くるぶしが痛い!足根洞症候群の原因・症状・治療・リハビリの全知識
足首の捻挫をした後、なかなか痛みが引かずに慢性的にくるぶしの周りが痛む病態。
ひょっとすると足根洞症候群かもしれません。
今回は捻挫後に生じやすい足根洞症候群について解説していきます。
足根洞症候群とは
足根洞と呼ばれる足の外くるぶし周囲にある溝部分に、炎症や痛みがあり、足首の不安定感を生じる病態です。
引用:ヒグチ整骨院
足首の捻挫をして、そのまま放置していたり、何度も捻挫を繰り返していることで発症します。
外くるぶし周囲に痛みが生じるのが特徴です。
足根洞とは
※ 赤丸の部分が足根洞です。
足根洞とは外くるぶしの下にある骨と骨の空間の事です。
足首は医学的には足関節(そっかんせつ)と呼ばれます。
足関節は脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)という骨で構成されています。
また足関節には直接含まれませんが、足部には足根骨と中足骨、足趾骨が含まれます。
足根骨
- 踵骨
- 距骨
- 舟状骨
- 立方骨
- 内側楔状骨
- 中間楔状骨
- 外側楔状骨
中足骨
- 第1〜5中足骨
足趾骨
- 末節骨
- 基節骨
- 中節骨
足根洞とは距骨と踵骨の間にある空洞のようなスペースをいいます。
足根洞には骨間距踵靭帯があり、この靭帯は距骨を安定させる作用があります。
また足根洞には動きを感知するセンサーのような受容器が豊富である事や神経が痛みを感じやすいのが特徴です。
足根洞症候群の原因
足根洞症候群の原因は、捻挫が治りきってなかったり、繰り返し捻挫をする事によって、足根洞の骨間距踵靭帯が損傷を起こしたり、滑膜(関節を覆っている膜)が炎症を起こす事で起きてしまいます。
骨間距踵靭帯は距骨を安定させる作用があるため、足根洞症候群になると足首が不安定になります。
足根洞症候群の症状
足根洞症候群は次の症状がみられます。
- 外くるぶしの前方部分を押すと痛い
- 不整地を歩いた後に痛い
- 足首を内側にひねると痛い
- 足首が不安定な感じがする
足根洞症候群の診断
足根洞症候群が疑われる場合は整形外科を受診する事をオススメします。
レントゲンでははっきりと写りませんが、足根洞の圧痛所見で診断される事もあります。
MRI検査にてはっきりと診断されます。
足根洞症候群の治療方法
足根洞症候群の治療方法は保存療法と手術療法に分けられます。
足根洞症候群の治療①保存療法
外科的な手術を行わない治療方法を保存療法といいます。主な方法を以下に挙げていきます。
サポーターやインソール・テーピングで保護する
患部への負担の軽減を目的にサポーター、インソールの着用やテーピングなどが処方されます。
足根洞症候群の多くは足首が内側に入る内反という動きによって痛みが生じます。そのため内反の動きを制動するようなサポーター、インソール、テーピングが有効である事が多いです。
※サポーター、インソール、テーピングは効果に個人差があり、逆に症状を悪化させる場合もあります。実際に使用してみて症状が思わしくない場合は医師や理学療法士などに相談してください。
●サポーター
サポーターは種類が様々ですが、バンドでしっかり巻き付ける事ができるようなタイプが固定性もありおすすめです。
●インソール
足首の衝撃を軽減させるようなインソールも効果的です。
●テーピング方法
足根洞症候群の治療②注射
足根洞内に局所麻酔剤やステロイドを注射にて注入します。炎症が緩和する事で劇的に回復する事もあります。
足根洞症候群の治療③リハビリテーション
足根洞症候群は捻挫をした後の後遺症が完治していないため発症するケースが多いです。
足首の関節の動きの悪さや支える筋肉の弱化が原因となるため、それらを改善させるためにリハビリを行います。
足根洞症候群の治療④手術療法
保存療法を継続しても効果が得られない場合は足根洞内に増殖した瘢痕組織を除去する手術を行う事もあります。
足根洞症候群の予防
捻挫したらしっかりとリハビリをする事!
足根洞症候群は捻挫の後遺症であったり、度重なる捻挫によって発症します。
捻挫は歩けるようになったら治ったと勘違いされやすく、甘く考える人が多いです。
しかし、捻挫によって靭帯が痛んだままだったり、関節が正常に動かないままの事が多く後遺症を残しやすいのです。
捻挫は関節が動く範囲を超えて強制的に動いてしまった結果、組織を痛めてしまった状態です。
足首の捻挫の応急処置・治療法・リハビリ方法の記事も参考にしてみてください。
関節には正常に動く範囲が決まっています。
正常に動く範囲以上に動かないように関節を固定しているのが靭帯です。
捻挫はその靭帯を痛めている状態です。
足の捻挫で痛めやすい靭帯は?
足の捻挫のほとんどは内側にひねる内反捻挫です。
内反捻挫で痛めやすいのは、前距腓靭帯とそして踵腓靭帯です。
足根洞症候群にならないための予防リハビリ
足根洞症候群を予防するためには足首に周りの筋肉をしっかりと働かせる事が重要となります。
捻挫の後は足首を支える筋肉が弱りやすく、運動によって負担がかかりやすくなります。
すると足根洞が炎症してしまい発症します。
以下に主なトレーニング方法を紹介します。
予防リハビリ①腓骨筋トレーニング
膝の下の外側にある腓骨筋という筋肉は足首の外側の靭帯のように内反捻挫を制動する役割があります。腓骨筋は足首を底屈(つま先を下に向ける動き)と外反(足首を外に捻る動き)に動かす作用があります。
小指側にセラバンドを巻き付け、外側に引っ張ります。
この時足の指が曲げて行う事、膝が動かないことがポイントとなります。
予防リハビリ②前脛骨筋トレーニング
前脛骨筋はスネの前にある筋肉で主に足首を背屈(つま先が上に向く動き)させる作用があります。
セラバンドを足の甲に巻き付け、つま先を上に向けます。この時足の指を曲げて行うことがポイントです。
予防リハビリ③後脛骨筋トレーニング
後脛骨筋はふくらはぎの奥にある筋肉で主に足首を底屈(つま先を下に向ける動き)と内反(内側に捻る動き)させる作用があります。
セラバンドを親指側に巻き付け、足首を内側に捻るように動かします。
予防リハビリ④足趾屈筋トレーニング
タオルを足に指でしっかりとつかむ動きを繰り返します。
足は体の土台となるため非常に重要!
足は走ったり、ジャンプしたりする際に土台となる非常に重要な部分です。
足の体重がかかる位置が変わるだけで、足から上の膝、股関節、骨盤、背骨、首すべてに影響を及ぼします。
家やビルの土台部分が歪んでしまうと建物全体が歪んでしまうように、足が歪むだけで体全体に歪みを生じさせることになります。
足根洞症候群や捻挫などを放置してスポーツを続けたり、歩き続けると足だけでなく、膝や腰の怪我に繋がってしまうため、甘く見ずにしっかりと治すことが大切です。
まとめ
●足根洞症候群は捻挫の後に生じやすく、外くるぶしの前方に痛みが起こる病態である。
●予防のためには捻挫後にしっかりとケアをする事が重要。
●足は身体の土台となり、全身に影響を及ぼすため、膝や腰の怪我の原因ともなりうる。