潰瘍性大腸炎の原因と症状は?死亡率や治療法を教えます。
メディアで盛んに伝えられている潰瘍性大腸炎は、難病指定されている中でも最も数が多いと言われている病気です。
難病指定というと怖いイメージですが、なってしまった場合にも対処をすれば普通の生活が送れる病気です。
ここでは、潰瘍性大腸炎とはどのような病気なのか、死亡率や症状、原因、治療、助成金の手続きなどを紹介したいと思います。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸の表面を覆っている粘膜が炎症を起こしてしまう病気です。
その炎症が長くなると慢性化してしまい、潰瘍(組織が欠損してしまうこと)になったりただれ(びらん)になってしまうのが特徴です。
ピークは女性では20代前半、男性では20代後半です。
しかし、幼児期や50代になってから発症する人などもおり、多岐にわたっています。
潰瘍性大腸炎は、指定難病97に認定されています。
難病とは厚生労働省が定めた特定の疾患です。
一般的には治療がむずかしく、慢性の経過をたどる疾病を意味します。
患者数は166,060人(平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計)
人口1000人あたり1人程度です。また毎年1万5千人ほど新しい人が発症しています。
引用:Minds ガイドラインライブラリ潰瘍性大腸炎の死亡率
治療を行っていながら、潰瘍性大腸炎で直接亡くなるということは、現在の日本では殆どありません。
また潰瘍性大腸炎が重症化(潰瘍大腸炎が広範囲に広がること)すればするほど死亡率は上がりますが、適切な治療を行っている場合において、死因になることは稀です。
しかし潰瘍性大腸炎は大腸癌になる可能性がかなり高く、そのまま放置していたり、適切な治療をしていないために死亡してしまう人は多いです。
潰瘍性大腸炎の症状
もしかして、自分の潰瘍性大腸炎では?と思う人もいるかもしれません。
ここでは、潰瘍性大腸炎の初期症状を紹介します。
初期症状は以下の5つです。
下痢
1時間に4回以上、それが3時間以上続いている場合など、風邪や食あたりなどではないのに、下痢の症状が続いている人は要注意です。
微熱~38度ほどの発熱
腸が炎症を起こしている状態ですので、微熱が下痢と共に続きます。
人によっては38度ほどの発熱が続きます。
血便
腸壁がただれている状態ですので、出血しやすく血便が出る場合が多いです。
痔のようではなく、濃い赤茶色や黒っぽい血が便に付着しています。
*血便が出たら潰瘍性大腸炎?と心配してしまいますが、通常は痔や便が硬く肛門付近が裂けてしまうような事が多いです。
しかし、あまりにも血便や出血が続くような場合には、病院へ行くことをおすすすめします。
腹痛
炎症を起こしているので、痛みが絶えず襲ってきます。
胃痛のような「シクシク」という痛みではなく、「ズキズキ」という痛みが絶えず襲ってきます。
体重減少
下痢が酷く、発熱、腹痛などで食欲もなくなりますので、徐々に体重が減っていきます。
初期のころは、1-5までの症状がある日収まったり、また急に始まるのを繰り返して症状が進んでいきます。
これらを寛解と再燃といい、繰り返しながら症状が進んでいきます。
重症化すると
1.下痢が1日20回以上続くため、トイレから出れなかったり、日常生活を行えなくなる
2.貧血が酷くなる(出血のため)
3.腹痛のため日常生活が困難になる
4.関節炎が酷くなり、歩行困難になる(潰瘍性大腸炎の主な合併症です)
5.慢性化すると、結腸癌になりやすい(結腸とは、お腹を真横に走っている腸です。)
大腸癌になる可能性は潰瘍性大腸炎にかかっていない人の4-5倍にも高くなります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎のメカニズムについては、現在のところ原因不明です。
未だにその原因究明のために研究が行われています(2018年3月時点)。
しかし潰瘍性大腸炎の消化管の炎症は、遺伝的要素と環境的要素が同時に組み合わさった場合に発症しやすいと考えられています。
例えば、免疫というものは私たちの体を外界の攻撃から守ってくれます。
しかし、潰瘍性大腸炎の場合には、その免疫が外の敵ではなく、味方である私たちの体を攻撃してしまう、自己免疫性疾患により引き起こされると考えられています。
さらに、遺伝的要素も強く、家族や親戚などに潰瘍性大腸炎の人がいると一般的になりやすいと言われます。
最近では、この他に欧米化にともなった生活習慣の変化により潰瘍性大腸炎になりやすくなったという報告もされています。
ストレスで潰瘍性大腸炎になる?
ストレスが潰瘍性大腸炎の主な原因ではありませんが、その要因の1つになっていることは確かです。
ストレスが長い間溜まり続けると、活発な活動を行う場合に主な司令塔になる交感神経が優位(主に活動するようになる)に立ちます。
交感神経ばかり優位に立ち続けると、ホルモンバランスが狂うようになり、体の免疫機能にも異常が出てきます。
ただし、ストレスは目に見えず、他の人と比べることができないので、なかなか周囲に理解されなかったり、自分でも認められず、体調をおかしくしてしまう場合が多いです。
潰瘍性大腸炎の診断基準
大きく3つの検査を行います。
1.血液検査や生検(病気の診断のために生体の組織片を切り取って顕微鏡などで調べる検査)
この検査では、潰瘍性大腸炎によって貧血や血便が出ているのか、それとも感染症や腫瘍などの他の原因により潰瘍性大腸炎と同じような症状が出ているのか、区別するために行われます。
2.便潜血検査,便培養検査
この検査では、血便が本当に潰瘍性大腸炎により出ているのか、それとも他の原因により血便になっているのかを調べます。
3.大腸カメラ検査(S状結腸鏡検査)
この検査では、実際に大腸のどこが炎症を起こしているのか、特定するために行われます。
潰瘍性大腸炎の治療
治療は主に以下のもので行います。
●症状緩和のためにロペラミドおよび食事管理
●メサラジン(5-ASA)
●症状および重症度に応じてコルチコステロイドおよび他の薬剤
●サイトカイン阻害薬
●手術
その他に、食事療法(脂質を少なくしたり、野菜を多く食べるようにするなど)、生活習慣(早寝、早起きで十分な睡眠をとり、ストレスを貯めないよう休息をとるなど)などの指導も行われます。
潰瘍性大腸炎は医療費助成が受けられます。
潰瘍性大腸炎は、難病指定に登録されている病気です。
ですので、医療費助成を受けることができます。
参考資料:厚生労働省
申請手続きの方法
①難病指定医を受診し、診断書の交付を受けます。
市役所(保健福祉担当課)に問い合わせを行い、難病指定医を探してください。
②診断書と必要書類を合わせて都道府県窓口(保健福祉担当課か最寄りの保健所)に提出し、医療費助成の申請をします。
必要書類
・申請書(市役所か最寄りの保健所で入手)
・診断書(臨床調査個人票)
・住民票
・支給認定世帯の所得を確認できる書類
・健康保険証の写しなど
*必要な書類は各都道府県で異なりますので、まずは市役所へ連絡して不備のないようにしましょう。
③審査後、認定されれば、都道府県から医療受給者証が交付されます。
*「医療受給者証」の有効期間は、原則として申請日から1年以内で都道府県が定める期間です。1年ごとに更新の申請が必要です。