アスリートも実践!マラソン大会後の疲労を回復させる食事方法
市民ランナーの皆さんはマラソン大会に向けて一生懸命練習をされている事かと思います。ですが皆さん、大会が終わった後のケアを忘れていませんか?
今回はフルマラソンのダメージを回復させる食事方法について特集します。
マラソン大会の翌日に仕事がある!すぐに回復させよう!
マラソンの練習時における食事・3日前~前日の食事方法などマラソンには『食事』がとても重要となってきます。
練習の日々を積み重ねて42.195kmを走り切った時は、達成感と感動で胸がいっぱいでしょう。しかし、明日は仕事が待っています。仕事だってフルパワーで頑張らなければいけませんね。
明日までには、疲労は全部取りきれないけれど、できるだけ持ち越したくはないですよね。疲労回復には、しっかり睡眠を取ることも大事ですが、タイミング良く栄養補給をする事が大事です。
マラソン大会後の感動に浸っている時から、疲労を残さない食べ方が始まりますので、大会前から準備が必要です。
マラソン大会後、30分以内に必要な栄養素
マラソンを走り切って疲労困憊しているところですが、酷使した体はここから直ぐに回復が始まります。
大会のゴール地点では、地元の特産品を使った汁物や果物が振舞われていたりしますね。もちろんそれらを食べてもいいのですが、振舞われる物によっては、遠慮しておかないと翌日のパフォーマンスに響きますので注意が必要です。
糖質を速やかに補給する
走っている間にも糖質は摂って走っていたと思いますが、その時に摂った糖質は、走り切る為のエネルギー源です。生きている限りエネルギーは使いますので、早い内に活動するためのエネルギーを補給しなければいけません。
走り終わった後ですから、おにぎりをいきなりムシャムシャ食べられる人は多くないですね。ゼリー飲料や、スポーツドリンクなどで糖質を補給しておきましょう。
人間の脳は、糖質しかエネルギー源にできません。体の中で糖質が不足すると、筋肉を壊して糖質に変えて脳に送ります。大事な筋肉ですから、壊されないように早く糖質を補給することが大事ですね。
水分を充分に摂取する
水分は、疲労回復のためにとても重要な役割をします。走っている間は水分を摂っていても、走り終えると水分摂取を忘れてしまう人がいます。
人間の体は6割が水分です。その水分に乗って、栄養は運ばれ、老廃物は体外に出されます。
マラソンで体を酷使したからこそ、体に多くの栄養を行きわたらせなければなりません。たくさん作られた老廃物も体から出さなければなりません。そのために水分はとても重要なのです。
水分は、100ml程度(5口程度)を10~20分おきに、何度も飲む事が大事です。トイレに行って、いつもと同じ尿が出たら(濃い尿はまだ水分が足りてないということ)普通の飲み方に変えて大丈夫です。
クエン酸とビタミンB1も必要
マラソン後には全身の筋肉が疲労し傷ついている状態です。この傷を修復するには、エネルギーが必要です。
体が食べ物からエネルギーを生み出す仕組みに「クエン酸回路」というものがあります。学校で習ったのを覚えている人もいますね。このクエン酸回路を回すために必要なのが、クエン酸そのものなのです。
クエン酸は一度にたくさん摂れば良いというわけではありません。こまめに摂ることと、同じくエネルギー産生に必要なビタミンB1と糖質を摂ることが重要になるのです。
●糖質
●水分
●クエン酸
●ビタミンB1
マラソン後・30分以内に食べるもの
大会後30分以内に摂る物は「糖分」「水分」「クエン酸」「ビタミンB1」の4つです。よく使われているスポーツドリンクもよさそうですが、ビタミンB1が含まれていません。ゴール直後に食べられない人は、スポーツドリンクとビタミンB1のサプリメントなどを利用しましょう。
ゴール直後でも食べられる場合は、「梅干しのおにぎり」がおススメです。ご飯の糖質、梅干しのクエン酸が摂れます。また、少しですが海苔にはビタミンB1が入っています。ゴール地点で豚汁の振る舞いがあれば、頂いてもいいですね。豚肉や豆腐はビタミンB1が豊富です。
摂る糖質量は、体重1kg当たり1~1.5g程度です。体重60kgの人ならば、糖質が60g~90g摂ることを目安にします。
食品名 | 量 | 糖質 | クエン酸 | ビタミンB1 |
アクエリアスビタミン | 500ml | 23g | 1000mg | 0mg |
エネルゲン | 500ml | 27.5g | 1500mg | 0mg |
梅干しおにぎり | 1個 | 36.6g | 320mg | 0.01mg |
ビタミンの補給におすすめ
エネルギーの補給におすすめ
その時に手に入るものや、飲みやすさ食べやすさなど、自分好みのもので構いません。ゴールした後に自販機で買おうとしても、同じ事を考えている人が多いと売り切れだったり、もたもたしている内にゴール後30分以上経過してしまったりします。大会前から準備しておきましょう。
マラソン大会後2~3時間後に必要な栄養素
大会後2~3時間過ぎると、とてもお腹が空いてきます。
大会前に食事をコントロールして耐えたので、大会後には好きな物をお腹いっぱい食べたい気持ちもありますが、大会当日は足だけではなく内臓も疲労しています。
大会当日は、疲労を引きずらないように食べ方に注意が必要です。
炭水化物(糖質)でエネルギーチャージ
今では市民マラソンがメジャーになっていますが、もともとマラソンはとても過酷な距離を走ります。体にかかる負担は相当なもので、傷ついた体を治すために大量のエネルギーが必要です。大会後の夕食も、糖質をしっかり摂ることが大事です。
疲れで食欲がなくそのまま寝てしまっては、余計に疲労が抜けません。食欲がないようなら、食べやすく消化の良い食事を摂りましょう。
タンパク質で傷ついた筋肉を修復
筋肉を作るには、たんぱく質を摂るしかありません。大会当日の夕食にはタンパク質を摂ることが大事です。
消化の良いタンパク質は、鶏肉(胸肉、ささみ)、卵(半熟、温泉卵)、豚赤身肉(ヒレ、もも)、魚全般(刺身を除く)です。
肉には脂身は付き物です。しかし脂身は消化悪く、疲れた内臓にはとても負担です。そして脂肪の消化にエネルギーを使ってしまっては、傷ついた筋肉の修復にエネルギーが回らず、疲労の回復は遅れてしまいます。
●炭水化物(糖質)
●タンパク質(脂身の少ないもの)
マラソン大会後の夕食
遠征での大会では、大会後も外食の場合もありますね。帰り道のサービスエリアやコンビニで夕食を済ませる人もいるでしょう。そんな時は、このようなメニューを選んで下さいね。
大会当日のおすすめ夕食
○煮込みうどん(卵が入っているとなお良い)
○おにぎりとやきとり(皮ははずす)
○パンとチキンの入ったサラダ
消化を良くするためには、消化の良い食べ物を選ぶことがも大事ですが、良く噛むことも大事です。疲れている時だからこそ、早食いせずにゆっくりと噛んで食べて下さい。
摂ってはいけないもの
大会後の打ち上げ居酒屋は、とても危険です。
居酒屋のメニューには、糖質やタンパク質のメニューもあるのですが、それよりも誘惑されていまうのがアルコールと揚げ物です。これらは疲労回復の妨げとなります。
アルコールは厳禁です
大会後にアルコールは厳禁です。アルコールは体にとって毒物と認識されますので、体はアルコールが入ると最初に無毒化しようと動きます。エネルギーがそちらに回されてしまいますので、疲労回復はどんどん遅れていきます。
疲労回復なんて考えなく、大会後の1杯が楽しみでアルコールを飲む人もいるかもしれませんが、マラソン後は体がとても傷ついている状態です。
もし、大会中や大会後の水分補給が不足していたりすると、アルコールによってさらに水分が体から出ていき、血液が濃くなった状態が続いてしまうことになります。
そうなると、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こす可能性もあります。
脂質も少なめに
マラソンを走るということは、内臓も上下して疲れています。また、消化に必要なエネルギーは筋力の回復にまわしたいので、できる限り消化管に負担のかからないように食べるのが大事です。
脂質は消化に時間がかかります。普段でも消化に12時間以上かかるのに、内臓が疲れているのでもっと時間がかかります。大会当日の夕食では脂物は避けたほうがいいですね。
頑張った自分へのご褒美アルコールや仲間とのお疲れ会などは、後日に機会を設定しましょう。
・アルコール
・脂質
まとめ
①大会30分後に補給する食べ物
・糖質
・水分
・クエン酸
・ビタミンB1
②大会2~3時間後の食べ物
・糖質
・タンパク質(脂身の少ないもの)
③大会が終わった日の夕食
煮込みうどん(卵が入っているとなお良い)
おにぎりとやきとり(皮ははずす)
パンとチキンの入ったサラダ
④摂取してはいけないもの
・アルコール
・脂質
大会直後は自分が思った以上に体が傷ついていると思って下さい。体の回復は大会直後から始まり、体の修復に必要な材料こそが食べ物です。
正しい食事が無くては回復はできませんので、糖質、たんぱく質などを必要な時間時にしっかり摂りましょう。
大会翌日からは、食事はいつも通りに戻します。大会の反省をふまえて、次の大会に向けての体づくりを始めましょう!
走っていて膝が痛くなったらランナー膝の治す方法も教えます。
チェックしてみてください。
三沢奈緒子(管理栄養士)●文