足底筋膜炎の原因・治療・テーピング・ストレッチ・サポーター・全知識
足底筋膜炎。聞きなれない病名だと思いますがたくさんのスポーツ選手がこのケガを発症しています。
走る事の多いスポーツをする人で足の裏やかかとの痛みがあったら足底筋膜炎かもしれません。
今回は、足底筋膜炎のリハビリについて解説していきます。
足底筋膜とは
足底筋膜とはその名の通り足の裏にある筋肉を包んでいる膜を指します。かかとからそれぞれの足の指に付着しており、体重が乗っかることによって引っ張られます。
走る事によって生じる足の裏から、かかとの痛みを足底筋膜炎である事がほとんどです。
マラソン、サッカー、バスケットボールなど走る事の多いスポーツによく見られます。
また走る事だけでなく、急にウォーキングを始めた人や立ち仕事をしている人にもなりやすい怪我です。
足底筋膜は体重がかかった際にゴムのように伸びる事によってその衝撃をやわらげるクッションのような働きがあります。
また足の指が上に反るように動くと足底筋膜が引っ張られて上に巻き上がるような動きになります。この巻き上がる力がバネのような役割を果たし歩いたり、走ったりする時の力となります。
●衝撃を吸収させるクッションの役割
●歩くための身体を運ぶ力を生み出すバネの役割
この2つがあります。
足底筋膜炎の原因
足底筋膜炎に原因は以下が考えられます
①走りすぎ
走りすぎたり、歩きすぎたりする事によって足底筋膜に大きな負荷がかかりケガをします。急激に練習量が増えた場合や、地面が硬い、シューズのクッションがないなどといった要因も足底筋膜炎の原因となります。
②足首の柔軟性の低下
捻挫の後遺症やストレッチ不足などにより、足首の柔軟性が失われると、衝撃を受け止めにくくなり足底筋膜に負担がかかります。
③回内足
回内足(かかとが内側に倒れている足の事)では土踏まずがつぶれてしまっている状態のため、足底筋膜のクッションとバネの作用が働かずに衝撃をもろに受けてしまいます。
④扁平足
写真を見てもわかると思いますが、土踏まずが無いため、クッションとバネの機能をしてくれません。衝撃をとても受けやすく足底筋膜炎になる可能性が高くなります。
⑤足の指の筋力低下
足底筋膜は主に足の指を曲げる筋肉で出来ているため、これらの筋力が低下すると衝撃を受け止める事が出来なくなり、足底筋膜炎を発症させてしまいます。
足底筋膜炎を放置して悪化させると、かかとに骨棘と呼ばれるトゲが出来てしまう事もあります。
足底筋膜はかかとの骨についているため、繰り返しストレスがかかる事によって骨を引っ張ってしまい、骨棘(トゲ)が出来てしまいます。
早期に診断を受け、治療する事が大切です。
●走りすぎ
●足首の柔軟性の低下
●回内足
●扁平足
●足の指の筋力低下
足底筋膜炎になりやすいスポーツ
●マラソン
●ジョギング
●ウォーキング
●サッカー
●バスケットボール
●中・長距離走
●ゴルフ
●スケート
●野球
●ラグビー
足底筋膜炎の症状
走ったり、歩いたりすると足の裏の土踏まずの部分やかかとに痛みが生じます。朝起きた後の歩き始めや、練習開始時などに痛みが生じるのが特徴です。
また、かかとに近い部分の圧痛も特徴的な所見です。
痛みが出やすい部分
①土踏まずのかかとに近い部分
②土踏まずの中央部、
③土踏まずの遠位部
これらの箇所が痛い場合は足底筋膜炎の可能性が高いです。病院に行って検査をしましょう。
足底筋膜炎の治療
それでは実際にケガをしてしまった場合の治療法を紹介してします。治し方は2種類あります。
足底筋膜炎の治療① 保存療法
足底筋膜炎はほとんどが保存療法で治していきます。
●ケガをして、すぐは痛みが強いはずです。まずは患部の炎症を抑えることが大事です。
●痛みが生じるような運動は中止します。
●アイシングなどを行い炎症を抑えます。
●痛みが強い場合は、ステロイド剤などの局所注射を行います。※頻回に行わないようにしましょう。
●炎症が治まってきたらホットパックや超音波など患部を温める温熱療法をします。
足底筋膜炎の治療② 手術
かかとに出来てしまう骨棘と呼ばれるトゲが重度であったり、どうしても治癒しない場合、手術をする事もあります。
●痛みの原因のなっている足底筋膜の一部を切開
●かかとの骨棘(トゲ)を削る
足底筋膜炎の治療③ 体外衝撃波治療
最近では一部の病院で体外衝撃波による治療が行われています。
●元々は尿路結石の治療法として用いられていた治療法です。
●2008年に難治性の足底筋膜炎の治療法としても用いられるようになりました。
●長期に治療がおよぶ「難治性」のみに認められています。
●痛みのある部分に体外衝撃波を当てます。
●痛みを伝える神経の伝達物質を減らして痛みを感じなくします。
●新しい血管の再生を促す効果もあります。
●入院の必要はありません。
●傷跡が残らないというメリットがあります。
●治療の時間は30分程度です。
体外衝撃波治療の費用
なかなか治らない『難治性の足底筋膜炎』の場合は保険が使えます。3割負担の人で15000円程度となります。
足底筋膜炎になったスポーツ選手
マラソン 有森裕子
1994年に足底筋膜炎の手術を受けた。翌年1995年には北海道フルマラソンで復活優勝し、 1996年のアトランタオリンピックでは銅メダルを獲得した。
プロ野球 和田毅
福岡ソフトバンクホークスのピッチャー。2009年、ハードなトレーニングで足底筋膜炎になってしまった。
レスリング 浜口京子
レスリング選手。
2014年に練習のオーバーワークにより足底筋膜炎を発症した。
ゴルフ 深堀圭一郎
プロゴルファー。足底筋膜炎の悪化により、2009年9月以降の全試合を欠場した。
サッカー 浅野拓磨
サッカー日本代表選手。以前選出されていた23歳以下の代表にてポルトガル遠征を足底筋膜炎のため辞退した。
足底筋膜炎の予防・リハビリはストレッチ・テーピング・サポーター
強い痛みが引いてきたら足底筋膜炎の原因となっている部分を改善するよう、また再発予防のためにリハビリを行います。
足底筋膜炎のストレッチ
足底筋膜炎は足底にある足の指を曲げる筋肉の硬さが原因となります。足の裏の柔軟性を高める事が重要となります。
また足の裏の筋肉はふくらはぎ、太ももの裏を通り骨盤までつながっています。
最近本なども出て注目されていますが、筋膜によって足の裏から骨盤までつながっているため、ふくらはぎや太ももの裏のストレッチも有効となります。
①足底筋膜リリース
テニスボールや竹踏みなど踏み、足の裏を圧迫してマッサージするようにほぐします。
②足底筋膜炎ストレッチ
足の裏の硬い部分を圧迫して、指を反らす事で効果的にストレッチする事ができます。
③アキレス腱・ふくらはぎストレッチ
足の裏から繋がっているアキレス腱、ふくらはぎをストレッチします。
つま先を真っ直ぐ向けて踵が浮かないようにしてじんわり伸ばしましょう。反動をつけないで30秒以上ストレッチします。
④太ももの裏(ハムストリングス)ストレッチ
足の裏から繋がっているハムストリングをストレッチします。
骨盤が倒れないようにして伸ばすのがポイントです。
足の土踏まず(アーチ)を作る筋肉の筋トレ
足の裏には「アーチ」といわれる場所があります。このアーチは、歩く、走る、立つなどの動きをする上で重要な部分です。
扁平足や回内足の人は土足の内側にあるアーチと呼ばれる土踏まずの部分が機能していない状態です。このアーチを機能させられるようにする必要があります。
足のアーチは筋肉によって出来ています。ですのでアーチを形成する筋肉のトレーニングしていきます。
用意するもの:セラバンド
①前脛骨筋
スネの前にある筋肉です。主に足首を上に上げる作用があります。
足の指は曲げたままつま先を上へ上げていきます。
②後脛骨筋
ふくらはぎの奥の方に位置する筋肉です。
主に足首を下に向けるのと内側にひねる作用があります。
親指側にセラバンドを引っ掛けて、足の裏が床についた状態のまま、つま先を内側に向けるようにセラバンドを引っ張ります。
③腓骨筋
スネの外側についている筋肉です。主に足首を下に向けるのと、外側にひねる作用があります。
小指側にセラバンドを引っ掛けて、足の裏が床についた状態のまま、つま先を外側に向けるようにセラバンドを引っ張ります。
④足趾屈筋
タオルを床に敷き、足の指で手繰り寄せていきます。一回一回の動作を大きく、土踏まずを浮かせるようなイメージで指を握りこむのがポイントです。
足底筋膜炎のテーピング
用意するもの:キネシオテープまたはキネシオロジーテープ
伸縮性のあるキネシオテープまたはキネシオロジーテープと呼ばれるものを使用します。
キネシオテープは筋肉の動きをサポートするので足底筋膜の働きをサポート役割があります。
テーピングの方法1
①足首を90°に曲げた状態でかかとから外側に沿ってテープを張ります。
②次いでかかとから内側に沿ってテープを張ります。
③土踏まずの部分に¥を引き上げるように左右に引っ張りながらテープを張ります
テーピングの方法2
①土踏まずの前の部分にテープを張ります。
②親指側から、かかとの外側を通って後方を周り、かかとの内側を通って小指側に張ります。
足底筋膜炎のサポーター
かかとを真っ直ぐに保つ回内足を修正するような機能や、土踏まずの部分を引き上げてアーチをサポートするような機能が備わっているのが望ましいです。
まとめ
●足底筋膜炎は走る事やジャンプが多いスポーツでなりやすく、足の裏に衝撃が過剰にかかる「使いすぎ」が原因となる。
●足の裏の硬さだけでなく、ふくらはぎや太もも裏の硬さも原因となることがある。
●予防にはストレッチ・筋トレにて足の機能を高めることが重要である
ケガを防ぎたい人・治したい人は『いいね!』をして下さい。役立つ情報をお届けします。