妊婦さんに必要な「葉酸」とは？

葉酸は、ビタミンB群の一種の水溶性ビタミンです。

ほうれん草や菜の花といった葉物野菜に多く含まれるため、このような名がつけられています。

葉酸は、胎児の正常な成長に欠かせない栄養素であるため、特に妊娠初期の摂取が重要です。

葉酸の働きについて

葉酸には、「細胞の生産・再生を助ける働き」と「血液をつくる働き」があります。

それぞれの働きについて、詳しく見ていきましょう。

葉酸の働き①細胞の生産・再生を助ける

葉酸は、DNA・RNAなどの核酸やタンパク質を合成し、細胞の生産・再生を助ける働きをします。

私たちの体では日々、細胞分裂が行われており、健康な体を維持するためには葉酸をしっかりと摂取する必要があるのです。

胎児の時期には特に細胞分裂が活発となっており、葉酸の消費量が多いため、妊婦さんは十分な量の葉酸摂取が欠かせません。

葉酸の働き②血液をつくる

葉酸は、細胞の生産や再生を助けることに加え、ビタミンB12とともに赤血球を作り出す働きもします。

そのため、葉酸は「造血のビタミン」とも呼ばれ、貧血予防のためにも摂取するべきです。

妊婦さんの体では、胎児を形成するためにより多くの血液が必要となるため、造血に関与する葉酸が不足しないように注意する必要があります。

妊婦さんの葉酸欠乏で起こる胎児の奇形と病気

妊婦さんの葉酸摂取が不足すると、「神経管閉鎖障害」や「ダウン症」といった胎児の奇形・病気を発症する恐れがあります。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

神経管閉鎖障害（無脳症と二分脊椎）

神経管閉鎖障害とは、赤ちゃんの脳や脊髄のもととなる神経管が形成不全となることによって起こる障害です。

神経管閉鎖障害には、脳がうまくつくられない「無脳症」と、脊椎がうまくつくられない「二分脊椎症」の2つがあります。

無脳症では脳が成長しない状態となり、死産となる可能性が非常に高いです。

また二分脊椎症では、障害が起きた部位から下の運動能力・知覚がなくなったり、排泄障害を起こしたりします。

ダウン症

ダウン症は染色体の突然変異によって起こるもので、筋肉の緊張低下や成長障害などが見られます。
また、心疾患などを伴うことも多いです。

葉酸欠乏によって起こる病気

葉酸が欠乏すると、胎児における神経管閉鎖障害やダウン症以外にも、以下のような病気や状態が起こることが考えられます。

・葉酸欠乏性貧血
・消化器官の機能低下(→体重減少)
・免疫力の低下(→感染症にかかりやすくなる)
・つわりの悪化
・うつ症状
・悪性貧血(ビタミンB12と葉酸の欠乏によって起こる)
・巨赤芽球性貧血
・動脈硬化
・認知症

葉酸はつわりにもいいの？

葉酸は、つわり緩和にもよい効果をもたらします。

吐き気を抑えるなどの直接的な働きはありませんが、葉酸を十分に摂ることで血液がスムーズに作られるようになり、血流がよくなって自律神経が整えられます。

自律神経の乱れは、つわり悪化の原因の一つと言われています。
そのため、しっかりと葉酸を摂ることは、つわり緩和にも効果的です。

葉酸摂取はいつからいつまで？

葉酸摂取は、妊活中から産後まで必要となります。

妊娠中だけでなく、その前後もしっかりと摂取するべきなのです。
妊娠前・妊娠中・産後、それぞれの時期の摂取について詳しく見ていきましょう。

妊娠前から必要！？

妊娠が発覚してから葉酸を摂り始める方も多くいらっしゃいますが、胎児の先天性障害のリスクを減らすには妊娠前から摂取が必要となります。

妊娠に気づいていない可能性のある妊娠6週目ごろには赤ちゃんの脳や神経はほぼできあがってしまっているため、妊娠発覚前の段階で十分な量を摂取できていないと発育に影響が出てくる恐れがあります。

いつ妊娠してもいいように、葉酸は妊活中から摂取するようにしましょう。

男性も葉酸を摂りましょう。

葉酸は、女性だけでなく男性も摂取するべきです。

男性の葉酸不足では、精子のDNAに異常が起こる可能性があるとされています。

そのため、胎児の先天性障害のリスクが高まったり、妊娠する確率が低くなったりすることが考えられます。

妊活中には、夫婦で一緒に葉酸を摂取するようにしましょう。

妊娠初期も大切！

妊活中の葉酸摂取と同じくらい大切なのが、妊娠初期の葉酸摂取です。

妊娠中期や妊娠後期も、通常より多くの葉酸を摂取する必要がありますが、妊娠初期は特に、赤ちゃんの器官形成が著しい時期であるため、中期・後期よりも付加量が多くなっています。

産後も摂取しよう

葉酸は、妊活中や妊娠中だけでなく、産後にも摂るべきです。

出産後の体は、かなり体力が低下した状態となっており、細胞づくりや血液づくりのサポートをする葉酸が通常よりも多く必要となります。

また、赤ちゃんに与える母乳はお母さんの血液からつくられるものであるため、赤ちゃんに良質な栄養を与えるためにも、産後まで葉酸摂取を意識するようにしましょう。

男性は妊活3ヶ月前から

男性は、女性が妊娠する3ヶ月前から、十分な量が摂取できている状態が望ましいでしょう。

理由は、摂取した栄養が精子へ影響されるまでに3ヶ月程度の時間がかかるためです。
女性よりも男性の方が早くから、葉酸の摂取を意識するべきだと言えます。

葉酸の摂取量は？

妊活中〜産後までのそれぞれの時期において、摂取が必要となる葉酸の量をチェックしておきましょう。

時期別に、厚生労働省が推奨している葉酸の摂取量を以下に示しました。

通常 妊活中 妊娠初期 妊娠中期 妊娠後期 産後
食品からの摂取 240μg 240μg 240μg 240μg 240μg 240μg
サプリメントからの摂取 – 400μg 400μg 240μg 240μg 100μg

葉酸の摂取量は、妊活中・妊娠初期が最も多く必要となり、通常と比べて2.6倍もの量となっていることがわかりますね。

妊活中〜産後では、食品のみからの十分な量の葉酸を摂取することは難しいため、サプリメント(栄養補助食品)を活用することが勧められています。

摂りすぎにも注意

葉酸は妊活中や妊娠中に十分な量を摂取するべきとされる一方で、摂りすぎにも配慮する必要があります。

葉酸を過剰摂取すると、食欲不振や不眠症、むくみ、吐き気といった副作用が出かねません。

サプリメントを活用する場合には特に注意して、1日あたり1mg（1000μg）を超えないようしましょう。

葉酸が豊富な食べ物

サプリメントを活用する前に、まずは食品から葉酸を摂取するようにしましょう。

葉酸を豊富に含む食べ物について、100gあたりの葉酸の量と葉酸240μgの目安となる量を以下の表にまとめました。

食品名 100gあたりの葉酸の量 葉酸240μgの目安
焼き海苔 1900μg 7枚
枝豆(ゆで) 260μg 25房
芽キャベツ(ゆで) 220μg 7個
菜の花(ゆで) 190μg 1/2束強
アスパラガス(ゆで) 180μg 太いもの6本
ブロッコリー(ゆで) 120μg 小分け7房
サニーレタス 120μg 外葉10枚
納豆 120μg 6パック
オクラ 110μg 10本
ほうれん草(ゆで) 110μg 1/2束
ライチ 100μg 12個
いちご 90μg 2パック
とうもろこし(ゆで) 86μg 1本
小松菜(ゆで) 86μg 1束
アボカド 84μg 1＋1/2個
マンゴー 84μg 3個
かぼちゃ(ゆで) 75μg 1/4個強
キャベツ(ゆで) 48μg 中10葉
キウイ 36μg 6個

葉酸は緑黄食野菜や果物に比較的多く含まれていることがわかりますね。

葉酸を多く含む食べ物として、これら以外にもレバーがよく知られています。

ただ、レバーにはビタミンAが非常に豊富で、摂りすぎると胎児の先天性障害のリスクが上がるとされているため、葉酸の含有量が高くても注意が必要となる食品です。

葉酸を多く摂るための調理法

葉酸は水に溶けやすい水溶性ビタミンであり、調理することによって熱によって破壊されたり、流れ出てしまったりすること考えられます。

そのため、葉酸が豊富な食べ物は、生の状態で食べるサラダや流出した分もしっかりと摂取できるスープなどの料理にして食べるのがおすすめです。

葉酸サプリメントを選ぶポイント

妊活中や妊娠中に十分な量の葉酸を摂取するには、葉酸サプリメントを活用する必要があります。

葉酸サプリメントは多くの種類が販売されていて、どれにしようか迷ってしまうことも少なくありません。
そこで、葉酸サプリメントを選ぶポイントを4つ、ご紹介していきます。

・安全性の高さ
・販売元の明記
・モノグルタミン酸型の葉酸配合
・妊婦さんに必要な栄養素の配合

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

GMP認定工場製品マークがある

妊活中や妊娠中に摂取する葉酸サプリメントは赤ちゃんの体に影響するものであるため、安全性が高いものを選ぶようにしましょう。

具体的には、保存料・香料・着色料などの添加物が無添加、放射能試験・残留農薬試験・トランス脂肪酸試験クリアなどの記載があるものを選ぶのがおすすめです。

また、「GMP認定工場製品マーク」が貼付されているかどうかも確認してみてください。

GMP認定工場製品マークとは、医薬品レベルのサプリメント製造が可能な、国内の工場で生産されたことが保証された商品にのみ付与することができるマークです。

販売元の明記

葉酸サプリメントを取り扱っているメーカーは非常に多く、中にはホームページが見つからなかったり、実績を公表していなかったりといった販売元が明確でない商品もあります。

信頼できる販売元であるかどうかをきちんと確認した上で、葉酸サプリメントを購入するようにしましょう。

モノグルタミン酸型の葉酸配合

モノグルタミン酸型の葉酸とは、人工的に作られた葉酸ことです。

「人工的」と聞くと、体に悪いイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、モノグルタミン酸型葉酸は食品から摂取できる葉酸よりも熱に強く、吸収率が高くなっています。

そのため、厚生労働省は妊娠3ヶ月まで、食事から葉酸を摂ることに加え、モノグルタミン酸型葉酸を含むサプリメント(栄養補助食品)を摂取することを勧めています。

葉酸サプリメント購入の際には、モノグルタミン酸型の葉酸であることが記載されているかどうか、確認してみてください。

妊婦さんに必要な栄養素の配合

葉酸サプリメントは、葉酸以外にも妊婦さんに必要となる栄養素が配合されているものが理想的です。

鉄やカルシウムは摂取不足になりやすい栄養素ですし、ビタミンB1やビタミンB2は通常時に比べて必要量が高まります。

また、ビタミンB6はアミノ酸代謝をスムーズにしてつわりを軽減する作用があると言われています。

このようなビタミンやミネラルが配合されているかどうかも、確認するとよいでしょう。

妊娠中・妊活中におすすめの葉酸サプリメント5選

妊娠中や妊活中におすすめの葉酸サプリメントを5つ、ご紹介していきます。

ママニック

ママニックは、使用されている成分や野菜の産地、最終加工国まで全て開示されているため、安心安全に摂取することが可能です。

葉酸は、妊活中・妊娠中にサプリメントから摂取するべき400μgがモノグルタミン酸型で配合されています。

ビタミンやミネラル、アミノ酸といった23種類の栄養素もバランスよく配合されていて、妊婦さんの体に必要な栄養素をしっかりと補うことができる点も非常にありがたいです。

さらに、ヒアルロン酸や乳酸菌、黒酢もろみ、ざくろ果実といった8種類の美容成分も厳選配合。

もちろん、妊婦さんの体には悪影響を及ぼさないものばかりで、しっかりと体のコンディションを整えてくれます。

5種類以上の添加物が使用されておらず、また国内のGMP認定工場で製造されている点や残留農薬・放射能・トランス脂肪酸試験をパスしている点からも、安全性の高い葉酸サプリメントだと言えます。

ベルタ葉酸

ベルタ葉酸には、妊活中・妊娠中に摂取するべき葉酸が400μg、モノグルタミン酸型で配合されています。

また、27種類のビタミン・ミネラルと20種類のアミノ酸配合で、妊婦さんに必要なあらゆる栄養素をしっかりと摂取できるのが嬉しいポイント。

さらに、ヒアルロン酸や黒酢もろみなどの、妊婦さんの体に害を及す恐れのない優しい美容成分も配合されています。

安全性に関しても、残留農薬試験や放射能試験クリア、そして、香料・着色料・光沢剤・苦味剤・防カビ剤・膨張剤など6種類の添加物が無添加となっており、安心して摂取することができます。

mitete

化粧品や健康食品を製造販売しているAFCが開発したサプリメントです。

妊活中・妊娠中に摂取するべき400μgのグルタミン酸型葉酸が配合されています。

小さめの錠剤となっていたり、においを抑えるコーティングがされていたりと飲みやすさにこだわってつくられています。

また、原材料をすべて公開していたり、GMP認定工場製造マーク取得を取得していたり、放射性セシウム試験をパスしていたりするため、安心安全に摂取することが可能です。

エレビット

エレビットは全国2800ヶ所以上の医療機関で取り扱いがあり、薬局等で購入しやすいのが嬉しいポイント。

葉酸は、グルタミン酸型で800μgも配合されており、通常の葉酸サプリメントの約2倍の配合量となっています。

成分含量はバイエル製薬と食品添加物法が策定したガイドラインに基づいて徹底管理されており、確かな品質のサプリメントです。

また、GMP認定工場製品マークの取得や残留農薬試験・放射能試験・アレルギー試験クリアで安全性も保証されています。

はぐくみ葉酸

はぐくみ葉酸は販売歴が長い葉酸サプリメントで、比較的知名度が高いです。

葉酸は有機認証を受けたオーガニックレモンが原料となっており、グルタミン酸型で500μg配合。

通常の葉酸サプリメントより100μg多く摂取することができます。

ビタミンやミネラルといった栄養素も20種類以上配合されており、妊婦さんの体に必要な栄養を十分に補うことが可能です。

GMP認定工場製品マークの取得や非遺伝子組み換え、アレルゲンフリーといった点から、安全性も高いと言えます。

葉酸を摂るときはカフェインやタンニンは少なめに！

葉酸を摂る際には、カフェインやタンニンの摂取に注意が必要です。

カフェインには利尿作用があり、カフェインを摂ることで葉酸をはじめとする妊婦さんの体に必要な栄養素が体外へ流れ出てしまいまいます。

また、タンニンには葉酸の吸収を阻害する働きがあり、多く摂取すると、十分に葉酸を摂っていたとしても葉酸不足となってしまう恐れがあります。

カフェインやタンニンは、緑茶や紅茶、コーヒーなどの飲み物に豊富です。

葉酸サプリメントを摂取する際には特に、これらの飲み物ではなく水で摂取するようにしましょう。

まとめ

今回は、妊娠初期に必要な葉酸について、詳しくお伝えしてきました。

元気な赤ちゃんを産むためには葉酸の摂取が欠かせないこと、妊娠中だけでなく妊活中や産後も摂取する必要があること、女性だけでなく男性にも葉酸が必要なことなどがお分りいただけたかと思います。

ただ、葉酸を飲まなかったからと言って、絶対に生まれてくる赤ちゃんが不健康になってしまうというわけではないです。

不安を感じすぎると、ストレスが大きくなって赤ちゃんを産むのに適した体を維持しづらくなってしまいます。

気づいたときから、今回ご紹介した葉酸が豊富な食べ物や葉酸サプリメントを活用して、必要となる量の葉酸をしっかりと摂取するようにしましょう。