タナ障害(棚障害)が治らない方へ!治療・リハビリ・筋トレの方法教えます

膝の曲げ伸ばしをした際に引っかかり感や関節部分で痛みを生じることがあります。

もしかするとタナ障害と呼ばれるものかもしれません。

今回は膝のタナ障害の原因・症状・治し方・リハビリの方法について解説していきます。

タナ障害とは

膝関節

出典:https://anshindou1.com/kp/kp11.html

膝の関節は

  • 太ももの大腿骨
  • スネの骨の脛骨

の2つで形成されています。

この2つの骨を包むように

  • 関節包
  • 滑膜

という膜が存在しています。

通常はは胎生期に発生した滑膜が退化してなくなるのですが、それが無くならずに残ってしまったものを滑膜ヒダと呼びます。

ここが痛む!

出典:http://www.sapporo-sports-clinic.jp/disease/234/

タナ障害とはこの滑膜ヒダが

  • 大腿骨と膝蓋骨(膝のお皿)に挟まってしまう
  • 擦れて炎症を起こす事で引っかかり・痛みが出る

という状態をいいます。

また、膝には滑膜ヒダが4つ存在します。

  • 膝蓋上滑膜ヒダ
  • 膝蓋下滑膜ヒダ
  • 膝蓋外側滑膜ヒダ
  • 膝蓋内側滑膜ヒダ

このうち膝蓋内側滑膜ヒダが分厚くなっているとタナ障害の原因となります。

※滑膜ヒダは日本人の50~60%にあり女性に多いとされています。無害なものですが、タナ障害のように挟み込まれる事で痛みが出てしまいます。

タナ障害の症状

膝の痛み

タナ障害には以下の症状が見られます。

  • 膝のお皿周囲の痛み・違和感
  • 膝を曲げ伸ばしした時に音がしたり引っかかり感がある
  • 膝を曲げ伸ばしするとポキポキとクリック音がする

膝のお皿の内側に症状が出ることが多いです。

タナ障害の原因

スポーツなどで膝を曲げ伸ばししたり、ひねる動きを繰り返しすると発症しやすくなります。
またスポーツ時に膝を打撲することによって発症する事もあります。

タナ障害が起きやすいスポーツ

  • サッカー
  • バスケットボール
  • バレーボール
  • テニス
  • 野球
  • 陸上

など膝の曲げ伸ばしを繰り返すスポーツにおいて多く見られます。

タナ障害の診断

整形外科などでレントゲンを撮り骨に異常がない事などを確認します。
タナ障害の原因である滑膜ヒダはレントゲンでは映らないため、精密に検査する場合はMRIを撮ります。

またあまり行われる事はないですが、タナ障害を確定する場合に関節鏡検査が行われる事もあります。

関節鏡検査とは
関節用の内視鏡を関節に挿入して、モニター映像で確認しながら、関節内の状態をチェックする検査方法です。

タナ障害かどうか?テストする方法

膝のお皿の内側を圧迫して、お皿を外側に固定するようにして膝を曲げ伸ばしします。

タナ障害がある場合、お皿の内側部の圧痛とクリック音が生じます。

曲げ伸ばしの際に、脛骨(スネの骨)を軽く外にひねるとより症状が出やすくなります。

タナ障害の治療

タナ障害の治療方針は大きく分けて保存療法と手術療法に分けられます。

保存療法

タナ障害となった場合、初期では患部が腫れたり、熱を持ったり、強い痛みが生じる炎症が起こります。
そのためまずは安静にする事が大切です。

応急処置としてRICE処置を行います。

RICE処置とは?

Rest(安静): 患部を極力動かさない。

Ice(冷却): 患部を冷やして血管を収縮させて腫れや熱感を最小限に留める

先生
先生
患部を冷やす際には、15分冷やしたらやめ、また痛みが出だしたら15分冷やすというようにしましょう。ずっと冷やすのはかえってダメージを与えてしまいます。

Compression(圧迫): 患部を適度に圧迫して腫れ、炎症を抑える

Elevation(挙上): 心臓よりも高い位置に患部を置き腫れ、炎症を抑える

病院を受診すると痛み止めの薬や消炎鎮痛目的で湿布や塗り薬などの処方されることも多いです。

また超音波やホットパックといった温熱療法にて膝の周囲の組織の柔軟性を高めたり、血流を促進するような治療も行われます。

手術療法

保存療法を継続していても改善が見られない場合は手術を行うこともあります。

関節鏡

関節鏡をつかって手術する

手術は関節鏡にて、分厚くなった滑膜ヒダを切除する方法で行われます。関節鏡を使った手術なので、手術による傷も小さくほとんど目立たないです。

手術から完治までの目安

手術後はだいたい1ヶ月程度でジョギングを開始し、1ヶ月半から2ヶ月でスポーツ復帰が可能です。

手術費用

手術費用は大体10万前後とされていますが、入院日数や病院によっての処置の内容で差はあるかと思われます。

タナ障害のテーピング方法

タナ障害の多くは膝のお皿が外側にズレると痛みが生じる事が多いです。
そのため、膝のお皿を内側に誘導するようなテーピング行います。

用意するもの:伸縮性のキネシオロジーテープ

膝を曲げた状態でお皿を上外側から包むようにして巻いていきます。


テープに切り目を入れて、膝のお皿を上と下から囲うようにしてテープを貼ります。

タナ障害のサポーター

膝のお皿の動きを抑えるようなサポーターの着用も有効です。

タナ障害の予防・リハビリ方法

タナ障害は繰り返し膝への負担がかかる事で発症します。特に曲げ伸ばしする事の多いスポーツで多く見られます。

曲げ伸ばしのときの膝への負担を減らす事が予防となります。

今回は直接タナ障害を改善する方法というよりも、膝への負担をかけない方法をお伝えしていきます。

膝を曲げる動作にて重要なのは、膝以外の身体の動きです。

2つのスクワット動作を見てみましょう。

骨盤が起きていて重心が前にあるスクワット動作

骨盤が倒れていて猫背、重心が後方にあるスクワット動作です。

自分で体感するとわかるかと思いますが、重心が後方にある2のスクワット動作の方が膝への負担が大きくなります。

なぜ膝に負担がかかるのか?
●後方に重心がかかっていると、そのままでは後ろに倒れてしまいます。

●倒れないように太ももの前面にある大腿四頭筋が過剰に働きます。→これでバランスをとります。

●大腿四頭筋が普段よりも大きく働く→膝のお皿への圧迫力を強めます。

●膝への負担が大きくなります。

2のようなスクワット動作になりやすい人の特徴

  • 猫背
  • 骨盤後傾位(後ろに倒れている)
  • 股関節の柔軟性が乏しい(特に曲げる屈曲という動き)
  • 足首の柔軟性が乏しい(つま先を上に挙げる背屈という動き)

以上は膝に負担がかかりタナ障害になりやすい要素です。

猫背の改善ストレッチ

方法①

仰向けに寝ます。
バスタオルを丸めた物を背中の真ん中におきます。
そのまま両手をバンザイして背中を伸ばしていきます。
背中が伸びている事を感じながら30秒以上ストレッチしていきます。

方法②

四つ這いになり、胸を張って背骨全体を起こすように反らすのと、背骨全体を丸めるのを交互に繰り返していきます。

骨盤が後ろに傾かないようにする方法

臀部のストレッチ

お尻の筋肉が硬いと骨盤が後傾しやすくなりますのでストレッチをします。

伸ばす方の足を上にして組みます。

胸を張ったまま体を前に倒していきます。お尻の筋肉が伸びている事を感じ、30秒以上ストレッチしていきます。

ハムストリングスのストレッチ

太ももの裏のハムストリングスが硬いと骨盤が後傾しやすくなりますのでストレッチをします。

これはダメ

伸ばす方の脚を前に出して踵を付き、つま先を上に向けます。
身体が丸まらないように前に倒していきます。太ももの裏が伸びている事を感じ、30秒以上ストレッチします。

腸腰筋筋力トレーニング

座った姿勢で背骨を真っ直ぐに保ちながら、脚をゆっくりと90°以上挙げていきます。
この時、背中が丸まらないように、骨盤が後ろに倒れないようにする事がポイントです。

ふくらはぎのストレッチ

足首の柔軟性を改善できるストレッチです。

伸ばしたい方の脚を後方に引いて、前に体重をかけてふくらはぎを伸ばしていきます。

膝を伸ばした状態と曲げた状態で30秒以上ストレッチしていきます。
(膝を伸ばした状態だとふくらはぎの腓腹筋、膝を上げた状態だとヒラメ筋という筋肉がストレッチされます。)

スクワット訓練


骨盤を前傾(前に傾ける)させて、股関節を曲げるように意識してスクワットを行います。

まとめ

●タナ障害とは関節にある滑膜ヒダが分厚くなり、膝関節に挟まる事で発症する。

●症状は膝のお皿内側部の痛みと引っ掛かり感やクリック音が主である。

●予防のためには膝へのストレスを軽減させる動作の学習が重要である。

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