妊娠中におすすめの食品と食べない方がいい食品・ママと子どもへの影響はいつから?
妊娠中、お腹の中の赤ちゃんに栄養を届けるのは、妊婦さんの役目になります。
妊婦さんが食べたもので、赤ちゃんは育っていくのです。
健康管理にも妊娠中にも、バランスの良い食事が基本です。
さらに、妊娠中に摂取すると良い栄養素や食品、また避けた方が良い食品などをこの記事では紹介していきます。
妊婦さんは、ぜひ読んで、妊娠中の食事のポイントを知り、お腹の赤ちゃんと自分の健康を守りましょう。
妊娠中の食事の影響はいつから?
お腹の中の赤ちゃんへ、栄養を届けているのはママです。
ママと赤ちゃんをつなぐ胎盤を通して、赤ちゃんに栄養を届けているのです。
お腹の中の赤ちゃんが元気に成長するためにも、バランスの良い食事は非常に重要になってきます。
妊娠初期2~3ヵ月のころの食事
妊娠2~3ヵ月の頃は(妊娠の分かるころ)、薬の影響も大きいので、妊娠していることが分かった時点で、安易に薬は飲まず、産婦人科の医師に相談しましょう。
この頃からつわりが始まるなど様々な体調変化が見られる時期です。
食事をとることが辛いという方も多いでしょう。
この妊娠初期の時期には、バランスの良い食事・1日3食規則正しい食生活というのは、なかなか難しいので、食べられるものを少しずつでも食べるようにしましょう。
お腹の中の赤ちゃんもまだ小さく、多くの栄養は必要ないため、気にしすぎないように、食べられるものを食べて、水分補給をこまめにすることが大切です。
妊娠中期の食事
妊娠中期(16~27週)に入ると、比較的体調が安定してくる妊婦さんが多いです。
つわりが辛かった妊婦さんもご飯が美味しく感じられ、ついつい食べ過ぎてしまうこともあるでしょう。
食べ過ぎると、体重がどんどん増加してしまい、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにつながる恐れもありますので、バランスの良い食事を心掛けましょう。
魚介類や野菜を中心とした和食メニューが理想的です。
果物やお菓子の食べ過ぎは、体重増加を促進させますので要注意です。
また、体重増加が気になり、炭水化物を抜く、極端に食べる量を減らすなども胎児の成長を妨げる原因となりますので、1日3食バランス良く食事を摂りましょう。
妊娠後期の食事
妊娠後期(28週以降)に入ると、お腹も大きくなり、赤ちゃんも活発に動くようになってきます。
赤ちゃんも大きいので、必要な栄養も多くなってきています。糖分や塩分を控えめに、バランスの良い食事をとれるようにしましょう。
また、お腹の中の赤ちゃんが大きくなってくると、子宮に胃が圧迫され、食事が進まない・・・という方もいるでしょう。
そんなときは、1日3食でなく、数回に分けて食事を摂取すると良いでしょう。
妊娠中の食事について、初期・中期・後期に分けて紹介しましたが、妊婦さんの体調に合わせ、出来る範囲でのバランスの良い食事やサプリメントを使用をすると良いでしょう。
ストレスを感じすぎない範囲で、食事についても見直していきましょう。
妊娠中の食生活のポイント
妊娠中の食生活のポイントを下記にまとめてみたので、ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中の食事①バランスの良い食事
妊娠中でなくても、健康のためには日々バランスの良い食事が必要です。
妊娠中は、つわりや身体の変化により、バランス良く食べることが難しい場合も少なくありません。
そのようなときには、食べられるものを食べられるときに食べれば良いでしょう。
体調が落ち着いてきたら、バランスの良い食事を心掛けましょう。
では、バランスの良い食事とはどのような食事なのか例を挙げながら見ていきましょう。
●主食(炭水化物)・・・ご飯、玄米、パン、麺類など
●主菜(タンパク質)・・・肉、魚、卵、大豆製品など
●副菜(ビタミン・ミネラル)・・・野菜、果物など
主食・主菜・副菜を揃えることを意識するとバランスの良い食事と言えるでしょう。
妊娠中の食事②適正なエネルギーを摂取しましょう
妊娠中の適切なエネルギーを知っていますか?
18~69歳の女性の推定エネルギー必要量(kcal/日)は、1700~2300kcalくらいになります。
妊婦さんの場合は、プラスでエネルギーを摂取する必要があります。
下記の表を参考にしてみましょう。
エネルギー必要量(kcal/日) | |
妊娠初期 | +50 |
妊娠中期 | +250 |
妊娠後期 | +450 |
授乳期 | +350 |
これをもとに、妊娠中は適切なエネルギーを摂取できるように心掛けると良いでしょう。
妊娠中の食事③塩分は控えめに
妊娠中に塩分を取りすぎると、むくみや高血圧にもつながってしまいます。
妊娠中に血圧が高いと、妊娠高血圧症候群とも呼ばれ、様々な合併症を引き起こしてしまうこともあります。
重症化すると機能障害の危険や赤ちゃんにも影響してしまうこともあります。
では、具体的な減塩法を紹介します。出来そうなものがあれば早速取り組んでみましょう。
- 減塩しょうゆ、減塩味噌などを使用する
- 外食は、味付けが濃く、塩分が高いのでなるべく避ける
- 塩分を排出する効果のあるカリウムを多く含んだ食品を積極的に食べる
- 料理に酢を利用する
- ラーメンやうどんの汁は飲まないようにする
4、糖分、油の多いものは控えめに、野菜たっぷりを心掛けましょう。
妊娠中に、食欲が増えたからといって、糖分や油の多いものをたくさん食べてしまうと、当たり前ですが肥満につながってしまいます。
妊娠中の肥満は、妊娠高血圧症候群や流産、早産、難産につながってしまう場合もあります。
妊娠中は体重のコントロールも重要です。
一般的に妊娠全期を通して、8〜10㎏の体重増加が目標になります。
赤ちゃんの発育を守るためにもバランス良く、野菜もたくさん食べましょう。
また、妊娠時には便秘で悩まされる方も多いでしょう。
そんなときにも野菜で食物繊維をしっかり摂ることが重要です。
生野菜のサラダなどは、加熱による栄養の損失はないですが、量があまり食べられないことや身体を冷やしてしまうことにもつながるので、蒸し野菜や野菜たっぷりのスープ、具沢山味噌汁がおすすめです。
妊娠中に大切な栄養素とは?
妊娠中に大切な栄養素は、多々ありますが、その中でも特に重要な3つの栄養素を紹介します。
1、葉酸
妊活~妊娠中、授乳中には、ビタミンの一つである葉酸をしっかり摂取しましょう。
妊娠中に葉酸を摂るメリットは大きく分けて3つあります。
①赤ちゃんの脳や脊椎の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを下げる。
②葉酸は、赤血球を作り出す働きもあるので、貧血を防ぐことができる。
③遺伝子情報を持っている核酸を作り出す働きがあるため、胎児の成長に必要。
また、食事のみだと摂取量が足りない場合や調理法などによっては吸収率も下がってしまうので、サプリメントや栄養補助食品との併用がおすすめです。
ただし、サプリメントだけに頼るのではなく、食事からも摂取できるように心掛けましょう。
詳しく見てみると、葉酸の妊婦付加量は、+200~240μgです。
18歳以上の女性で、240μgが推奨量なので、妊娠時は普段の2倍とらなければいけません。
食品とサプリメントを上手に利用しましょう。
2、鉄分
赤ちゃんが大きくなるにつれて、血液もどんどん必要になります。
鉄が不足すると、体調を崩しやすくなってしまいます。貧血の原因にもなります。
鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄を摂取する方が吸収率が良いですが、バランス良く摂取すると良いでしょう。
●ヘム鉄・・・動物性食品(まぐろ、かつお、レバー、赤身牛肉、卵など)
●非ヘム鉄・・・植物性食品(ほうれんそう、小松菜、ひじき、玄米など)
鉄分も妊婦さんの場合は食事だけで摂取するのは難しいです。
サプリメントの併用が良いでしょう。
具体的には、初期+2.5mg、中期・後期+12.5~15.0mgになります。
18歳以上の月経ありの女性で、8.5~9.0mgなので、後期は妊娠前より2倍近くとらなければいけないことになります。
鉄分も食品とサプリメントから上手に摂取しましょう。
3、たんぱく質
タンパク質は、血液や筋肉など身体の様々な部分を作るために必要な栄養素なので、十分に摂取しましょう。
タンパク質の付加量(g/日)は、初期+0g、中期+5g、後期+25gになります。
特に妊娠後期は、もっとも体重が増加する時期なので、良質なタンパク質を積極的に摂取できるようにしましょう。
良質なタンパク質は、体内で作り出すことの出来ない9種類のアミノ酸がバランスよく含まれたタンパク質のことで、大豆、卵、牛乳、肉類、魚類などがあります。
3食しっかりタンパク質の食品を取り入れましょう。
間食でおすすめしたいのが、アーモンドフィッシュです。
1度は、食べたことがあるのではないでしょうか?
煮干しは、タンパク質、カルシウム、鉄分、DHA・EPAが豊富です。
アーモンドも栄養価が高く、良い脂質のオレイン酸や血液のめぐりを良くするビタミンE、その他にもミネラル・ビタミンなど含まれます。
また、ビタミンEは、女性ホルモンを活性化させる作用もあります。
妊娠継続のサポートにも効果のある栄養素です。
ただし、アーモンドフィッシュはカロリーも高いので、1日20gを目安にしましょう。20gで、約100kcal、タンパク質約7~8gです。
妊娠超初期と妊娠初期に、おすすめの食べ物
妊娠極初期は、妊娠0~4週目のことを指し、症状の出ることも少なく、まだ気付いていない方がほとんどです。
妊娠初期は、5週目~15週目のことを指し、この頃はつわりが現れてきたり、生理が遅れたりして、妊娠が判明する時期です。
では、おすすめの食ベ物を紹介します。
1.えだまめ
手軽に食べられ、葉酸が多く含まれています。
他にも良質なタンパク質やビタミンB₁、ビタミンE、食物繊維なども含まれています。食欲のない時にも良いでしょう。
2.ブロッコリー
葉酸やビタミンC、カリウム、ビタミンKなどが特に多く含まれています。
3.ほうれんそう
葉酸、鉄分、カリウム、カルシウム、ビタミンCなど重要な栄養が多く含まれています。
⒋アボカド
葉酸、鉄、カリウム、ビタミンE、ビタミンB群などが豊富で非常に栄養価の高い食品です。
ただし、カロリーや脂質が多いので食べ過ぎないように注意が必要です。
⒌いちご
手軽に食べられる葉酸の多い果物です。
ヨーグルトに混ぜて食べれば、タンパク質やカルシウムも摂取できるのでおすすめです。
6.バナナ
ビタミンB₆が含まれており、つわりに良いとされる栄養素です。自律神経に作用したり、栄養豊富なので、嘔吐によって失われたものを補給するためにも最適です。
7.シリアル、フルーツグラノーラ
鉄分などのミネラル、葉酸などのビタミンをしっかり含んでいるので朝食や間食、食欲のない時にもおすすめです。牛乳や豆乳をかければ、タンパク質などの栄養価もUPします。
妊娠中期におすすめの食べ物
妊娠中期に入ると、体調も安定してくる場合も多いので、バランスの良い食事をしっかり心掛けましょう。
食欲も出てきて、食べすぎてしまうこともあるので、甘いお菓子等は避けるようにしましょう。
炭水化物ばかりで、妊婦の付加エネルギーを補うのではなく、タンパク質や野菜のおかずで補うようにしましょう。
では、中期におすすめの食品を紹介します。
1.鮭
DHAやEPAも豊富で、良質なタンパク質を摂取することができます。
美肌サポートやシミ対策にも効果的なアスタキサンチンという赤い色素成分も含まれています。
2.納豆
納豆は、植物性タンパク質、ビタミンK、大豆イソフラボンなどが含まれています。
中期・後期の付加エネルギーが必要な時期には、プラスの副菜にもぴったりです。
3.生姜
身体を温める効果もあるので、妊娠中に積極的に摂取したい食品です。
生姜紅茶や生姜ココアなどを作ってみてはいかがでしょうか。
妊娠後期におすすめの食べ物
妊娠後期は、むくみやすくなったり、妊娠高血圧症候群にもなりやすくなるので、塩分控えめ、お菓子を控え、バランスの良い食事を心掛けましょう。
妊娠後期におすすめの食べ物を紹介します。
1.玄米や胚芽米
便秘予防に効果のある食物繊維や糖質の代謝をサポートするビタミンB₁などが白米よりも多く含まれるので、毎日のご飯の代わりにするとよりバランスの良い食事になります。
2.ひじきやのり、わかめなどの海藻
海藻は、食物繊維や鉄分、カルシウム、ビタミンCなどが豊富に含まれているので、日々の食事に取り入れると良いでしょう。低カロリーなのも嬉しいですね。
3.ヨーグルト
タンパク質、カルシウムを補えるので、お菓子の代わりにヨーグルトを食べるようにすると良いでしょう。
4.あさり
鉄分、ビタミンB12、亜鉛などが含まれています。貝類は、食中毒の危険も高いので、しっかり加熱して、食べるようにしましょう。
妊娠中に食べない方がいいもの
妊娠中は、以下のものを避けるようにしましょう。
食べない方がいいもの1.アルコール
飲酒は、赤ちゃんへ影響し、発育障害や神経障害などを引き起こす恐れがあります。
食べない方がいいもの2.カフェインの含まれる飲み物
カフェインは、赤ちゃんの発育に影響を与えてしまうので、摂取しすぎに注意しましょう。
コーヒーなら1日に1杯程度まで、緑茶は3杯程度、紅茶は2杯程度にしとくのが良いでしょう。
栄養ドリンクなどにも含まれているので、注意しましょう。
食べない方がいいもの3.水銀の含まれるもの
魚には、水銀を含むものがあります。水銀は、赤ちゃんの発達に影響を与えてしまいます。
次のお魚の種類と量を注意して食べましょう。
・ミナミマグロ(インドマグロ)、マカジキ、キダイなど・・・1回80gを週2回まで
・キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチなど・・・1回80gを週1回まで
食べてもいい魚
※キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、鮭、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは特に注意が必要ではないので、毎日の食事に取り入れましょう。
4.リステリア菌
妊娠中は、リステリア菌に感染しやすくなります。
胎盤を通して赤ちゃんに影響が出ることもあるので、生ものは避け、火を通して食べるようにしましょう。
(生肉、生魚、生卵、ナチュラルチーズ、生ハム)
また、その他の食中毒にも注意するため、調理前や食事前にはしっかり手を洗い、肉や魚を調理する際にも注意しましょう。
5.ビタミンAの多い食品
ビタミンAを妊婦さんが摂りすぎると、赤ちゃんに先天異常が起こる可能性があるので、量や頻度には注意が必要です。
ビタミンAを含むサプリメントやビタミンAの多いレバー、うなぎなどの食品の量には特に注意しましょう。
※野菜などに含まれるビタミンAである、β-カロテンは問題ありません。
6.糖分や塩分の高いもの
清涼飲料水、砂糖漬けの果物缶は、糖分が多く含まれているため、避けた方が良いでしょう。
甘いお菓子なども頻繁に食べるのは避けましょう。
ファストフードや外食などは、味付けが濃いものが多く、塩分の過剰摂取になってしまうので、注意しましょう。
アレルギーの原因にも?!「異種タンパク質」に注意!
人間のタンパク質と、組成の異なった他の動物のタンパク質のことを異種タンパク質と言います。
実は私たちの栄養は異種タンパク質から摂っています。
毎日同じ異種タンパク質を過剰摂取すると、アレルギーの原因にもつながってしまいます。
特に、牛乳や卵はアレルギーが出やすい食品なので、毎日多量に摂取することは避けましょう。
ただしタンパク質は、妊娠中に付加量もあるように、赤ちゃんの成長にとても重要な栄養素です。
なので、同じタンパク質ばかりではなく、毎食偏らないように摂取すると良いです。
肉、魚、豆腐、卵、乳製品などをローテーションで摂取していけると良いですね。
毎日同じタンパク質だけよりもいろいろな種類からタンパク質を摂取することで、栄養学的にもアレルギー予防にも良いでしょう。
葉酸サプリメントで栄養を補給しよう
葉酸は、食品だけでは不足してしまいます。
葉酸サプリメントを併用して使用すると良いでしょう。
医師からも推奨されています。
では、サプリメントを選ぶポイントを紹介します。
葉酸サプリメントのおすすめ①無添加なもの
保存料や香料、甘味料などの添加物が含まれていないものが安心・安全に、毎日飲めます。
葉酸サプリメントのおすすめ②栄養の配合バランス
葉酸以外にも、鉄分、亜鉛、ビタミンB₆、B₂、B12、ビタミンCなども含まれているものを選ぶと葉酸の吸収と代謝のサポートになるでしょう。
成分表示や栄養素の種類なども確認すると良いでしょう。
葉酸サプリメントのおすすめ③飲みやすいもの
毎日続けて飲むものなので、小さい錠剤で、匂いや味のないものが良いでしょう。
まとめ【栄養を摂って元気な赤ちゃんを産みましょう】
妊娠中は、お腹の中の赤ちゃんへ栄養を届けるために、バランスの良い食事が大切です。
しかし、身体の変化に伴い、食べられなくなったり、食べ過ぎてしまったりと食欲の変化や味覚の変化が見られることが多いでしょう。
そんなときは無理をせず、体調が悪い時は、自分が食べやすいものを食べましょう。
体調が良いときには、好きな物をたくさん食べるのではなく、バランスの良い食事を心掛けていくことが大切です。
また、食事に気を付けすぎてストレスになってしまうのは、妊婦さんにも赤ちゃんにも良くないので、神経質になりすぎないようにしましょう。
妊娠を機会に、自分の食生活を見つめ直し、ストレスを溜めない程度に、食生活の改善につなげていけると良いですね。
出産後、お母さんが元気に子育てしていくためにもバランスの良い食事が習慣になっていることはとても良いことです。
この記事を読んでくださった妊婦さんみなさんから、元気な赤ちゃんが産まれること楽しみにしています。