管理栄養士が教える亜鉛の効果!多く含む食べ物&レシピも
皆さんは亜鉛を摂ってますか?
あんまり意識したことない人も多いのではないでしょうか?
でも亜鉛は自分の身体では作ることが出来ない栄養素です。
ですから意識して摂取しないといけません。
しかも不足すると味覚がおかしくなったり免疫の低下などを引き起こしてしまいます。
今回は亜鉛の栄養を摂るためには何を食べればいいのか?を解説していきます。
亜鉛とは
亜鉛は体内に約2gほど含まれています。
骨格筋や骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などの多くの臓器に存在しています。
その多くがたんぱく質と結合しています。
新陳代謝や免疫反応などの働きをサポートしています。
体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
吸収は腸でされますが、吸収率は約30%と推定され、鉄や銅などの摂取量によっても吸収に変動があります。
味覚は舌にある「味蕾」という器官で感じとりますが、亜鉛はその味蕾の新陳代謝に関係しています。
また、細胞が新しくなるときやたんぱく質が合成されるときなどに補酵素として働くため、成長や発育の促進に不可欠です。
男性の精子や男性ホルモンの生成など生殖機能の維持にも関わっています。
たんぱく質代謝を促進するので、髪の毛や肌の状態を健康に保ちます。
そして、脳の神経伝達物質を作るのにも関わっていますので、精神状態が安定し、うつ状態を和らげるという効果もあります。
1日に亜鉛を摂る量は
1日の摂取推奨量は
- 18歳~69歳の男性・・・10㎎
- 18歳~69歳の女性・・・8㎎
- 70歳以上の男性・・・9㎎
- 70歳以上の女性・・・7㎎
となっています。
サプリメントなどで過剰摂取してしまう果、体の不調を生じることがありあす。
ですから耐用上限量が設けられており、成人男性で40~45㎎、成人女性は35mgまでしか摂取してはいけません。
亜鉛不足になるとどうなるか?
しっかりとした食事がとれていれば不足がないと言われていた亜鉛ですが、近年不足の傾向にあるようです。
亜鉛不足はさまざまな不調をきたします。
体内の新陳代謝や細胞新生に関わってるため
- 味覚障害
- 免疫力の低下
- 爪の異常
- 皮膚のかゆみ
- 成長障害
- 男性の生殖機能の低下
が起きてしまいます。
また、インスリン合成にも必要ですから亜鉛の不足は糖尿病にも関係してきます。
亜鉛を多く含む食品
それでは亜鉛を多く含む食べ物を紹介していきますね。
魚介類
亜鉛の多い食品の代表はカキ(牡蠣)で、100g当たり13.2㎎含まれます。
かにやあさり、うなぎなどに比較的多く含まれています。かずのこやたらこといった魚卵もおすすめです。
肉類
肉類の中では牛肉に多く含まれます。
牛肩ロース(赤身)や牛もも(赤身)のように、脂が少なく、赤身の部分に含まれます。
豚レバーは100g当たり6.9㎎と多く、亜鉛以外のビタミン・ミネラルの補給もできますので、栄養素の不足が心配な方にはおすすめの食材です。
大豆・大豆製品(納豆)
植物性食品の中では、たんぱく質を含む大豆に多く含まれます。100g当たりで、油揚げには2.4mg、納豆には1.9mg含まれます。
肉類同様、他のビタミン・ミネラルや食物繊維も摂れる優良食品です。
その他
野菜、いも、きのこ、乳・乳製品、ナッツなどにも含まれます。
野菜ではそらまめや枝豆などの若さやに多く含まれます。
またチーズに豊富で、パルメザンチーズに多く、次いでプロセスチーズやカマンベールチーズなどにも多く含まれます。
アーモンドや落花生などのナッツ類にも多いので、食事や間食に取り入れるとよいでしょう。
亜鉛を多く含む飲み物
飲み物ではココアや抹茶に多く含まれます。
ただし、1杯当たりに換算するとそれほどたくさん摂れるわけではありません。
不足しがちな場合は、食事からしっかりとれるように工夫します。
コンビニにもある亜鉛が多い食品
日々の食事が不規則になりがちだったり、料理が苦手な方に、コンビニでも購入できる亜鉛食材を紹介します。
まずは、「ビーフジャーキー」。牛肉を干したものですので、とても手軽に補給することができます。
魚介類では「するめ」。ビーフジャーキーには及びませんがおすすめです。和え物などの料理に使うと野菜も一緒に摂れますね。
ミックスナッツやプロセスチーズも手軽に食べられるのでおすすめです。
一緒に摂ると吸収アップ
亜鉛の吸収率は前述のとおり約30%と決して高いとは言えません。
そこで、一緒に摂ると吸収を助けてくれるのが、肉や魚などの動物性たんぱく質です。
人間の体は植物性食品より動物性食品のほうが吸収率が高いので、野菜やいも類、ナッツなどの植物性食品を摂るときには、動物性たんぱく質食品を組み合わせることをおすすめします。
また、ビタミンCやクエン酸と合わせると吸収しやすくなると言われていますので、梅干しやレモン、酢などを料理に使うとよいでしょう。
妊娠中の亜鉛のとり方
妊娠中に必要なミネラルの代表は鉄と亜鉛です。
亜鉛は細胞分裂を助け、鉄は酸素を運ぶ役割を担う赤血球のヘモグロビンに含まれます。
鉄が不足すると貧血になることは知られています。
亜鉛不足でも全身の酸素不足となり、貧血の原因の一つとなることもあるのです。
亜鉛が多い食品の代表は「カキ(牡蠣)」ですが、生ものの摂取は食中毒の危険があるため、加熱調理して食べるようにします。
魚介類、大豆・大豆製品やナッツ、野菜などいろいろな食品をバランスよく摂るようにしましょう。
肉類は鉄・亜鉛ともに多く含まれますがレバーはビタミンAが多く、妊娠初期に摂りすぎると胎児への影響が心配されるため、たくさん摂りすぎないように気をつけます。
ビタミンAは、植物性食品に含まれるビタミンAの前駆物質であるβカロテン(ブロビタミンA)であれば問題ありません。
子供の成長に亜鉛は必要?
子どもの成長には亜鉛は必要不可欠です。
新しい細胞を作るためにはたんぱく質の合成が必要で、その代謝促進をする働きがあります。
たんぱく質が合成されることにより、骨や筋肉が形成され、子供の成長と発育が進んでいくのです。
不足すると、味覚障害による食欲不振や成長ホルモンの分泌低下、皮膚炎や下痢などの症状により、成長障害が起こる恐れがあります。
過剰摂取による体への影響
吸収率の低いミネラルのため、過剰摂取は通常みられません。
しかし、サプリメントの多用などにより過剰になることがあります。
亜鉛は多く摂りすぎると銅や鉄の吸収を阻害し、貧血を起こしたり、神経症や下痢などが起こることがあります。
体にとって必要なミネラルですが、日々の食事で不足しないように摂取することが大切です。
亜鉛を多く含むレシピ
それでは管理栄養士がオススメするレシピを紹介します。ご自宅でつくってみましょう。
厚揚げの牛肉巻き
●材料 2人分
牛肩ロース薄切り 4枚
厚揚げ 1/2枚
薄力粉 適宜
サラダ油 小さじ2
オイスターソース 大さじ1
醤油 小さじ1
酒 大さじ1
●作り方
①厚揚げは4等分にし、牛薄切り肉で巻く。
②フライパンに油を熱し、①に薄力粉を薄くまぶして、両面をこんがり焼く。
③オイスターソース・醤油・酒を合わせておき、②に加え、照り焼きにする。
あさりひじきごはん
●材料 (作りやすい分量)
米 2合
ひじき 10g
あさりむき身 100g
醤油 大さじ1/2
酒 大さじ1
塩 小さじ1/4
●作り方
①米は研いでざるにあげておく。ひじきは洗ってもどしておく。
②炊飯器に米を入れ、調味料を加えてから水を分量通り加える。
③ひじきとあさりをのせ、普通に炊く。
亜鉛の吸収を妨げるもの
せっかく摂取しようとしても食べあわせが悪いと吸収されません。
次の食品は食べるのに注意しましょう。
食物繊維
亜鉛に限らず、食物繊維の摂りすぎは、多くの栄養素の吸収を阻害します。
生活習慣病予防に役立つのでたくさん摂るとよいイメージがありますが、野菜ばかりの食事に偏ったり、サプリメントで補給するなどの行為は必要な栄養素も排出してしまいますので注意しましょう。
タンニン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれています。食事のときに一緒に飲むと吸収を妨げますので、食事以外のときに飲むことをおすすめします。
ポリリン酸
清涼飲料水や練り製品などの加工食品に含まれる食品添加物です。
摂りすぎると亜鉛を排出してしまう作用があります。
砂糖がたくさん含まれているもの
糖代謝の関わる酵素の材料として亜鉛が使われます。
糖質をたくさん摂ると、酵素を作るために亜鉛をたくさん消費し、亜鉛不足のおそれが生じます。
フィチン酸
ミネラルの吸収を阻害する性質があります。植物性食品にのみ存在し、豆類や穀類、ナッツに多く含まれます。
ベジタリアンやビーガンの方はフィチン酸を多く摂取しているため、鉄や亜鉛が不足しがちになります。
カルシウム
カルシウムの過剰摂取は亜鉛や鉄の吸収を阻害することが知られています。
シュウ酸
シュウ酸は亜鉛と結びついて、吸収を阻害します。ほうれん草に多いことが知られています。
チョコレートやココア、紅茶などにも含まれます。
アルコール
アルコールが体内に入って代謝されるときに関わる酵素の材料に亜鉛があります。
お酒をよく飲む人は、アルコール代謝のために亜鉛が消費されてしまうため、不足のおそれが生じます。
まとめ
亜鉛は、日々の食事のバランスがとれていれば不足することは少ないですが、偏った食事や食欲不振によって不足することがあります。
また、亜鉛不足によって味覚障害となり、味を感じることができないために食欲不振となり、低栄養状態となった高齢者のケースも実際にあります。
体内での存在量は少ないですが、鉄同様、健康維持や成長促進に必要なミネラルです。特にたんぱく質の不足には注意をしましょう。