お尻が痛い!梨状筋症候群の原因・テスト・治療・ストレッチ全知識
ランニングをしている時や長く座っている時などにお尻から太ももの後ろ側にかけての痛みや痺れが出る症状。その痛みは梨状筋症候群かもしれません。
今回はビリビリする鋭い痛みがある梨状筋症候群について解説します。
お尻が痛い・梨状筋症候群とは?
梨状筋とはお尻にある股関節を支えている筋肉で、その梨状筋がお尻に通っている坐骨神経を圧迫する事によって症状を引き起こす障害です。
梨状筋は骨盤にある仙骨という骨から、太ももの骨である大腿骨についている筋肉です。股関節を支えている筋肉です。
●股関節を外にひねる動き(外旋)
●股関節を外に開く動き(外転)
●股関節を後ろに引く動き(伸展)
●股関節を外に捻る動き(外旋)
※角度によっては内に捻る動き(内旋)
梨状筋は股関節のインナーマッスルともいわれ、深部に存在して股関節の安定性を高めている働きがあります。
梨状筋と関係の深い筋肉
股関節にはいくつか筋肉が存在します。
大臀筋
大臀筋は臀部の表層にある大きな筋肉です。
●股関節を後ろに引く動きの時に使われる筋肉です。(伸展)
●大臀筋は上部の下部に分かれていています。
●上の部分は股関節を外に開く動きをします。(外転)
●上の部分は股関節を内側に閉じる動きをします。(内転)
中臀筋
中臀筋は骨盤の横についている筋肉です。
●股関節を外に開く動きの時に使われる筋肉です。(外転)
●片脚立ちでバランスを取る際に重要な働きをしています。
小殿筋
小殿筋は骨盤の横の深部についている筋肉です。
●股関節を外に開く動きの時に使われる筋肉です。(外転)
●股関節を内側にひねる動きの時に使われる筋肉です。(内旋)
この大殿筋・中殿筋・小殿筋の深部に梨状筋は存在しており、股関節のインナーマッスルといわれ、大きな力を発揮するというよりも関節を安定させるように働く筋肉です。
また股関節の深層外旋6筋と呼ばれる筋肉の一つです。
●梨状筋
●外閉鎖筋
●内閉鎖筋
●上双子筋
●下双子筋
●大腿方形筋
これら深層外旋6筋は股関節の安定性させるのに重要な役割を持っています。
梨状筋症候群になりやすいスポーツ
●マラソン
●サッカー
●ゴルフ
●自転車
梨状筋症候群は股関節を曲げ伸ばししたり、ゴルフのように骨盤を回転させたりするスポーツで起こりやすいです。
梨状筋症候群の症状
以下のような症状があった場合は梨状筋症候群の可能性が非常に高いです。
●お尻の痛み・しびれ
●太ももの後ろ側の痛み、しびれ
●長く座っていると、痛み・しびれが悪化するが立ち上がって歩くと治る。
●体を前屈すると足のしびれが強くなる
●ランニングなどで股関節が内側にひねると症状が出る。
●立ち仕事を続けているとお尻や足が痛くなる
●横向きで寝ていると足やお尻に痛みが出る
しびれは鋭い、ビリビリする、重だるい、というのが特徴です。
梨状筋が硬くなると坐骨神経痛に!
坐骨神経は腰から足にかけて走っている人体で最も太い末梢神経です。腰、仙骨から足へと走行しています。
この坐骨神経が何らかの原因で圧迫を受けたり、刺激を受ける事でお尻や太もも、ふくらはぎなどに痛みやしびれを生じさせる症状を坐骨神経痛と呼んでいます。
腰から出て梨状筋の下を通って足へと繋がるため、梨状筋が硬くなったり、緊張したりすると坐骨神経を圧迫してしまうのです。
同じような症状の腰椎椎間板ヘルニアとの違い
腰椎椎間板ヘルニアでも坐骨神経痛が生じます。
臀部や太ももの裏、ふくらはぎなどに痛みやしびれの症状が出るため梨状筋症候群にとても似ています。
症状だけをみると区別するのが困難です。
●同じ神経の痛みでも場所が違います。
●ヘルニアの場合は腰の骨である腰椎での障害です。
●梨状筋症候群の場合はお尻(臀部)での障害となります。
実際に見分けるにはMRIで診断を受けると、はっきりとわかります。
※よく梨状筋症候群と椎間板ヘルニアの違いは腰痛がないかどうか?の情報をみかけます。しかし、実際には梨状筋症候群と腰痛は併発しやすいです。
腰痛は股関節の硬さが原因となる事が多いのですが、梨状筋症候群では股関節が硬いケースがほとんどです。
梨状筋症候群自体では腰痛は生じませんが、二次的に腰痛が起きやすいのです。そのため梨状筋症候群と腰痛は併発しやすいのが実際です。
梨状筋症候群の診断テスト
梨状筋症候群はレントゲンやMRIなどで特徴的な所見がみられない事がおおく、診断がとても難しいです。
股関節内旋位でのSLRテスト
出典:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション
仰向けに寝た状態で、検査する方の足を伸ばしたまま上に挙げます。その位置から股関節を内側に捻るようにします。
お尻に痛みやしびれなどが出現したら陽性です。
フライベルグテスト(Freiberg test)
出典:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション
仰向けで骨盤を固定して抑えたまま、検査する方の足を写真のように曲げて内側に持っていきます。
臀部の痛みやしびれなどが出現したら陽性となります。
ペイステスト(Pace test)
出典:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション
座った姿勢にて膝と足首を外側から押します。それに抵抗するように外に開こうとします。これで痛みが出たり、筋力低下が見られた場合は陽性となります。
梨状筋症候群の治療
梨状筋症候群の整形外科での一般的な治療法です。
薬物療法
お尻や足の痛みを軽減させるために消炎鎮痛剤や神経の痛みを和らげる薬、筋肉の緊張を和らげる薬などが処方されます。
神経ブロック注射
神経ブロック注射で痛みそのものを取り除くという治療が行われることもあります。
温熱療法
ホットパックや赤外線などで患部を温める温熱療法もよく行われます。
温める事で筋肉の血流が改善し、筋肉の緊張が緩和される効果が期待できます。
手術療法
あまり頻度は多くありませんが梨状筋症候群では手術で治療する事もあります。
ブロック注射をしても改善できなかったり、症状が長期にわたり、生活に大きく支障をきたしている場合は手術となります。
手術としては梨状筋を切開する手術で、切開する事で神経への圧迫を軽減します。
だいたい入院期間は1週間程度で所要時間は1時間程度、局所麻酔で行われます。
梨状筋症候群のリハビリのストレッチ
それでは、予防・リハビリの方法を教えます。ストレッチとマッサージがあります。
座位でのストレッチ
伸ばしたい方の足を反対側の足に交差させます。反対の肘で膝を抑えて、上半身を伸ばしている足の方にひねります。
お尻に伸びている感じがするところで30秒以上ゆっくりとストレッチしていきます。
仰向けでのストレッチ
伸ばしたい方の足を反対側の膝の外におきます。手で膝が床につくように抑えて、臀部に伸びている感じがするところで30秒以上ゆっくりとストレッチしていきます。
テニスボールでのマッサージ
梨状筋の部位にテニスボールを当てて体重をかける事でマッサージをしてほぐします。
梨状筋症候群の日常生活での注意点
梨状筋症候群になってしまった人・または、この記事を読んで防止したいなぁ。と感じた人は次の項目に気をつけましょう。
長時間・座りつづけない
デスクワークや運転の時間が長い仕事の人は、長時間、お尻を圧迫してしまう事となります。
そうする事で坐骨神経へのストレスを強めてしまい症状が起きやすくなります。
●20〜30分に一回は立ち上がって歩く
●座る座面を柔らかいものにしたりする
足を組まない
足を組むと股関節が内側に入り、お尻の筋肉が引っ張られる状態となります。
それか長時間となると坐骨神経を圧迫してしまい症状が出やすくなってしまいます。
まとめ
●梨状筋症候群とは臀部にある梨状筋が坐骨神経を圧迫して起こる障害である
●腰の疾患との鑑別が重要である
●症状改善には梨状筋の柔軟性改善が有効である
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