突き指になった時の処置・対処・テーピングの方法教えます
ボールが指に当たって起こる指の怪我。一般に突き指と言われることが多い怪我です。球技スポーツはもちろん、柔道やレスリングなどのコンタクトスポーツにもよくみられます。日常生活でも起きることの多いケガです。
今回は突き指の処置について解説していきます。
突き指とは
実は突き指とは正確な診断名ではなく、指先に外力が加わり、指の組織を痛める怪我の総称として扱われています。
厳密には指の靭帯損傷、腱損傷、脱臼、骨折などが起こっている状態です。
また損傷を受ける部位によっても病態が違ってきます。
突き指を起こしやすいスポーツ
●バレーボール
●バスケットボール
●野球
●ソフトボール
●サッカー
●ラグビー
●柔道
●レスリング
指の構造
指の骨は図のような構造となっています。
指の先端にある骨を末節骨、その下につながる骨を中節骨、中節骨の下につながる骨を基節骨と呼びます。
ここまでが一般に指といわれる部分です。
●中節骨の下には中手骨と呼ばれる骨がつながり、手の甲の部分に当たります。
●中手骨の下に一般に手首と呼ばれる部分には手根骨と呼ばれる8つの骨が存在します。
●中手骨は親指側から大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鈎骨と並びます。
●その下に舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨と並びます。
●第一関節と呼ばれる関節をDIP関節、第二関節と呼ばれる関節をPIP関節、第三関節と呼ばれる関節をMP関節と呼びます。
突き指の原因
多くが球技スポーツでボールが指に当たって外からの力を受ける事で発症します。
また、転倒した時や、コンタクトスポーツにて相手との接触したときなど指に外からの力が加わる事で発症します。
突き指の症状
症状は痛みと熱感、腫脹により指を曲げたり伸ばしたりする事に支障をきたします。
指が変な方向に曲がっていたり、変形をしていると脱臼や骨折している可能性が高いです。
変形が見られなくても腫れや内出血が強い場合は骨折や靭帯損傷が疑われます。
突き指だからといって甘く見ないでしっかりと診断を受ける事が大切です。
病院受診の目安
- 指が明らかに変形している
- 指がグラグラと異様に動く
- 指が曲がらない
- 腫れがひどい
- 1週間たっても治らな
こんな症状がみられた時は、すぐに整形外科を受診しましょう!
よくみられる重度の症状
一概に突き指といっても損傷される部位も色々ありますが、よくみられる重度の症状を解説します。
マレットフィンガー(槌指)
出典:http://www.miyake-naika.or.jp/16_memo/memo_kansetu-m00.html
指の第一関節をDIP関節と呼びます。
DIP関節が曲がったまま伸びなくなってしまった状態をマレットフィンガー(槌指)といいます。
指が伸びた状態で、ボールなどが当たり、DIP関節が曲がる方向に外力が加わる事により生じます。
DIP関節に付着している腱が断裂したり、骨が剥離骨折を伴ったりして、曲がったままの変形をきたし、完全に伸ばす事が不可能になります。
マレットフィンガーの重症度
Ⅰ度:腱の損傷
出典:http://www.ekolustar.com/blog/2014/02/-.php
Ⅱ度:骨折
出典:http://www.ekolustar.com/blog/2014/02/-.php
Ⅲ度:骨折と脱臼
出典:http://www.ekolustar.com/blog/2014/02/-.php
マレットフィンガーの診断
マレットフィンガーは損傷した部位や重症度によって治療法が異なるため医師の診断を受ける事が大切です。
診断はレントゲンにて骨折や脱臼の有無を確認できます。
マレットフィンガーの治療法
Ⅰ度(腱の損傷)とⅡ度(骨折)
●手術は行わない事が多く、金具や添え木を当てて固定して損傷した腱や骨の修復を待ちます。大体1〜2ヶ月程度の固定が必要となります。
●曲げてしまうと断裂した腱や骨を引き離すようなストレスが加わってしまうため、治療期間中は曲げないようにしましょう。
Ⅲ度(骨折と脱臼)
●脱臼を整復したり、針金で骨片を固定する手術を行う事もあります。
●固定期間を経過して、医師の許可が出たら関節を動かしたり、筋力を鍛えるリハビリを開始します。
出典:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html
子供の場合は特に注意!
子供の場合、身長を伸ばしたり、手の指が大きくなるために骨に骨端線と呼ばれる軟骨組織があります。
この骨端線がある場所で骨折を起こし、適切な治療法が行われないと指が曲がったまま成長してしまう事もあるため注意が必要です。
特に野球のピッチャーはボールを握る時に力が伝わらなかったり、投げる球種によっては大きな支障をきたす事も考えられるため、しっかりと治療する事が大切です。
ただの突き指だと思って放置しないようにしましょう。
PIP関節の側副靱帯損傷
出典:http://www.miyake-naika.or.jp/16_memo/memo_kansetu-m00.html
一般に突き指と呼ばれるケガで多いのはPIP関節を横から支えている側副靱帯の損傷です。
指の横から強い外力が加わり、側副靱帯が過度にストレスを受ける事で発症します。
靭帯損傷の分類
靭帯の損傷度によって3つに分類されます。
Ⅰ度:靭帯の微細な損傷
Ⅱ度:靭帯の部分断裂で不安定性はない
Ⅲ度:靭帯の完全断裂で不安定性がある
一般的にPIP関節側副靱帯の治療法は保存療法が行われ、指を伸ばした位置で固定します。
突き指になった時の処置・対処
突き指は靭帯や腱の損傷、骨折、脱臼などを起こしている状態です。
この場合はRICE処置と言われる応急処置を行います。
RICE処置とは
Rest(安静): 患部を極力動かさない。
Ice(冷却): 患部を冷やして血管を収縮させて腫れや熱感を最小限に留めます。
正しい方法は、氷と水をビニール袋などに入れて冷やします。
氷だけはダメです。かならず水も一緒に入れて、氷が溶けていく温度の水で冷やします。
正しい方法は、氷と水をビニール袋などに入れて冷やします。
氷だけはダメです。かならず水も一緒に入れて、氷が溶けていく温度の水で冷やします。[/surfing_voice]
Compression(圧迫): 患部を圧迫する事で血流を抑えて腫れを最小限に抑えます。
Elevation(挙上): 患部をできるだけ心臓よりも高く上げて、患部に血流がたまらないようにします。
突き指をしてしまったらRICE処置を行うか否かでその後の回復が大きく変わってきます。まずは腫れや熱感を最小限に抑えることが大切で、そのためのRICE処置となります。
突き指の治し方
●突き指の場合、マレットフィンガーで骨折があり、指の変形が強い場合以外は保存療法で治すのがほとんどです。
●まず2~3日はRICE処置を継続します。
●指を曲げたり、引っ張ったりすると回復が遅くなるため、金具などを当てて固定して極力患部に負担をかけないようにします。
●RICE処置を行い、腫れや熱感が引いて来たら今度は患部を温める温熱療法を行います。
●温熱療法は血液の循環を促進したり、新陳代謝を促進したり、組織の回復を早めたりする効果が得られます。
●整形外科では過流浴や超音波、マイクロ波などの物理療法にて温熱療法を行います。自宅でのお風呂でじっくり温める事でも構いません。
温熱療法を行う際の注意点
必ず、腫れが引いた状態で行います。
まだ、腫れているときに患部を温めると内出血を促進し、腫れがひどくなります。
自宅で行う温熱療法の方法としては、市販の温シップなどを使用するのもよいですが、リハビリもかねて入浴時に指をお風呂の中で動かすという方法があります。
お風呂のお湯で、しっかりと指を温めたのち、指を水圧に逆らって動かします。
お風呂に入った時に手軽にできる方法ですので、ぜひ試してみてください。
※腫れや内出血が引かなかったり、指の変形がある場合は医師の診断をしっかりと受けましょう。
突き指は引っ張ると治るのか?
よく突き指は引っ張ると治るとかって都市伝説のように言われていますが、そんな事は決してありません。
むしろ引っ張る事で、損傷を受けている靭帯や腱、関節を包んでいる膜(関節包)をさらに傷つけてしまう事があるため引っ張ると悪化してしまう事が予想されます。
受傷したら上記にあるように、早急にRICE処置を行うことが大切です。
突き指のテーピング
突き指の予防や痛みがまだ残っている状態での保護のテーピングを紹介します。
用意するもの
テーピングは固定用の非伸縮性のホワイトテープを使用します。
ホワイトテープは伸縮性がないため、より固定力が得られるテーピングです。
幅が13mmや19mmの細めのテープを使用します。ない場合が太いテープを半分に裂いてでも大丈夫です。
突き指のテーピングの巻き方
①指先に一本テープを巻きます。あまりきつく締めすぎないように注意です
②指の根元にも同じように一本テープを巻きます
③指先から根元に向かって斜めにテープが巻きつくように張ります。斜めの線が平行になるのが理想です
④ ③のテープと対角になるように逆の斜めの走行にテープを巻きます。
⑤剥がれにくくなるように①と②と同じようにテープを巻いて完成です。
※あまりきつく巻きすぎると血流が悪くなるためきつく巻きすぎないようにしましょう
まとめ
●突き指は指の靭帯の損傷や腱の損傷、骨折などを起こしている事があるため甘く見ないで病院での診断、適切な治療を受けることが大切である
●重度のものとしてマレットフィンガーや内側側副損帯損傷などもあげられる
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