子どものまばたきはチック症?原因・症状・治療・全知識
チック症とは
チック症とは、急に、目をぱちぱちさせたり、首や肩を傾げたりするしぐさを繰り返す疾患です。
癖や習慣と間違えられることも良くあります。
子どもでは10人に1-2人と比較的よく見られます。
特に小学校入学前後の6-7歳ごろに発症することが多く、性別では、男の子に多いことが知られています。
症状は、自然に強くなったり消失したりしますが、ほとんどの人は1年以内に治ります。
慢性化した場合は、思春期に症状が最も強くなりますが、成人になるにつれ次第に落ち着いてくることがほとんどです。
チック症の分類
チックの症状は、様々な種類がありますが、運動チックと音声チックの二つに大きく分けられます。
- 運動チック:まばたき、首を振る、顔をしかめるなど、体の一部を動かす症状です。
- 音声チック:「アッ」「ンッ」など短い声を出したり、咳払いや鼻を鳴らすなど、声や音を出す症状です。
症状が複雑になってくると、音声チックと運動チックを組み合わせた症状が出ることがあります。
チック症は男の子が多い
性別では、2:1程度の割合で男の子に多いことが知られています。
3-10歳ごろに発症することが多く、発症のピークは小学校入学前後の6-7歳です。
チック症の症状
チックの症状は、大きく分けると運動チックと音声チックがあります。
運動チックの症状
運動チックはまばたきや、首ふり、顔をしかめるなど動きで症状がでます。
単純なチックの場合
まばたき、目を回す、白目をむくなどの目の動き、口をゆがめる、鼻を曲げる、顔しかめ 首を振る、肩すくめ
複雑なチックの場合
顔の表情をかえる、身繕いをする、飛び跳ねる、人や物に触る、地団太を踏む、物のにおいをかぐ
音声チックの症状
音声チックは「アッ」「ンッ」など短い声を出したり、咳払いや鼻を鳴らしたいする症状がでます。
単純なチックの場合
コンコン咳をする、咳払い、鼻を鳴らす、鼻をクンクンさせる、動物の鳴き声や吠え声のような奇声
複雑なチックの場合
状況に合わない単語や句の繰り返し、汚言症(コプロラリア)反響言語(エコラリア) 反復言語(パララリア)など
症状が複雑になってくると、
- 何度も手を伸ばして物に触る
- 物を蹴る
- 飛び上がる
- 言葉を繰りかえす
- 汚い言葉を何度も言う
という症状が出ることがあります。
症状は、緊張した時に出やすかったり、逆にリラックスした時に増えたりと、その子によってさまざまです。
経過は、自然によくなったり悪くなったりと波がありますが、1年以内におさまる場合がほとんどです。
思春期には一時症状が強くなることがありますが、思春期の後半になるとたいていは落ち着いてきます。
しかしその頃から、別の強迫症状がでてくることもあります。一部の人は、大人になっても続いて慢性化します。
症状が出たときの親の対処の方法
怒ったり、やめさせたりしてはいけません。
初めのうちは病気には見えないので、変な癖や習慣だと思われがちです。
やめるように注意したり、わざとやっているのではないかと怒ったりしたい気持ちは分かりますが、よくありません。
必要以上に周囲が気にしたり心配することは、かえって症状を悪化させる場合があります。
まずは、チックに対する正しい理解が大切です。
チック症の原因
かつては、親の子育てが厳しすぎたとか、本人が神経質で気にしやすい性格だとか、入学や転校、いじめなど環境からのストレスといった心理的な要因が注目されてきました。
しかし、ドーパミンという神経伝達物質が関係した神経の病気であることが近年の研究から分かってきました。
さらに遺伝的な要因の影響もあり、家族にチックの人がいると、症状が出やすいといったことも分かってきました。
これらのことから、チックになりやすい素質を持った子どもに、心理的要因や環境要因も含めてさまざまな原因が影響した時に、症状がでると考えられています。
チック症の治し方
症状が比較的軽くて本人も気にしていないようであれば、そのまましばらく様子をみてよいでしょう。
もし症状が強く、本人が気にしたり、クラスメートなどからからかわれることなどがある場合は、環境の調整や心理サポートを行います。
チックが原因で、本人が自信を無くしたり、学校に行くことを嫌がったり、いじめなどのきっかけにならないよう周囲のチックへの理解と適切な配慮が重要です。
チック症の病院は何科?
症状が重くて、日常生活や勉強に支障をきたしたり、心理的に不安定な場合は、薬物療法を行うことがあります。
気になる場合は、子どもであれば、小児科、児童精神科、大人であれば、内科、心療内科、精神科などを受診しましょう。
慢性化するとトゥレット症候群に
症状が強くて複雑、1年以上慢性的に続く場合には、トゥレット症候群という診断がつくことがあります。
トゥレット症候群の症状
トゥレット症候群の場合は、4-11歳頃(平均7歳)に顔面や首のチックで発症し、さらに音声チックが加わり、10歳前後で最も症状が強くなります。
12-15歳ごろから症状は減り始めは、90%が成人期の始まりまでには軽くなります。
時に症状が消失することもありますが、生活に支障を来さない程度の症状を持ち続けることが多いとされています。
トゥレット症候群の治療法
重症の場合は、日常生活に支障をきたすため、より積極的な治療が必要となることがあります。
行動療法:ハビットリハーサル法(habit reversal)
チックをしたくなった時に、拮抗する運動を行う治療法で専門機関で専門家の指導の下で取り組みます。
薬物療法
ベンゾジアゼピン系薬剤、抗精神病薬(ハロペリドール リスペリドンなど)、α2ノルアドレナリンレセプター作動薬 (クロニジンなど)が検討されます。
チックは他の病気と合併しているケースが多い
またチックは、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、広汎性発達障害、学習障害などに合併していることが多いです。
生活や勉強といったそのほかの面でも困っていないかということを注意してみることも大切です。
気になる場合は、近くの小児科や、児童精神科に相談するのがよいでしょう。