膝の皿がはずれる!膝蓋骨脱臼の治療・テーピング・サポーター全知識

膝のお皿が痛かったり、腫れたりしていませんか?
もしかすると膝の皿が外れている・ずれている。という可能性もありえます。

膝は、生活をする上で、とても大切な場所です。

今回は膝の皿が脱臼を起こす膝蓋骨脱臼について解説していきます。

膝の皿がはずれる!!膝蓋骨脱臼とは

膝蓋骨脱臼とは膝蓋骨があるべき膝の正面の位置からずれてしまうケガで、そのほとんどは外側へ脱臼します。

ジャンプの着地時やダッシュ、ターン動作などで大腿四頭筋(太ももの筋肉)が強い収縮を強いられた時に外れやすいです。

こんな膝の動きをすると注意です。

特に10代の女性に多く見られ、一度脱臼をすると再度繰り返しやすいケガです。

脱臼を繰り返す場合は反復性膝蓋骨脱臼といわれます。

膝蓋骨脱臼になりやすいスポーツ

●バスケットボール

●バレーボール

●サッカー

●体操

●ラグビー

●テニス

●アメリカンフットボール

ジャンプやターンなど、大腿四頭筋に強い負荷がかかるスポーツに起こりやすいです。

膝蓋骨について

一般に膝のお皿といわれている『膝蓋骨』について解説していきます。

膝蓋骨

膝蓋骨

膝蓋骨は膝の前にあります。

膝蓋骨の役割

①膝の保護

●前方からの外力から膝を守る盾のような役割を果たしています。

●膝関節の曲げ伸ばしの時の摩擦を少なくしてしてくれます。

●交通事故や転倒などで強い力が加わると骨折する事もあります。

②力の伝達
●膝蓋骨の上に大腿四頭筋があります。

●大腿四頭筋は膝を伸ばす作用があります。

●膝蓋骨がその力を発揮しやすいように伝達する役割があります。

●膝蓋骨の動きに硬さや異常があると、大腿四頭筋がうまく働きません。

膝蓋骨脱臼の症状

膝蓋骨脱臼はそのほとんどが外側へ脱臼します。

症状としては膝の前面や内側の痛みと腫れ、不安定感を感じるようになります。

先生
先生
不安定感とは、歩けなくなるということです。普通に歩けなくなるか痛みとともに、膝がガクガク勝手に動くようになります。

膝蓋骨脱臼の原因

膝蓋骨脱臼の原因として多いのが事故やスポーツ中の衝突などです。

一度ケガをすると再脱臼しやすく、2回目以降はスポーツ中などで大腿四頭筋に大きく負荷がかかった時に発症しやすいです。

先生
先生
再脱臼した場合には、脱臼特有の自転車のタイヤが外れたような感覚が襲い、痛みとともに不安定になり、歩けなくなります。

また先天的に膝蓋骨の形成不全や大腿骨の形態異常などがあると脱臼しやすくなります。

膝蓋骨脱臼を起こしやすい人の特徴

ケガしやすい人
●Q角の増大

●膝蓋骨高位

●外反膝(エックス脚)

●先天的に形態異常がある

一つずつ詳しく見ていきましょう。

Q角とは

Q角

Q角

Q角

●上前腸骨棘(骨盤の前の骨の出っ張り)と膝蓋骨中心を結ぶ線

●膝蓋骨中心から脛骨粗面を結ぶ線

この2つでおりなす角度をQ角といいます。Q角が15度異常となると膝蓋骨が外側に引っ張られるため膝蓋骨脱臼を起こしやすくなります。

膝蓋骨高位とは?

膝蓋骨高位

その名の通り膝蓋骨が高い位置にある状態です。

左右で比べてみて差があって高い位置にある場合はより大腿四頭筋に引っ張られるため膝蓋骨脱臼を生じやすくなります。

外反膝(エックス脚)とは?

エックス脚

立った状態で左右の膝をくっつけると足部が離れてしまうような形状の足を外反膝またはエックス脚といいます。

エックス脚の場合、先ほどのQ角が大きくなるため、膝蓋骨脱臼のリスクが高まります。

先天的に形態異常がある

生まれつき膝蓋骨や大腿骨の形に異常がある場合は脱臼しやすくなります。

膝蓋骨脱臼の治療方法

膝蓋骨脱臼の治療の進め方は大きく分けて2つあります。一つは保存療法、もう一つは手術療法です。

保存療法

手術など外科的な治療を行わずに治療する方法です。

靭帯の損傷が軽度の場合や骨折していない場合は保存療法で治療が行われます

その際、膝蓋骨を正しい位置に戻すための固定が必要となります。

サポーターやテーピングで固定をしていきます。

先生
先生
かなり痛みが出る場合も多いので、鎮痛剤や抗炎症剤なども一緒に処方される場合もあります。

手術療法

手術

手術するケース

●何回も膝蓋骨脱臼を起こしている『反復性膝蓋骨脱臼』になっている場合

●膝蓋骨の動きに大切な靭帯が切れてしまっている場合

●膝蓋骨の内側には内側膝蓋大腿靭帯があります。

●また外側には外側膝蓋大腿靭帯という靭帯があります。

この2つに靭帯が牽引しあって膝蓋骨を安定させています。

膝蓋骨脱臼で損傷を受けやすいのは内側膝蓋大腿靭帯で、膝蓋骨が外側に動かないようにしている役割があります。

過剰な力が加わり、膝蓋骨が外側に脱臼すると内側膝蓋大腿靭帯が損傷をします。

靭帯が損傷したままだと、繰り返し脱臼を起こしやすくなるため、この靭帯を再建する手術が行われます。

関節鏡

関節鏡をつかって手術する

関節鏡で行われ、再建には人工靭帯やハムストリングスの半腱様筋が使われます。

手術にかかる時間は一般的に3〜4時間です。

手術の費用

手術費用は保険が適応となって施設によっても異なりますが8万円前後となるのが一般的です。

それに入院費や薬代などが加算されます。

手術後の経過

術後翌日は車椅子で移動ですが、2日目くらいから松葉杖を使って、少しずつ体重をかけていきます。

退院まではおおよそ1週間〜2週間程度で、その後リハビリを継続し、スポーツ復帰には6ヶ月程度かかります。

膝蓋骨脱臼の予防、リハビリについて

出来ることなら、つらいケガにはなりたくないものです。

膝蓋骨脱臼の予防とリハビリをしっかり行いましょう。

①内側広筋の強化

膝蓋骨脱臼はそのほとんどが外側に脱臼します。ですので内側にひきつける事が大切です。

内側に引きつけてくれる働きがある筋肉はあるでしょうか?

答えは大腿部にある内側広筋です。

内側広筋を鍛えていくことが膝蓋骨脱臼の予防となります。

内側広筋とは?

内側広筋

大腿四頭筋に含まれる筋肉で、太ももの内側に存在します。

大腿四頭筋は膝を伸ばす作用がありますが、内側広筋は主に膝を伸ばしきる最後のタイミングで働きます。

方法1

床の上に両膝を真っ直ぐ伸ばして座ります。

膝の間にボールや枕などを挟み、それを両膝で内側につぶすように力を入れていきます。

膝蓋骨の内側の筋肉が盛り上がって硬くなっている事がポイントです。

方法2

膝の下に小さめのボールを置きます。(バスタオルを丸めたものなどでもOK)

ボールを膝の裏で押しつぶすようにして、かかとをベッドから離します。

太ももの内側が硬くなることを確認する事がポイントです。

②外側広筋のストレッチ

外側広筋

大腿四頭筋に含まれる外側にある外側広筋が硬くなる事で、膝蓋骨が外側に引っ張られてしまいます。

この外側広筋の柔軟性を改善する事が膝蓋骨脱臼の予防になります。

外側広筋のストレッチ

伸ばしたい方の膝を曲げて体の外側に置きます。そのまま体を後方に倒していき、太ももの外側が伸びている事を感じながらストレッチします。

③股関節外転筋のトレーニング

ニーイントゥーアウト(膝が内側に入り、つま先が外側に向く)が膝蓋骨脱臼を起こしやすいです。

股関節の外側にある筋力が低下すると、股関節が内側に入る内転、内旋方向に向きやすくなります。すると膝が内側に入りやすくなるためニーイントゥーアウトになりやすいです。

そのため股関節外転筋肉を強化する事が膝蓋骨脱臼の予防となります。

股関節外転筋のトレーニング

鍛える側を上にして横向きに寝ます。

そのまま脚が前後に動かないように真上に足をあげます。お尻の横の部分が硬く収縮している事を確認するのがポイントです。

膝蓋骨脱臼予防のサポーター

膝蓋骨が外側に動かないように膝蓋骨周辺をサポートする役割のあるサポーターが使用しましょう。

膝蓋骨脱臼予防のテーピング

テーピングはキネシオロジーテープ、キネシオテープと呼ばれる伸縮性テープを使用します。

膝蓋骨脱臼予防のテーピング

膝を曲げてつま先を内側に向けます。膝蓋骨の外側を覆うようにテープを貼ります。テープに皺が寄らない程度に引っ張りながら貼ります。

膝蓋骨脱臼予防のテーピング

Y字になるようにテープに縦に切れ目を入れ、外側から膝蓋骨の上と下を覆うようにテープを貼ります。

膝蓋骨脱臼予防のテーピング

内側から膝蓋骨の内側を覆うようにしてテープを貼ります。

まとめ

●膝蓋骨脱臼はスポーツによる大腿四頭筋の強い収縮により起こり、ほとんどが外側へ脱臼をする。

●一度脱臼を起こすと再発しやすく何度も繰り返す場合は反復性膝蓋骨脱臼という

●内側広筋のトレーニングが予防に重要である

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