足首の後ろの痛み!三角骨障害の治療・テーピング・リハビリ全知識
かかとの周りや足首の後ろの部分に痛みが出る障害はいくつか種類がありますが、その中の一つに三角骨障害というものがあります。
三角骨障害は野球・サッカー・バレエをする人に多くみられます。
今回は三角骨障害の症状・治し方・リハビリついて詳しく解説していきます。
三角骨障害とは
つま先立ちをした時や、サッカーのキック動作(特にインステップキック)などで、つま先を下にむける動作によって、足首の後方部分に痛みを生じるケガです。
バレエのダンサーやサッカー選手などに多く見られます。
足関節後方インピンジメント症候群とも言われます。
三角骨とは
三角骨とは本来なら存在しない骨です。
しかし全体の10%の確率で三角骨が存在する人がいるといわれます。
足首の後方には踵骨と距骨があります。距骨の後方に小さな骨が見られますがこれが三角骨です。
●成長期の10歳前後の頃に、距骨の後ろに骨が形成されてきます。
●その際にうまく骨がくっつかない事で発生するケースがあります。
●または捻挫や足首の使いすぎが原因で、距骨の後方部分の先端が折れてしまって分離して三角骨になってしまう事もあります。
三角骨障害の痛みの原因
実際、三角骨が存在するだけでは痛みを起こす事もなく、何の問題もなくスポーツすることは可能です。しかし、捻挫を繰り返したり、足首を過度に使う事によって障害が生じるのです。
- つま先を下にむける時に三角骨が挟まれる
つま先を下にむけるような足首の動きを底屈といいます。
底屈をすると、踵骨が脛骨(スネの骨)に近づくような動きとなります。底屈のときに三角骨が挟まれるような感じになります。これが痛みを引き起こす原因です。
- 長母趾屈筋腱が三角骨で摩擦する
距骨の後方に長母趾屈筋という筋肉の腱が走行しています。この長母趾屈筋腱が、三角骨によって摩擦を受けて炎症を起こす事で痛みが生じます。
※長母趾屈筋とは
●ふくらはぎの奥にある筋肉です。
●腓骨という骨とその周囲の骨膜から足の親指の付け根についている筋肉です。
●足の親指を曲げる役割があります。
●つま先を下にむける(底屈)役割があります。
画像のように長母趾屈筋は三角骨のすぐ後ろを通るため、三角骨障害によって摩擦が起こり、炎症を起こして痛みが出やすいです。
このように三角骨が足の後方で挟み込まれる事によって生じるため、足関節後方インピンビメント症候群とも呼ばれます。
三角骨障害の診断
三角骨障害の診断はレントゲン写真にて確認できますが、CTやMRIなどでより精密に検査する事もあります。
三角骨障害の治療
治療方針として大きくわけて二つの種類があります。
保存療法
三角骨障害の多くは、手術などをしない保存療法がまず選択されます。
- ハイヒールや原因となっている底屈を繰り返すような運動を休止し、患部への負担を軽減させます。
- 場合によっては痛み止め薬の服用
- 患部に痛み止めの注射を打つ場合もあります。
- テーピングで固定
- サポーターで固定
といった治療が行なわれます。
三角骨障害のテーピング
つま先を下にむけるような足首の動き(底屈)を制限するテーピングの方法です。
テーピングの巻き方
テープは非伸縮性の固定用のテーピングを使用します。
①アンカーテープ
足の甲の部分と、くるぶしの上にテープを巻きます
②スターアップ
くるぶし上のテープから内くるぶしを通り、反対側のアンカーテープまで巻きます。
この時足首は90°を保つようにします。
③
②にテープから少し前方にずらして同様に巻きます。
④エックスサポート
足の甲の中心を通るようにくるぶし上のアンカーテープから、下のアンカーテープまで巻きます。足首は90°を保ったままです。
⑤エックスサポート
④のテープに対してエックス字のように交わるようにテープを巻きます。
⑥ホースシュー
スターアップテープとエックスサポートテープが浮かないように巻いていきます。
⑦ヒールロック
※実際は⑥の続きから貼ります。
内くるぶしの上を斜め下に入り、外側の踵、足の裏を通り甲に貼ります。
⑧
⑦と反対に外くるぶしの上を斜めに入り、内側の踵、足の裏を通り甲に貼ります。
完成です。
三角骨障害のサポーター
三角骨障害のサポーターはつま先を下にむけるような足首の動き(底屈)を制限するものが良いです。
手術療法
保存療法を継続しても改善しない場合は手術療法が選択されます。
●主に三角骨を摘出する手術をします
●ほとんどが関節鏡を用いた手術です。傷も少なくすみます。
●場合によっては三角骨の後方を通る長母趾屈筋腱の周りをクリーニングするような方法も行われます。
●ここでいうクリーニングとは、実際は滑膜という関節を包む膜の切除です。
手術してからの復帰までの期間
個人差もありますが、手術後はおおよそ2〜3ヶ月でスポーツ復帰を目指します。
プロスポーツ選手にもみられる三角骨障害
プロスポーツ選手にも三角骨障害はよくみられます。症状が改善しない場合や、先々のプレーの影響を考え、プロスポーツ選手でも手術をすることが多くみられます。
三角骨障害を発症した主なスポーツ選手
大谷翔平(日本ハムファイターズ)
元々足首の捻挫を繰り返していたとされ、2017年を10月に手術。
この怪我の影響で期待されていたWBCへの出場も辞退している。
石井一久(当時西武ライオンズ)
2010年に三角骨障害摘出手術を受ける。
中村俊輔(当時横浜Fマリノス→ジュビロ磐田)
2015年に三角骨摘出手術を受ける。
登里享平(川崎フロンターレ)
2015年に三角骨摘出手術を受ける。
捻挫を何度もすると三角骨障害の原因となる⁈
よく「足首の捻挫はくせになる」といわれます。捻挫は小中学生から大人まで多くの年代、多くのスポーツでみられます。
ねんざの直後は痛みが強く、スポーツを継続することに大きな支障をきたしますが、ある程度痛みが引くときちんと治さずに復帰してしまうケースを多く見かけます。
そのままきちんとリハビリをしないままだと、足首の硬さや筋力低下、関節の不安定性が後遺症として生じてしまいます。
その状態でスポーツ復帰をする事で、再度捻挫をしてしまうという事がよくあります。これが捻挫はくせになるといわれる所以かもしれません。
捻挫とは靭帯が損傷している状態を指します。初めは骨には障害はなく、軽度の靭帯損傷であっても、繰り返し捻挫をする事で三角骨障害にいたる事があるので捻挫をあなどらずしっかりと治す事が大切です。
三角骨障害の予防のリハビリ
三角骨障害を防ぐためには、捻挫後の後遺症を改善させることが重要です。
捻挫後は足首の可動域制限、筋力強化、バランス改善が重要です!
①背屈ストレッチ
アキレス腱伸ばしの要領でふくらはぎの筋肉をストレッチします。
この時膝が伸びていると腓腹筋が、膝を曲げているとヒラメ筋が重点的にストレッチされます。
つま先をまっすぐ伸ばしたまま30秒以上ストレッチします。
②底屈ストレッチ
椅子に座り、足首を底屈方向に手で伸ばします。
この時親指を曲げるようにストレッチするのがポイントです。
③長母指屈筋リリース
足の裏の土踏まずの部分をテニスボールで圧迫してマッサージするように転がします。
④長母指屈筋ストレッチ
土踏まずの部分を指で圧迫して、親指を反らすように伸ばすことで長母指屈筋がストレッチされます。
足首の筋力トレーニング
鍛える筋肉は主に以下の筋肉です。
前脛骨筋
スネの前にある筋肉で足首を背屈(つま先を上に向ける)させる働きがあります。
下腿三頭筋
ふくらはぎにある筋肉で主に足首を底屈(つま先をしたに向ける)させる働きがあります。
腓骨筋
スネの外側にある筋肉で主に足首を底屈、外反(つま先を小指側に向ける)働きがあります。
①下腿三頭筋の筋力トレーニング
カーフレイズと呼ばれるトレーニングです。踏み台などで踵を出した位置からつま先立ちをします。つま先立ちからゆっくりと踵を下していくのがポイントです。
正常な筋肉では片足で25回程度困難なく出来る事ができます。
②前脛骨筋トレーニング
セラバンドを使い、足首を上に向ける方向にセラバンドを引っ張り前脛骨筋を収縮させます。
③腓骨筋トレーニング
セラバンドを使い足を小指側に引っ張り、腓骨筋を収縮させます。
バランストレーニング
バランスディスクやバランスボードなどを用いて片足でバランスをとる練習などをして足首で体を安定させるトレーニングをします。
まとめ
●三角骨障害は足首の底屈時に、後方にある三角骨が挟み込まれたり、腱が摩擦を受ける事で発症する。
●足首の捻挫の後遺症が引き金となる事もあるため、予防にはリハビリが重要
●プロスポーツ選手では手術による治療もよくみられ、復帰には2~3ヶ月を要す
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