ランニングで膝の痛み!『ランナー膝』の治し方・ストレッチ・筋トレ法
ほとんどスポーツでは下半身の強化のためにランニングを行うと思います。
また昨今のマラソンブームでランニングを日課にしている方も多いでしょう。
ただし、膝への負担がかかりすぎると、膝を壊してしまうケースもあります。
今回は『ランナー膝』の原因・治療・リハビリ・予防について詳しく解説します。
ランニングで起きる膝の痛み『ランナー膝』(腸脛靭帯炎)の治し方
ランニングしていると膝の外側に痛みが出る膝の障害をランナー膝またはランナーズニーと呼びます。
陸上選手のみならずトレーニングとして長距離を走る事は多いためか、様々なスポーツにおいてもみられる事の多いケガです。
ランナー膝とは?
ランナー膝は正確には腸脛靭帯炎という病名です。
簡単にいうと腸脛靭帯が炎症を起こしている状態です。
腸脛靭帯とは
腸脛靭帯とは太ももの外側にある靭帯です。
- 膝を伸ばすと前に動きます。
- 膝を曲げると後方に動きます。
- 前後にスライドするような動きをします。
●このスライドの動きが大腿骨の外顆という骨の突出した部分とこすれて摩擦が起きます。
●そして炎症を起こし『ランナー膝』を発症してしまいます。
●大臀筋
の2つの筋肉が硬くなると腸脛靭帯のスライドの動きが悪くなります。
すると摩擦がおきやすくなり『ランナー膝』になってしまう可能性が大きくなります。
ランナー膝の症状
- 膝のお皿の斜め上の外側に痛みがでます。
- 大腿外側部全体に痛みが出る事もあります。
●初期の場合
- ランニングの後にお尻(殿部)や太ももの外側に違和感や痛みがでます。
- 休むと治ります
●悪化した場合
- ランニングを開始してすぐに痛み出します。
- 歩くときや階段の上り下りにも痛みが出てしまいます。
ランナー膝の原因
ランナー膝(腸脛靭帯炎)になってしまう原因は次の通りです。
原因① 走りすぎ
走りすぎ(オーバーユース)がランナー膝の一番の原因です。
急にランニングを始めた、練習量が急に増えたなど、今までかからなかった負荷がかかる事で症状が出やすくなります。
原因② 走る地面が悪い
●陸上トラックでははずっと左周りで走ります。
●すると左の外側に負荷がかかります。
●片方の足に負荷がかかり過ぎて痛みが出る事があります。
対策:反対周りに走ることを心がけましょう。
●一般の道路は端っこが低くなっています。(水はけを良くするため)
●その道路の端を走ると、身体にアンバランスな負荷がかかります。
●道路の左側を走る事が多いと、左側が低くなっているため、より外側に負荷がかかります。
●負荷がかかり過ぎると痛みが出ることがあります。
対策:なるべく平らな道を走ることを心がけましょう。
原因③ O脚
足の内くるぶしをつけた状態で立ち膝の間に隙間がある足をO脚と呼びます。いわゆるガニ股です。
膝が外側を向くO脚だと腸脛靭帯と大腿骨がこすれやすくなるため摩擦が生じ、炎症を起こしやすくなります。
原因④ 外側に重心がかかりやすい
走っているフォームで極端に外側で体重を受け止める癖のある人は、ランナー膝(腸脛靭帯炎)になりやすいといわれています。
チェック方法:靴の踵の外側が減っている場合は注意が必要です。
原因⑤ 踵の骨が傾いている
立った姿勢で後ろから踵の傾きを見た時に、内側に倒れているのを回内足、外側に倒れているのを回外足といいます。
回内足の人の場合
●足には衝撃を吸収するアーチという機能があります。
●アーチとは土踏まずの事です。(正式には内側縦アーチ)
●回内足の場合このアーチが潰れやすいです。。
●すると着地の際に膝を『内側にひねるようなストレス』がかかりやすくなります。
●そうなると腸脛靭帯に引っ張られて炎症が起こりやすくなります。
回外足の場合
●身体の外側に重心がかかりやすくなります。
●すると膝が外に向いてしまいます。
●膝が外に向くと腸脛靭帯がそれ以上外に行かないようにブレーキの役割を果たします。
●その繰り返しによって炎症が起こりやすくなります。
原因⑥ 靴が悪い
シューズのクッション性は非常に大切です。走っている時の衝撃を吸収してくれるからです。
シューズの底が硬かったり、薄過ぎたりすると衝撃がもろに膝にかかるため痛みを引き起こしやすくなります。
古いランニングシューズも踵や底が薄くなっているため、チェックして新しい靴に取替えましょう。
原因⑦ スパイクのまま走る
野球やサッカーをしている人はスパイクシューズのままグラウンドのランニングを行うと足への負担を強めてしまいます。
ランニングをする場合は『ランニングシューズ』に履き替えましょう。
ランナー膝かどうか?自宅で簡単チェックする方法
①グラスピングテスト
座った状態で膝のお皿の少し上の外側部分を指で圧迫します。
大腿骨外側上顆と呼ばれる部分です。
圧迫した状態で膝の曲げ伸ばしをして痛みが出たらランナー膝(腸脛靭帯炎)の可能性が非常に高いです。
②オーバーテスト(オーベルテスト)
痛い方を上にして膝を曲げて横向きで寝ます。
痛い側の足を後ろに引いてそのまま下に足を下ろします。下がらない場合や、膝に痛みが生じる場合はランナー膝(腸脛靭帯炎)の可能性が高いです。
③スクワッティングテスト
痛い方の足を前に出して膝を曲げていきます。
つま先を真っ直ぐで曲げる
つま先を内側に向けて曲げる
つま先を外側に向けて曲げる
3つの状態で膝を曲げて、内側にした際に痛みが出て、真っ直ぐと外側では痛みが出ない場合はランナー膝(腸脛靭帯炎)の可能性が高いです。
ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治し方とストレッチ・筋トレ
- 1番は重要なのは負荷を少なくさせるために無理をしない事です。
- ランニングしていて膝の痛みがある時は走る距離を減らす。
- 膝に負担のかかる事はやめて、患部を安静にする事が大切です。
走った後のアイシング
走った後に痛みがある場合は患部をアイシングしましょう。冷やす事で炎症を抑える事ができます。
大臀筋と大腿筋膜張筋のストレッチが重要
腸脛靭帯は前では大腿筋膜張筋、後ろでは大臀筋とつながっています。
この2つの筋肉が硬くなると、腸脛靭帯の緊張が高まり、骨との摩擦を生じやすくなります。
大臀筋と大腿筋膜張筋の柔軟性を高めるようにしましょう。
ランナー膝のストレッチ①大臀筋
伸ばす方の足を上にして図のように組みます。
そのまま上半身を前傾させていきます。お尻が伸びているのを感じながら30秒以上伸ばします。
※骨盤倒れていると十分に伸ばせません
ランナー膝のストレッチ②大腿筋膜張筋
壁に手をつき、伸ばしたい方の足を後ろで交差させます。
そのまま壁に体重をかけていき、骨盤の横が伸びているのを感じながら30秒以上伸ばします。
別の方法
仰向けに寝て、伸ばしたい方の足を反対側に乗せて交差します。
図のように手で足を引っ張り、骨盤の横の部分が伸びているのを感じながら30秒以上伸ばします。
ランナー膝の筋トレ・中臀筋
片足立ちで体重を支える時に最も重要な筋肉は中臀筋と呼ばれる筋肉です。
骨盤から太ももの外側についています。
中臀筋が弱くなると、大腿筋膜張筋や大臀筋がかわりに過剰に働くようになり、硬くなりやすくなります。
中臀筋の筋力を高める事がランナー膝の予防につながります。
横向きに寝て、鍛える方の足を上にします。
その状態から真上に足を挙げていきます。
骨盤が後ろに倒れたり、膝のお皿が上に向かないようにして行うのがポイントです。
普段の姿勢に注意しよう
座っている姿勢には気をつけましょう。
学校の授業やデスクワークなどで座っている時間が長い人の注意点です。
猫背の姿勢だと、大臀筋が常に縮まっている状態になるため柔軟性がなくなってしまいます。大臀筋の硬くなると腸脛靭帯のストレスを高めてしまいます。
足を組む癖がある人も要注意です。同じ方向で足を組んでいると股関節の動きに左右差が出来てしまいます。
また骨盤の左右の高さも変わってしまうため、大臀筋や大腿筋膜張筋が硬くなりやすいです。
まとめ
●ランニングで膝に痛みを感じる時は「ランナー膝」を疑おう。
●ランナー膝、ランナーズニーとは腸脛靭帯炎の事である。
●オーバーユースが一番の原因であるため練習量や走る環境を変える事が重要。
●痛みがひどい時は休むことも必要
●予防、改善のためには骨盤につく大臀筋や大腿筋膜張筋の柔軟性を養うストレッチ・中殿筋の筋力アップが重要
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