トキソプラズマを心配しすぎ?日本の感染率と症状・検査・予防法を教えます。
妊娠中の人は、赤ちゃんが元気に生まれて欲しいと願っていると思います。
気をつけないといけないことが沢山あって大変だと思います。
妊婦さんはトキソプラズマにも注意しないといけません。
今回はトキソプラズマの予防法について解説していきますね。
トキソプラズマとは
感染症の1種であり、トキソプラズマと呼ばれる原虫によって引き起こされます。
原虫は、オス・メスがなくても増殖してしまいます。(無性生殖)
もちろんオス・メスがいると更に増えます(有性生殖)
ですから世界の1/3は人はトキソプラズマが身体の中にいると言われています。
妊婦さんが感染すると胎児に影響をありますので注意が必要です。
トキソプラズマは猫のフンから移りやすいです。
また様々な動物や生肉から感染する可能性があります。
しかし、トキソプラズマの正しい知識を持っていればあまり怖い感染症でないことも確かです。
トキソプラズマの感染ルート
トキソプラズマは
土中にいる病原体
↓
鳥やネズミなどの小動物に入る
↓
猫や家畜の体に入る
↓
私たちの体に入り感染します。
トキソプラズマの感染ルート①猫
猫が野生の鳥や土中に含まれるトキソプラズマの1つである、「オーシスト」というものを体内に取り込みます。
↓
「オーシスト」が猫のフンや手足に付着してしまいます。
↓
人間が触ってしまい感染してします。
トキソプラズマの感染ルート②生肉
トキソプラズマは生の肉から感染します。
●鶏
●生ハム
●お刺身
●馬刺し
●牛肉:芯まで火が通っているウェルダンならOKです。
※ローストビーフやミディアム・レアはやめましょう。
トキソプラズマの感染ルート③土
トキソプラズマは眼や鼻の粘膜や外傷(擦り傷・切り傷など)から感染します。
- 猫とのキス
- 猫のトイレ掃除
- 土いじり
はしない方がいいでしょう。
ねずみなどが夜間に徘徊しているので
●ガーデンニング
●ベンチ
●公園
なども感染の可能性が高まるので注意しましょう。
※トキソプラズマの抗体を持っている人は大丈夫です。
トキソプラズマを心配しすぎ?誤解して伝わっていること
トキソプラズマは重症化すると大変怖い病気です。
また、「猫からの感染!」という認識が大変多いので、妊婦の方は猫に対して大変な恐怖心があります。
しかし、以下のことを忘れないようにしましょう。
●家の中で生まれた猫を飼い猫として室内飼いしている場合には、トキソプラズマを持っている可能性は低い。
●猫を幼いころから飼育している方は、ほとんどが抗体を持っているので、心配しなくてもいい。
●猫からの感染において重症化するのは、妊婦の方で猫に触れたことのない初感染の方のみ。
●妊娠する前に抗体を持っているかどうか調べられる。
●抗体を持っていなくても予防方法をちゃんと守ればそこまで心配することはない
●唾液や涙などの飛沫から感染することなない。
●感染したものに手などで触れて感染することはない。
犬は?牛肉(ローストビーフ)は大丈夫?
食肉にはトキソプラズマが含まれている可能性があります。
しかしフンに含まれているのは猫だけです。犬のフンにはありません。
また、生肉なども食べない方がいいでしょう。
シーフード(いくら、サーモン)からのトキソプラズマの感染に関してだけ言えば、ありません。
しかし、妊娠中は免疫力が下がっている状態なので、食べない方がいいでしょう。
トキソプラズマの症状
一般的に健康な人であれば、症状は軽い風邪程度です。
1週間ほどで改善してしまいます。
また、その後は抗体ができるので、トキソプラズマには感染しなくなります。
トキソプラズマの日本での感染率
0.13%〜0.25% と海外に比べても少ないです。なので感染はとても少ないと言っていいでしょう。
ママの症状は少ない
母子感染の場合、妊娠中にリンパ腺の腫れや軽い風邪のような症状が出ます。
しかし全く症状を感じない方もいらっしゃいます。
妊婦さんとって、これと言った特徴的なサインはありません。リンパ腺の腫れ程度の症状だけです。
胎児(お腹の赤ちゃん)への症状・影響
胎内死亡、流産などが多いです。
正常な発育途中で胎盤を介して胎児に垂直感染(親から子へ感染する感染様式)を起こすことがあります。
新生児への症状
赤ちゃんへの感染は母親の胎盤を経由して感染します。
赤ちゃんが感染すると、先天性トキソプラズマ症候群といわれる感染症を発症します。
トキソプラズマ感染症とは
胎児へのトキソプラズマ感染症は次の症状が多くみられます
- 網脈絡膜炎
- 小眼球症
- 水頭症(頭に体液が溜まり脳を圧迫する)
- 小頭症(脳のサイズが小さくなる)
- 脳内石灰化像
- 脾腫(脾臓が肥大する)
- 脳室異常
- 胎児発育障害
- 肝臓肥大
など。
潜伏期間
トキソプラズマ感染症の怖いところは、必ず脳に影響が出ることです。
また出産時は正常であっても、成人時までに何らかの障害が発症している人も稀にいます(年間約0.05%)。
トキソプラズマの検査の方法
検査はその陽性反応の度合いにより、大きく3段階に分かれます。
①妊娠前に抗体検査で陽性が出れば、それで検査は終わりです。
②妊娠中に陽性が出た場合にはそれが初感染でないことを確かめなくてはいけないので、3回検査を行うことになります。
抗体検査⇒トキソプラズマIgM抗体検査⇒ トキソプラズマIgG Avidity検査
妊娠中に陽性反応が出た場合には
「妊娠してからの感染でできた初感染抗体」か「妊娠前にできた抗体」か判定できません。
ですからトキソプラズマIgM抗体検査⇒IgG Avidity検査を行います。
妊娠前にできた抗体だと分かれば問題ありません。赤ちゃんも安心です。
生まれてきた子どもの検査方法
トキソプラズマ感染症にかかっているかどうかを調べる場合には、頭部CT、MRI、眼底検査など必要に応じて行っていきます。
トキソプラズマの治療
トキソプラズマ症の治療では、アセチルスピラマイシンなどの治療薬を使用します。
特に妊娠中に初感染が認められた場合には、速やかに治療を始めます。
トキソプラズマの予防方法
トキソプラズマの予防方法は簡単です。
妊娠前に抗体検査をしておくことと、妊娠中は生肉や生ハムなどは避けることでトキソプラズマを予防できます。
妊娠は10か月間だけなので、その間はできるだけ生モノを避けて生活しましょう。
火を通してある場合の食べ物は(生焼けは別です)、安全です。以下のことを気を付けて生活しましょう。
●肉はよく火を通す:ステーキもウェルダンで、芯まで火が通るようにしましょう。
●果物・野菜は良く洗う。
●肉・野菜に触ったら。
①手にケガがある場合⇒手袋をして触る。
②手にけがなどない場合⇒石鹸で触った後直ぐに洗う。
●動物への接し方:抗体が無い方はできるだけ猫を触らないようにする。
抗体がある方でも他の病気も感染しやすいので、石鹸で手を洗いましょう。
●ガーデニング:ガーデニング用グローブは絶対に装着して行いましょう。
●畑仕事は妊娠中はケガなどしないよう気を付けましょう。
ワクチンはありません
ワクチンは現在開発されていません。
しかし、予防できる感染症なのであまり心配しすぎないようにしましょう。
そして自分でできる予防は行いましょう。
気をつけること【まとめ】
トキソプラズマは妊娠中の方にとっては恐ろしい病原菌です。
猫や生肉から感染するため猫を飼っている方は大変悩まれます。
また妊娠中の感染は胎児にも感染する恐れがあり、トキソプラズマ感染症という重篤な症状を引き起こしかねません。
しかしトキソプラズマは多くの人が妊娠以前に抗体を持っていることも多く、感染しない方が圧倒的に多いです。
さらに生肉を妊娠中は控えること。
ガーデニングの際にはグローブをはめるなどの予防だけで簡単に防げる感染症です。
不安にならずまずはトキソプラズマがどのようなものなのか知ることが大切です。