすい事が原因の1つとされています。そこで重要となるのが股関節の柔軟性です。
特に股関節が内側に動く内転という動きが硬いと、動作の際に足を外側に着きやすくなってしまいます。
そのためにはお尻についている中臀筋、大臀筋の柔軟性が重要となってきます。
中臀筋ストレッチ
仰向けに寝て伸ばしたい方の足を反対側に交差させます。手でその足を抑えて上半身は床から離れないようにします。
臀部が伸びている事を感じながら30秒以上ゆっくりとストレッチします。
大臀筋ストレッチ
座った状態で伸ばしたい方の足を上にして足を組みます。
胸を張って体を前傾させていきます。
臀部が伸びている事を感じながら30秒以上ゆっくりとストレッチします。
まとめ
●ジョーンズ骨折は第5中足骨に繰り返しかかるストレスによって生じる疲労骨折です。
●骨折が治ったとしても、第5中足骨に負担のかかりやすい身体の状態でスポーツ復帰をすると再発する可能性が非常に高くなります。
●踵の骨の傾きや股関節の柔軟性を改善したりしてストレスがかかりにくい身体にする事が大切になります。
●動作や身体の柔軟性、筋力など理学療法士、トレーナーにしっかりと診てもらう事をオススメします。
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