双極性障害(躁うつ病)かどうかチェック!原因~症状~治療方法・全知識

双極性障害とは

双極性障害というのは精神疾患の一つで、うつ病や躁病などと同じカテゴリーの気分障害に分類されている精神疾患です。

双極性、とは両端の症状が出る、という意味を指しています。

気分の落ち込みだけの症状であれば「うつ病」という病名がつきますが、逆に気分が高揚する状態を「躁病」と言いましてこのうつ病と躁病の症状を交互に発症する慢性の状態を双極性障害
と呼びます。

ここではそんな双極性障害についてお話ししていきます。

スポンサーリンク

双極性障害かどうかチェック

双極性障害は躁状態と鬱状態が交互に出てくる慢性の精神疾患です。

日常的に以下のような状態が交互に現れる時は双極性障害の症状かもしれません。

躁状態のチェック

  • 気分が特に理由もなく高揚する
  • 物事を拡大して捉える
  • 誇大妄想がある
  •  周囲に対して怒りっぽくなる
  • 金遣いが荒くなり借金して何かを購入したりする
  • 色々な考えがどんどん頭の中に現れてくる
  • 寝ないでも日中の活動に支障がない
  • 口数が多くおしゃべりが止まらない

うつ状態のチェック

  •  食欲が出ない、食べ物がおいしくない。
  • 体重が減った
  • 一日中気分がゆううつで、空虚な気持ちになる
  • 趣味などに興味がもてない、楽しめない
  • 夜は寝付けず、朝早くに目が覚めてしまう
  • 自分に価値が見出せない
  • 集中力が低下する
  • 決断力がなくなって物事が決められない
  •  自殺について考える

双極性障害の原因

双極性障害の原因の一つに家族内で遺伝すると言われています。

また、種々の疾患によっても2次的に双極性障害を引き起こします。

脳の病気で言ったら頭部外傷、ハンチントン病、多発性硬化症などです。

そのほかにも膠原病、感染症内分泌系疾患や薬物でも双極性障害を発症すると言われています。

双極性障害の症状

双極性障害の症状は上であげたような症状をきたすことになります。

医師の診察では単純な躁状態、鬱状態という以外に、さらに細分化して捉えることが多いです。

躁状態の症状

躁状態では、ほとんど夜間睡眠をとることなく活動し続け、周囲に対して多弁になって休む間もなくしゃべり続けてしまうので、周囲が疲れ切ってしまうことがあります。

仕事や勉強には活発に取り組みますが、ひとつのことに集中できずあれもこれも手を出します。

そのほかに借金をつくってしまったり、法的な問題を引き起こしたりして社会的信用を失ったり、また、自分は特別であるといった誇大妄想を認めることもあります。

軽躁状態の症状

軽躁状態では、上記の躁状態のように無茶苦茶な状態になったり、周りに迷惑をかけることはほとんどありません。

少しテンションが高いかな、と思われる程度です。

躁状態と軽躁状態に共通していえること、本人が自分の症状を自覚するケースが少ないということです。

うつ状態の症状

躁状態に対して、双極性障害の人が自分の異変に気付くのがこのうつ状態の時です。

あらゆることにまったく興味をもてなくなり、何をしても楽しさや喜びを感じなくなる「興味・喜びの喪失」の二つが、うつ状態のメイン症状と言われています。

これらの二つの症状のうちひとつ症状があり、さらに早朝覚醒、体重の減少、食欲低下、価値を見出せない、やる気が出ない、希死念慮といった症状のうち、5つ以上が2週間以上続く状態をうつ状態と呼びます。

病相の変化

双極性障害では、最初の病相(うつ状態あるいは躁状態)から、次の病相が出現するまで、4-5年くらいの期間があります。

症状が落ち着いている期間は何の症状もありませんが、この期間に薬を飲まないと繰り返し躁状態やうつ状態が起きます。

そして無治療のままでいるとこの病相の期間が徐々に短くなっていき、薬も効きにくくなると言われています。

本人の躁状態の自覚がない場合、多くの患者さんはうつ症状が現れた際に、自分はうつ病だと思って受診します。

そして医師の診察で以前の躁状態や軽躁状態のことがうまく伝わらない場合、治療がうまく進まないことも指摘されます。

双極性障害が見逃されないように自分の状態をしっかり医師に伝えましょう。

双極性障害の治療方法

次に双極性障害で用いる治療法についてご説明します。

一般的に気分安定薬を使い、鬱状態の時は一般的なうつ病で使われる薬剤で治療されることもあります。

気分安定薬

リチウム

リチウムは、精神疾患の治療薬としては最も古くから知られているものの一つです。

躁状態、うつ状態の治療、および双極性障害の予防のいずれにも有効であることが証明されており、双極性障害の治療薬として、最も標準的で広く使われている薬です。

ラモトリギン

ラモトリギンは、双極性障害に対して再発予防作用があります。

 

バルプロ酸

バルプロ酸は、躁状態への作用があります。再発予防作用もある可能性が示唆されています。

カルバマゼピン

カルバマゼピンは躁状態への作用の他、再発予防作用があると考えられています。

非定型抗精神病薬

オランザピン、アリピプラゾール、クエチアピン、リスペリドンなどがあります。

いずれも躁状態に対する治療効果が報告されている他、クエチアピン、オランザピンは、双極性障害のうつ状態に対する治療効果が報告されています。

定型抗精神病薬

ハロペリドール、スルトプリド、レボメプロマジン、クロルプロマジンなどがあります。

抗うつ薬

SSRI(といわれる、パロキセチン、フルボキサミン、またはSNRIといわれるミルナシプランなどが一般のうつ病に対して最もよく使われている薬です

睡眠導入薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬などがあります。

治療の期間

双極性障害の治療目標は

  1. 再発予防をしっかり行い、社会生活を送れるようにする
  2. 躁状態を出現早期にコントロールし、社会生活に影響が出ないようにする
  3. 自殺予防

の3つです。

感染症のようにある期間薬を飲めばそれで治療完了、というものではなく再発予防も含め長期間の内服が必要です。

早い段階で治療を開始すれば、1~3カ月に1回、定期的に外来で診察を受けながら、薬をうまく利用して再発をコントロールし続け生活することが可能です。

再発しないようにするには

双極性障害は、放置すると躁状態とうつ状態を何度も繰り返してしまうので、一度の受診でこれらの症状が治ったからといってそこで治療を中断すると症状が再発してしまいます。

そのため長期にわたる再発予防が必要となります。重要なことは症状が治まっている期間でも薬を飲み続けなければいけないことです。

無症状なのに薬を飲むというのはなかなか困難で、患者さんは薬をやめてしまい再発してしまうことが見受けられます。

またうつ状態が重症化すると希死念慮を募らせる患者さんも少なくなく、最悪の場合、自殺という事態になりかねます。

こうした希死念慮はうつ状態で見られる症状ですが、治療すれば症状は改善します。

双極性障害の治療薬のリチウムには自殺予防効果があることが知られています。

服薬をきちんとし、うつ状態の徴候が出たら早めに医師に相談することが自殺の予防にもなります。

普段の生活で心がけること

大抵の患者さんは双極性障害という病名を聞いた時は非常に驚き診断を受け入れられない人も多いです。

医師の診断が間違っていると思い込んだり、怒りを覚えたりした人もいます。

自分が精神疾患にかかったことにショックを受けて、逆に落ち込んでしまう人もいます。

こうした段階を通り抜けた時、初めて双極性障害という病気に直面し、立ち向かう気持ちが生まれてきます。

双極性障害を克服するために、患者さん自身がいかに早く治療に取り組み始めることができるかが、その後の再発予防、そしてその人の人生に大きな影響を及ぼします。

再発の予防にいちばん必要なのは、きちんと薬を飲み続けることです。

何も症状がない時でも、薬の副作用があっても、自己判断で薬を中止してはいけません。

薬の副作用が強ければ、中止するのではなく、内服量の調整が必要な時があります。

これらのことを定期的に医師と相談する必要があります。

また、残念ながら薬を飲んでいたとしても、再発する可能性はあります。

自分自身で再発の兆候を理解し、異変を感じたらすぐに受診し迅速な治療を受けることが大切です。

双極性障害と仕事を両立させる方法

双極性障害と仕事を両立させるには、上記でもお伝えしているように内服をしっかりして再発を防ぐことが第一です。

躁状態になると自分で自覚することができず、気がついたら社会的信用を落としていることがあります。

そのためしっかりと薬を飲んで再発を防ぐことが仕事に影響を出さない第一歩です。

もし家族がいるなら、患者さんの状態を観察してあげ、もし本人が自覚していない躁症状などが出るようであれば教えてあげることも大切です。

躁状態、うつ状態自体は、時間がたてば治るものですが、たった1回の躁状態でも放置していると職業生活に大きな影響を与える可能性があります。

双極性障害の患者さんとの接し方

家族にとって躁状態が鬱陶しいと思う一方で、うつ状態は軽く捉える傾向があります。

それに対して本人はその逆で、うつ状態は強く自覚しますが、躁状態は自覚がほとんどありません。

そのため、どうしても家族と本人の間で病気に対する認識に相違が生まれます。

このような家庭内のストレスを抱えていると気持ちが不安定になり再発をくりかえしやすくなり、そしてさらに家族のストレスになる、という悪循環に陥ってしまいます。

したがって家族と本人の間に、認識の相違があることを理解し合うことで、こうした悪循環を防ぐことができます。

また、再発時にどんな症状が出てくるのかは患者さんによって異なります。

ご自身の症状について家族と話し合い、もし再発の兆候があった時は早めに主治医に相談することが大切です。

双極性障害の治療は、患者、家族、医師の協力で改善に向かっていくものです。

最初のコメントをしよう

必須