妊娠中と産後の腰痛はいつまで続く?原因と治し方・ストレッチで改善!

妊娠中や出産後に多く聞かれる腰痛。

妊娠中と産後の腰痛の場合、一般の人がなる腰痛とはまったく違います。

その治し方もまた違うのをご存知でしょうか?

今回は産前・産後の腰痛で苦しんでいる方のために

改善するストレッチや体操を教えていきますね。

妊娠中と産後の腰痛の原因

妊娠中や産後に起こる腰痛の原因として、大きく2つの原因があります。

●妊娠初期から分泌されるリラキシンというホルモンの影響
●お腹がせり出してくる姿勢の影響

リラキシンの影響

リラキシンとは妊娠中に多く分泌される女性ホルモンです。

リラキシンは妊娠初期から出産まで分泌されるといわれています。

リラキシンは主に骨盤の靭帯や関節を緩める働きがあります。

出産に向けて赤ちゃんが産道を通るための通り道を広げるために、スムーズに出産が行われるためにはこのリラキシンによる働きは欠かせないものとなっています。

骨盤

女性ホルモンで骨盤が緩む

リラキシンによって骨盤にある仙腸関節、恥骨結合といった関節が緩むといわれています。

これらが緩む事によって支えが弱まるため、その分腰や背骨に負担がかかります。

そのため周りの筋肉がより多くの活動を強いられるため緊張が高まり、腰痛の原因となるのです。

お腹がせり出してくる姿勢の影響

赤ちゃんが大きくなるにつれてだんだんとお腹がせり出してきて、体の重心が前方に傾むきます。

そのままでは前に倒れてしまいますが、後ろの筋肉が倒れないように支えとなるため過剰に働くようになります。

これが慢性的に腰周りの筋肉を収縮させる事によって腰痛が起きやすくなってしまいます。

正しい姿勢でも続けると逆に危険

姿勢

図の左のように耳の穴から骨盤の出っ張りの骨、くるぶしまでが一直線となる姿勢が重力に対して一番負担のかからない姿勢となります。

また背骨はキレイなS字カーブがあるのが理想的といわれます。

しかし、お腹が大きくなると前に重心が傾いてしまいます。

それでは倒れてしまうので腰のカーブを強めたり、背中を丸めるようにしてバランスを取るようになります。
すると重力に対して負担のかかる姿勢となり腰への負担が強まるのです。

ですから妊娠中は、色々な姿勢をとることが大事になってきます。

妊娠中と産後の腰痛における生活での注意点

坐骨で座る事を心がける

座る姿勢

座る姿勢に注意

座る姿勢は坐骨というお尻の骨に体重がかかっている事が理想的です。

座った時にお尻にあたる骨が坐骨です。

耳の穴と骨盤の横の骨が一直線にある状態が一番ストレスがかからないと言われています。

よくある骨盤が後ろに倒れてしまう仙骨座りだと骨盤や腰に負担がかかるため望ましくありません。

背もたれに頼らず骨盤が後ろに倒れない事を心がけるとよいですが、背もたれと骨盤の間にクッションなどを敷くと良い姿勢を保ちやすいでしょう。

同一姿勢を長く取らないようにする

良い姿勢をずっと保持するのもなかなかしんどいものです。

長時間同じ姿勢をとる事も筋肉への疲労を招き腰痛の原因となり得ます。

20〜30分に一回は体勢を変えたり、立ち上がって歩くなどすると腰痛の予防になります。

かがみ方に注意

床の物を拾う際や、顔を洗うなどでかがむ動作はやり方によっては大きな腰に大きな負担をかけてしまいます。

かがみ方に注意

上の写真のように腰だけでかがむ動作はかなり大きなストレスがかかり痛めやすいです。

理想は写真のように膝と股関節を曲げるように意識して屈む方で腰のストレスを最小限に抑える事ができます。

また洗面台や流し台に膝下くらいの高さの足台を置いて屈む事でも腰への負担をかなり軽減する事ができます。

妊娠中と産後の腰痛対策ストレッチ

妊娠中はお腹がせり出してきて無理な体勢でのストレッチが出来なくなってきます。
妊娠中でも無理のない腰痛対策のストレッチを紹介していきます。

四つ這いの運動

四つ這いで肩幅に手足を広げます。

大きく息を吐きながら顔をうずめるように背中を丸めます。お腹を上に突き上げて背中を丸めます。

息を吸いながら背中を反らして顔を上げていきます。胸を張り、背骨全体を反らしていきます。

これを5〜10回繰り返します。

※背中と同時に骨盤を動かすのがポイントです。

四つ這いの運動2

四つ這いで肩幅に手足を広げます。片方を振り向くように腰を横に反らしていきます。

反対側も同じように反らします。

交互に繰り返していきます。

仰向けの運動

仰向けで膝を立てて両手を広げ、片方に両膝を倒して力を抜きます。

この時肩が浮かないようにします。力を抜いて20〜30秒ゆっくり呼吸してストレッチします。

反対側も同じように倒していきます。

椅子での股関節ストレッチ

椅子に座り足を前後に開き、胸を張ってお腹を前に突き出すようにして骨盤を立てます。

 

股関節の前の部分が伸びているのを感じながら30秒ゆっくりとストレッチします。反対側も同じように行います。

座っての骨盤・背骨ストレッチ

椅子に座り、骨盤を起こして胸を張るように背骨を上に伸ばします。

反対に背中を丸めて骨盤を倒していきます。

これを交互に10回程度繰り返します。


妊娠中のストレッチはお腹が張ったり、痛みがある時や不正出血がある時など体調がすぐれない時は控えるようにしましょう。
入浴後など体が温まった後にするのが効果的です。

妊娠中と産後の腰痛には骨盤矯正ベルトも有効

妊娠初期から分泌されるリラキシンというホルモンの影響で骨盤の靭帯や関節は緩んでいます。骨盤矯正ベルトは緩んだ骨盤を安定させ、妊娠中と産後の腰椎改善や骨盤の矯正に有効です。

産後の腰痛はいつまで続く?長引く原因とは?

産後も腰痛が改善しない

●産後、3ヶ月以上経っているのにお腹の出っ張りが良くならない
●臍が出っ張ったまま戻らない
●臍の周りがベコベコする
●お腹に力が入らない

という症状はありませんか?

その症状、腹直筋離開という症状かもしれません。

腹直筋とはいわゆるシックスパックと言われる割れているお腹の筋肉の部分です。

※腹直筋離開とは?

妊娠後に起きやすい腹直筋離開とは、腹直筋の中央部が割れて離開してしまっているのが腹直筋離開です。

腹直筋離開は実際には裂けて切り離されているわけではないですが、引き伸ばされて中央部が非常に薄くなってしまっている状態です。

粘土やパン生地などを伸ばした時に中央部が薄くなる状態をイメージするとわかりやすいでしょうか?

 

しかもこの腹直筋離開は9割の妊婦がなるといわれており、多くは自然に治っていきます。

しかし、治らない場合はお腹がぽっこりと出たままだったり、臍が飛び出したままになってしまいます。

この腹直筋離開によってお腹の支えが効かなくなる事も腰痛の原因となります。

腹直筋離開のチェック方法

①膝を立てて仰向けに寝ます。
②臍をのぞくように頭を上げます
③臍の下あたりを触る

腹直筋離開の場合、筋肉が左右に分かれて真ん中に柔らかい部分を感じます。

指で押していくと指が2本以上ズブズブと入ってしまう感覚があると腹直筋離開の可能性が高いといわれます。

腹直筋離開を改善するためには腹部の筋力強化が重要となりますが、ただやみくもに腹筋をするだけでは返って腹直筋に負担がかかり状態を悪化させてしまう恐れがあります。

重要なのはお腹や骨盤のインナーマッスルと呼ばれる筋肉で骨盤底筋群、腹横筋を鍛える事です。

妊娠中と産後の腰痛改善のための骨盤底筋群・腹横筋のトレーニング

骨盤底筋群とは?

骨盤底筋群

骨盤底筋群

骨盤底筋群とは文字通り骨盤の底にある筋肉で、ハンモックのように存在し膀胱や子宮、直腸などを支えています。

働きとしては尿や便の排泄に関わります。

そして膀胱や尿道、肛門、女性自身を引き締める作用があります。

この骨盤底筋群が働くことで尿や便が漏れないように制御しているのです。

この骨盤底筋群は妊娠や産後に筋力が弱まると言われています。

妊娠初期から分泌されるリラキシンというホルモンの影響で、骨盤の靭帯や関節が緩みますがその緩んだ分、骨盤底筋群に大きな負担がかかります。

その後赤ちゃんが産道を通過したり、出産時のいきみなどで更なる負担がかかる事で骨盤底筋群は大きなダメージを受けてしまいます。

そのダメージを受けたままの骨盤底筋群は働きが不十分となり、尿道を閉めにくくなる事が尿漏れの原因となるのです。

また骨盤底筋群はお腹のインナーマッスルと連動して働いています。

骨盤底筋群が弱る事でお腹のインナーマッスルが働きにくくなり、腰や骨盤の支えが効かなくなることで腰痛を引き起こしてしまうのです。

腹横筋とは?

腹横筋

腹横筋

お腹にある筋肉で最も深い位置にある筋肉です。

腹直筋よりももっと深い部分に存在しています。

 

内臓を保護したり、体幹を安定させたり、呼吸に関与したりと体にとって非常に重要な役割を担っています。

腰に巻く腰痛ベルトをコルセットと呼びますが、腹横筋は「コルセット筋」と呼ばれており、腰の支えとしても重要な役割を担っています。

この骨盤底筋群と腹横筋は互いに連動し協調して働きます。

妊娠中と産後の腰痛改善、腹直筋離開にはこの骨盤底筋群と腹横筋の機能改善が重要となります!

骨盤底筋群トレーニング

①仰向けで膝を立てて寝ます。手は下腹部、または肛門に触れておきます。

②力を抜いて、肛門や尿道を締めて(尿を途中で止めるように力をいれる)、骨盤底筋群を胸の方に持ち上げます。

その状態で10秒程度止めます。

③次に肛門、尿道を20秒ほど緩めます。(緩める時は排尿をするような感じで骨盤底筋群を下に下げます)

※行き過ぎると漏れてしまうので注意です。

慣れてきたら骨盤底筋群を締めると同時にお尻を上に挙げます。
その状態を10秒保持します。

腹横筋トレーニング(ドローイン)

①膝を立てて仰向けで寝て、大きく息を吸ってお腹を膨らませます。

 

②吐きながらお腹を凹ませていきます。手が当たっている部分が硬くなってくるかと思います。その凹ませた状態をキープしたまま、呼吸ゆっくり行います。この状態を10秒間保持します。

※お腹を凹ませる時は、キツめのズボンを履くようなイメージでお腹を凹ませます。

※あまりお腹を凹ませ過ぎたり、腰を反ったりすると他の筋肉が働きすぎてしまい効果的な運動ではなくなってしまいます。

妊娠中の腰痛のおすすめ寝方

シムス位

妊娠している人は抱き枕などを使い写真のように寝るとお腹にも腰にも負担の少ない姿勢になります。
この姿勢はシムス位といいます。

まとめ

●産前産後の腰痛はホルモンの変化や姿勢の影響が大きい。

●改善のためには普段の生活での負担の軽減や、日々のケアの積み重ね、継続が重要となる。

●正しい方法や体の評価などは産婦人科や理学療法士などにチェックしてもらいながら行う事をお勧めします。

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