管理栄養士が教える・タンパク質の多い食品ベスト10!コンビニも
たんぱく質は、炭水化物・脂質と並ぶ三大栄養素の一つです。アミノ酸の結合体であり、その種類や並び方により、性質の異なる様々なたんぱく質となって存在します。
体内のたんぱく質はアミノ酸の合成と分解を繰り返して、必要なたんぱく質を作ったり、排泄されたりしています。
体に必要なアミノ酸は食事から摂らなければならないものもあり、栄養バランスの偏りは、体の健康にも影響を及ぼします。
たんぱく質のはたらき
たんぱく質は、筋肉や皮膚などの体を構成する細胞の主成分です。
特に子供の成長には欠かせない栄養素で、不足すると成長不良になります。
酵素やホルモン、免疫に関わる抗体の材料にもなりますので、生命活動には欠かせない重要な働きがあります。
欠乏すると免疫力が低下し、病気への抵抗力が弱くなります。
体たんぱくは、寝たきりの高齢者では、低栄養状態を示す一つの重要な指標として評価されています。
過剰な場合、正常であれば排泄されますが、腎機能が低下している場合は、毒素を排泄できないため、生死にかかわることがあります。
アミノ酸について
アミノ酸とは
アミノ酸は、炭素・水素・酸素・窒素などが結合した化合物で、たんぱく質を合成する最小単位の成分です。
人間の体に必要とされているのは20種類です。
そのうち体内での合成ができないアミノ酸は9種類あり、食事から摂取する必要があります。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸
人間の体に必要な20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できな9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれ、毎日の食事から摂らなければなりません。
その他11種類の「非必須アミノ酸」は体内での合成が可能ですが、食事からの摂取が全くいらないわけではなく、必要な量を体内で合成するために、食事からも摂取する必要があります。
・ロイシン…肝機能を高める。筋肉強化。
・リジン…成長促進。組織の修復に必要。抗体の材料となる。肝機能向上。
・メチオニン…解毒作用や抗腫瘍作用あり。肝機能の改善。
・フェニルアラニン…ドーパミンなどの材料。血圧を上昇させる。鎮痛作用。
・スレオニン…成長に不可決。
・トリプトファン…神経伝達物質セロトニンやメラトニンの材料。鎮静作用や免疫力アップ。
・バリン…成長促進。筋肉強化。肝機能向上。
・ヒスチジン…幼児の発達に必要。神経機能を補助。ヘモグロビン・白血球の産生に関与。
・グリシン…ヘモグロビンの材料。コラーゲンの材料。解毒作用あり。
・アラニン…肝臓のエネルギー源となる。
・セリン…リン脂質などの材料。
・アスパラギン酸…エネルギー代謝を促す。疲労回復。
・グルタミン酸…脳や神経の働きを助ける。疲労回復。
・グルタミン…胃腸や筋肉の機能保持。体脂肪の代謝促進。
・アルギニン…成長ホルモン合成。体脂肪の代謝促進。成長期には必須。
・システイン…メラニン色素の産生抑制。たんぱく質の立体構造に関与。
・チロシン…アドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質の材料。ホルモンの材料。
・プロリン…グルタミン酸から合成。コラーゲンの材料。
・アスパラギン…アスパラギン酸から合成。新陳代謝促進。
良質なたんぱく質に期待できる効果
筋力アップ
筋肉はたんぱく質からできているため、たんぱく質食品を体内に摂りこんで消化吸収されてから筋肉となります。
しかし、たんぱく質だけを多くとっても、エネルギー源としても使われてしまうため、思うような筋力アップは望めません。
そのため、栄養素バランスのよい食事を基本として、筋肉づくりに必要な量のたんぱく質(体重(㎏)×1.2~2.0(g)を摂るようにするといいでしょう。
ダイエット
体重減少を目的とした場合、脂肪燃焼に注目すると思います。
そのために、食事制限や有酸素運動を行なって、実際に減量に成功しますが、その後の維持に苦労される方も多いのではないでしょうか。
体に筋肉が少ないとエネルギーが燃焼しにくいので、運動をやめると体重が戻ってしまいます。
筋力をアップし、脂肪を燃焼しやすい体にするために、たんぱく質は大切な働きをします。
美容
たんぱく質はあらゆる細胞の材料となる栄養素です。
皮膚の細胞ももちろんたんぱく質で構成されています。
肌のハリや弾力を保つコラーゲンもたんぱく質です。
不足すると代謝が悪くなるため、肌のターンオーバーにも影響があります。
必須アミノ酸が不足しないようバランスの良い食事を心がけることが、美肌への近道になります。
免疫力アップ
免疫とは、外から侵入した異物(抗原)を「体にとって敵か味方か」を判断し、敵であった場合にそれを排除する物質(抗体)を作って撃退するというものです。
抗体はたんぱく質からできており、血液やリンパ液などに存在します。
たんぱく質はこのように外部から身を守り、病気への抵抗力を強くするために大変重要な栄養素となります。
貧血予防
女性に多い鉄欠乏性貧血は、体内に酸素を運搬している赤血球に含まれるヘモグロビンという血色素が正常より少ない状態をいいます。
たんぱく質は、血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となる大切な栄養素です。
肉や魚などの動物性たんぱく質に含まれる鉄分は、植物性たんぱく質に含まれる鉄分に比べ、吸収の良いものになります。
もともと吸収率の低い鉄分を効率よく摂取するために、良質なたんぱく質でかつ赤身の部分を積極的に摂ることをお勧めします。
1日のたんぱく質の必要量
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」により、たんぱく質の必要量の目安が提示されています。
男性の1日の摂取量 | 男性の1日の摂取量 | |
6~7歳 | 35g | 30g |
8~9歳 | 40g | 40g |
10~11歳 | 50g | 50g |
12~14歳 | 60g | 55g |
15~17歳 | 65g | 55g |
18~29歳 | 60g | 50g |
30~49歳 | 60g | 50g |
50~69歳 | 60g | 50g |
70歳以上 | 60g | 50g |
*妊娠中期 +5g、末期 +25g、授乳期 +20g
男女差や体格により個々の必要量は異なります。
体重1㎏あたり1~2g前後を目安に算出することもできます。
たんぱく質の多い食べ物ランキング(食品100g中)
肉類
- 鶏ささみ 23.0g
- 豚ヒレ 22.8g
- 豚ロース赤身 22.7g
- 鶏むね(皮なし) 22.3g
- 豚もも赤身 22.1g
- 牛ランプ赤身 22.0g
- 牛もも赤身 21.9g
- 豚そともも赤身 21.4g
- 牛ヒレ赤身 21.3g
- 牛そともも赤身 21.3g
- 牛サーロイン赤身 21.1g
魚介類
- 黒マグロ赤身 26.4g
- ビンナガマグロ 26.0g
- 初ガツオ 25.8g
- 戻りガツオ 25.0g
- キハダマグロ 24.3g
- マカジキ 23.1g
- クロカジキ 22.9g
- 紅ザケ 22.5g
- しろさけ 22.3g
- はも 22.3g
- たい養殖 21.7g
- 大正えび 21.7g
- くるまえび 21.6g
- ぶり成魚 21.4g
- とびうお 21.0g
- かんぱち 21.0g
- ししゃも生干し 21.0g
卵類
- うずら卵(全卵) 12.6g
- 鶏卵(全卵) 12.3g
- うこっけい卵(全卵) 12.0g
大豆・大豆製品
- 生湯葉 21.8g
- 油揚げ 18.6g
- 納豆 16.5g
- がんもどき 15.3g
- 大豆水煮 12.9g
乳・乳製品
- パルメザンチーズ 44.0g
- スキムミルク 34.0g
- エダムチーズ 28.9g
- エメンタールチーズ 27.3g
- ゴーダチーズ 25.8g
- チェダーチーズ 25.7g
- クロカジキ 22.9g
- プロセスチーズ 22.7g
たんぱく質を多く含むおすすめレシピ
水晶鶏 ねぎだれがけ 2人分
材料
鶏むね皮なし 160g
鶏がらスープ(顆粒) 大さじ1/2
片栗粉 大さじ2
ねぎみじん切り 大さじ1
しょうがみじん切り 小さじ1
醤油 大さじ1
酢 小さじ2
砂糖 小さじ1弱
ごま油 小さじ1/2
作り方
①鶏肉は1㎝厚さのそぎ切りにし、袋などに入れ、鶏ガラスープを加えてもみこむ。
②鍋に湯を沸かし、片栗粉を薄くまぶした鶏肉を入れ、火が通るまでゆでてザルにあげ、水気を切る。
③ねぎだれは、材料を全て合わせ、よく混ぜる。
④器に盛り、ねぎだれをかける。
かつおと根菜の山椒炒め 2人分
材料
かつお さく1/2本
たけのこ水煮 50g
れんこん 50g
ねぎ 1/3本
ごま油 小さじ2
しょうがせん切り 1かけ
醤油 小さじ2
みりん 小さじ2
粉山椒 小さじ1/4
作り方
①かつおは8mm厚さに切る。たけのこ・れんこんは5mm厚さに、ネギは斜め切りにする。
②フライパンにごま油としょうがせん切りを入れて熱し、香りが立ってきたら①を加えて炒める。
③かつおに焼き色がついてきたら、醤油・みりんを加えて炒める。
④汁気がなくなってきたら粉山椒をふり、器に盛る。
コンビニで手軽に買えるたんぱく質食品!
- サラダチキン
- スモークチキン
- 卵
- 豆乳
- 牛乳
- 生ハム
- 納豆
- ツナ缶
- チーズ
- プロテインバー
- ホットスナック
コンビニで手に入るたんぱく質食品は、開封してすぐに食べられるものが多く、調理の手間が少ないので手軽でおいしく食べやすいですね。
しかし、味がしっかりしているものは塩分が多く含まれているので、一緒に食べる食品にも留意するとよいでしょう。
中には、脂質が多く含まれるものもありますので、目的に応じて選ぶようにします。
たんぱく質食品の選び方
赤身の多い部位を選ぶ
数あるたんぱく質食品を選ぶときに大切なのは、自分の体に必要な栄養素を考慮することです。
肉や魚などの動物性食品は、体を作るために必要な良質なたんぱく質を含みますが、同時に部位によって脂質を多く含むものも多々あります。
脂質が多いということは同じ量あたりのたんぱく質量が減り、カロリーが増えるということです。
魚の脂は体にとって良いと言われる不飽和脂肪酸がメインですのであまり気にする必要はありませんが、肉類の脂は注意が必要です。
赤身の多い部位を選んで、効率よく良質なたんぱく質を摂取しましょう。
たんぱく質代謝に必要なビタミンB6
体内でのたんぱく質の代謝に欠かせないのがビタミンB6です。
不足すると、たんぱく質を摂取しても体内でうまく利用できないのです。
このビタミンはいろいろな食品に含まれていますが、特にカツオやマグロなどの魚類、鶏ささみや胸肉などの肉類、にんにくやごま、酒粕などにも含まれます。
良質なたんぱく質の不足は、ビタミンB6の不足にもつながりますね。
まとめ
たんぱく質は体を作る大切な栄養素です。
また、体内代謝に関わる酵素やホルモンの材料にもなるため、不足すると「低栄養」となり、病気になる原因にもなります。
高齢になっても、体のたんぱく質必要量が極端に減ることはなく、むしろ元気な体でいるためには大変重要です。
食事の特に主菜(たんぱく質食品をメインとした料理)は必ず食べるように心がけたいですね。