多くの方が「脳トレーニング」=「頭を使うこと」、「難しく、頭を使う問題ほど、脳を鍛える効果が高い」と思っていませんか?
ですが、それは、間違いです。
確かに、計算やパズルを解くなど頭を使うことは、脳を刺激する脳トレーニング(いわゆる脳トレ)になります。
ですが、脳は、飽きやすく、慣れやすい!
だから、脳トレーニングを単純に繰り返し行っているだけでは、脳細胞同士の繋がりが良くなり、脳の働きが良くなる脳活性化は起こりません。
ましてや、なかなか解けない難しい難問に挑戦することは、脳が嫌気を感じてしまい、逆効果です。
では、いったいどうしたらいいのか?
どんな脳トレーニング(脳トレ)を行えば、脳が前頭葉が活性化するのでしょうか?
目次
脳の血流量を増加させるだけでは脳活性化は起こらない!
皆さんは、下のような写真を目にしたことはありませんか?
このような写真を目にして、「脳が活性化している!」「認知症予が予防できる!」と思ってしまったことありませんか?
本や雑誌などで、よく見かけるこのような写真は、脳が活性化している写真ではなく、単に、脳の血流量が増えていることを示しているだけの写真です。
脳の血流が増えると、脳の働きが良くなるのでは?と思うかも知れませんが、脳の血流が増えることと脳の働きが良くなることは、必ずしも一致しません。
確かに、脳の血流が増えると、脳にたくさんの酸素やエネルギー源となる糖分が運ばれます。
ですが、たくさんの酸素や糖分が運ばれてきたからといって、脳が一生懸命働くようになるわけではなく、一生懸命働く環境ができただけにすぎず、脳トレによっては、無駄にエネルギーや酸素を使っているだけになってしまうこともあります。
それに、脳の血流は、別に、計算問題を解いたり、漢字パズルを解いたり等、いわゆる脳トレを行わなくなくても、テレビを見たり、ゲームをしたり、家事をしたり、散歩したり等、生活の一環として普段何気なく行っていることでも増えます。
考えてみてください。
もし、脳血流アップが脳活性化、つまり、脳の働きが良くなるのであれば、認知症になる人なんていなくなるし、勉強さえすれば、みんな賢くなっていると思いませんか?
つまり、「脳の血流アップが脳を活性化させ、脳の働きを良くする!認知症を予防する!」と考えるのは、ちょっと飛躍しすぎです。
医学論文雑誌JAMA(2020年12月)によれば、運動やマインドフルネス瞑想を、物忘れなど年齢的な脳機能の衰えを感じている方を対象に運動とマインドフルネスを積極的に行う介入を6か月間行ったが、積極的に運動やマインドフルネス瞑想を行わなかった群と比較して、認知機能を改善させる効果は認められなかった!と発表されています。
脳を活性化させるには、ドーパミンやセロトニンが必要!
脳活性化とは、脳の神経細胞同士の繋がりが良くなることです。
脳は、約150億個の細胞の集まりで、1つ1つの細胞は、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質と呼ばれる物質を受け渡しすることで、情報をやり取りしています。
この情報伝達(脳の神経細胞同士の繋がり)が上手くいかなくなると、脳の働きは低下し、物忘れなどの認知機能の低下が起こってきます。
つまり、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が沢山分泌されることが、脳の神経細胞同士の繋がりを良くし、脳を活性化させます。
脳の老化やストレスによって、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が上手く分泌されなくなると、脳細胞同士の繋がりが悪くなります。
結果、脳の働きが悪くなり、覚えていたはずなのに忘れてしまっていた!ついウッカリ!などの物忘れやうっかりミス等が増えてきます。
「前頭葉の働きが悪くなるとどうなる?前頭葉機能低下症状と原因」
脳を活性化させるポイントは、懐かしい!楽しい!の感情
ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が増えると脳が活性化され、脳の働きが良くなるのですが、どうしたらドーパミンやセロトニンの分泌を増やすことができるのでしょうか?
その答えは、ずはり、「感情刺激」です。
もうすこし詳しく説明すると、「懐かしい!」「ワクワクする!」という感情が沸き起こると、脳の神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンが増えます。
ドーパミンやセロトニンには、海馬、偏桃体、前頭前野(前頭葉の一部)につながる報酬系回路を通じて、この3つの部位の神経細胞を活性化し、働きを高める作用があります。
海馬は、記憶の中枢で、記憶力の維持に関与しています。
偏桃体は、感情の中枢で、感情をコントロールしています。
前頭前野は、思考の中枢で、物事を考え、判断することに関与しています。
ドーパミンやセロトニンによって、これらの部位の働きが高まると、記憶力のアップ、不安感や憂鬱感などのマイナス感情の緩和、思考力や集中力のアップが期待できます。
つまり、脳の老化やストレスによる脳の働きの低下、主に前頭葉の働きの低下を改善させることが期待できます。
さらに、ドーパミンには、脳で唯一細胞が増える場所である「海馬」の神経細胞を増やす作用があると言われています。昔のことを思い出して「懐かしい!」と感じたり、旅行前に感じる「ワクワクする」気持ちは、ドーパミンの分泌を促し、脳(前頭葉)の働きを良くするだけでなく、海馬の神経細胞を増やす効果も期待できます。
実際、認知症の症状緩和やリハビリとして医療現場や介護施設で行われている回想法は、映像や写真を見せることで「懐かしい!」感情を沸き起こさせ、ドーパミン分泌を促し、衰えた脳機能の改善や破壊されたの脳神経細胞の再生を目的に行われています。
脳・前頭葉を活性化させるトレーニング
脳を活性化させるためには、ただ問題を解くだけでなく、感情刺激を伴う脳トレーニングを行い、ドーパミンやセロトニンの分泌を促す必要があります。
とは言っても、どのような脳トレーニングを行うといのか?分からない方も多いですよね。
そこで、ドーパミンやセロトニンの分泌を促し、脳(前頭葉)の働きの活性化が期待できる脳トレーニングを5つ紹介させていただきます。
昔経験したことを思い出させてくれる脳・前頭葉トレーニング
昔行った旅先、昔目にした風景、昔食べた食べ物など、懐かしさを感じさせることを題材にした脳トレは、ドーパミン分泌を促し、脳を活性化させてくれます。
文字や言葉だけでなく、イラストや写真などがあると、昔の記憶がよみがえりやすいので、より脳の働きが活性化される効果が高まります。
食べ物を題材にした脳・前頭葉トレーニング
食べものを紹介するテレビ番組や記事を読むと、気持ちが高ぶり、「美味しそう!」「食べてみたい!」となりませんか?
その気持ちの高ぶりこそ、ドーパミンが分泌されている証拠です。
定番家庭料理、日本全国の郷土料理など、グルメを題材にした脳トレは、ドーパミン分泌を促し、脳を活性化させます。
加えて、グルメ脳トレは、五感を刺激する作用もあるため、ドーパミンだけでなく、セロトニンの分泌も促してくれ、気持ちの安定やストレス緩和効果も期待できます。
季節を感じられる脳・前頭葉トレーニング
日本には、四季があります。
お正月や節分、ひな祭りや端午の節句、お月見やクリスマスなどの四季の行事、海水浴や潮干狩り、バーべーキューや花火、スキーや雪合戦など季節ごとの行楽など、季節感を感じることができる脳トレは、「ああ!もうそんな季節か?」「去年は、・・・だったな」などと記憶を思い出すきっかけになりますし、会話するきっかけにもなります。
過去の記憶を思い起こしたり、人と会話したりすることは、前頭葉を刺激し、前頭葉の働きを高め、ドーパミンやセロトニンの分泌を促します。
新しい知識を得る、新しい刺激を受ける脳・前頭葉トレーニング
行ったことのない海外の観光地や食べたことのないグルメ料理などを題材にした脳トレは、知らないから!解けないから!と敬遠されがちですが、今まで知らなかったことを知ることは、前頭葉の働きを良くする、活性化させる最高の刺激と言われています。
問題を解くではなく、新しいことを知ることで、前頭葉を刺激し、ドーパミンやセロトニンの分泌を促し、脳活性化を図ることができます。
五感を刺激する脳・前頭葉トレーニング
五感つまり味覚、視覚、聴覚、触覚、嗅覚を刺激する脳トレは、前頭葉におけるセロトニン分泌を促すと言われています。
たとえ、直接、体験していなくても、小川のせせらぎや鳥の鳴きごえを耳にすれば、聴覚が刺激されます。
美味しい食べ物の写真やイラストをみれば、味覚や嗅覚が刺激されます。
ゲームやアプリなどで、五感刺激する脳トレーニングを行うことは、セロトニン分泌が促され、前頭葉の働きを活性化させてくれます。
動画:院長制作の前頭葉を鍛える脳トレアプリ紹介(準備中)
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