【医師解説】前頭葉とは?前頭葉の場所、働き、機能、役割について

前頭葉って何?どこにあるの?働きは?と思っている方も多いはず。
そこで、今回は、前頭葉の基礎知識として、前頭葉の場所、機能、役割などについて説明していきます。

前頭葉は大脳の3ぶんの1を占める

人間の脳は、大脳、脳幹、小脳の3つで構成されており、大脳は、さらに、場所や役割から4つに分けることができます。

大脳の前3分の1の部分(医学的には中心溝より前側の部分)を前頭葉と言い、思考力の中心的役割を担います。

図1

前頭葉は、さらに、機能、役割から前頭前野、運動野、感覚野に分けることができます。

前頭葉の働き、機能、役割

大脳の前3分の1と、かなり大きな範囲を占める前頭葉ですが、どんな働きをしているのでしょうか?どんな機能や役割を担っているのでしょうか?
続いては、前頭葉の働きや機能、役割について具体的に説明していきます。

前頭葉は、物事を考える思考力の中心

思考力とは、物事を考える力のことです。
前頭葉は、目や耳などから入ってきた情報を集めて、次はどうしようか?どう行動しようか?と目的達成への筋道や過程を模索し、考える役割を担っています。

例えば、
・お腹が空いた時、何を食べようか?どこで食べようか?考える
・家事や仕事、勉強に取りかかるとき、何から始めるか?どういう順番で、手順で、こなしていくか?考える
などです。

前頭葉は、感情のコントロールセンター

本を読んだり、映画をみて感動したり、何かに好奇心を持ったり、これやってみたい!と意欲的になったり、ワクワクやトキメキを感じたりすることありますよね。

これら全て、前頭葉の働きによるものです。
前頭葉は、嬉しいとか悲しいとか、イライラする等の情動より、もっと複雑な心境、感情を表出する役割を担っています。

さらに、前頭葉は、些細なことでもイライラしたり、怒ったり、不安になりやすかったり、逆に、興奮し過ぎたりなど、過剰な情動を抑える働きもあります。

うつ病や不安障害などの心の病気では、前頭葉の感情をコントロールする機能が弱くなっているために、イライラしやすかったり、不安を感じやすかったり、気分が落ち込みやすいなどの症状が起こり持続すると言われています。

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前頭葉は、意思決定の中枢

スーパーで買い物をするとき、並べられている商品をみて、これがいいかな?こっちのほうがいいかな?と選びながら、かごのなかに入れていきますよね。

この複数の選択肢の中から1つを選んでいく行為を意思決定といい、これも前頭葉が中心となって指揮している働きの1つです。

前頭葉は、状況判断のスペシャリスト

車を運転する時、前方に意識を向けながらも、周囲に歩行者や自転車はいないか?飛び出してくる車はいないか?など周囲の状況にも気を配りながら運転しますよね。

さらには、料理。
たとえば、カレーライスを作ろうと思ったとき、おそらく多くの方が、野菜を切るなどカレーに入れる具材の下準備をし、煮込んでいる間に、お米を研いで、ご飯炊くという手順で効率良く料理されるのではないでしょうか?

こうした普段、当たり前に行っている行動は、全て、前頭葉の働きによるものです。

前頭葉が、今は、1つのことに集中するべきか、周囲の状況にも意識を分散させて注意を払うべきか判断します。

置かれている状況を判断しながら、今取るべき適切な行動を決定しています。

取るべき行動の優先順位をつけていくのも前頭葉の役割です。

魚を焼きながら、煮物をする。料理をしながら、洗濯物をたたむ。同時に頼まれた仕事を手際よく片付けていく等、2つ3つのことを同時に行うことってありますよね。

あらゆることに注意を払いながら、刻一刻と変わる状況を判断し、優先順位を決めつつ、行動しているからこそ、2つ3つのことが同時進行で行っていけます。

これは、まさに、前頭葉が判断力、計画力、集中力、注意力をフルに発揮、しっかり機能しているからこそできる業です。

発達障害では、前頭葉の未発達があるため、周囲の状況に合わせた行動がとれない、物事を上手く処理できずミスが多くなる、集中力が持続しないと言われています。

前頭葉は記憶の保持と処理に関与

記憶力というと、脳の海馬をイメージされる方も多いかと思いますが、前頭葉も記憶の保持と処理に関与しています。

しかも、前頭葉の記憶の保持と処理は、日常生活、仕事を行う上で欠くことのできない機能です。

どういうことか?というと、
仕事をしていると、パソコンで資料作成中に電話がなったり、
会議資料コピーして!◯◯に連絡しておいて!など次々と仕事を頼まれることってありますよね。

家庭でも、お風呂を掃除していたら、荷物が届き、受け取りを求められるなど、あることをしている最中に、別の対応しないといけないことが発生することってありますよね。

このように、次々と発生する対応しなければいけないことが起こったとき、前頭葉は、全てを記憶しつつも、終了した事は処理済みとして記憶から消していき、新たに発生した仕事があれば記憶していくといった記憶の保存と処理、消去を瞬時に行う役割を担っています。

前頭葉は歳を取ると老化し、働きが悪くなる!

説明した働き以外にも、新しいアイデア思いついたり、物事をひらめいたりする(創造力)、言葉を話したり、コミュニケーションをとったりする(コミュニケーション力、ブローカー言語中枢)など、さまざまな機能を持ち、役割を担っているのが前頭葉です。

そして、前頭葉が持つ機能、果たしている役割はどれも、生活していく上で欠かせないことばかりです。

ですが、前頭葉の働きは、困ったことに、歳を取るにつれて悪くなっていきます。
しかも、脳の中で、1番早く。

歳を取ると、物忘れしやすくなったり、ウッカリミスが増えたり、物や人の名前がなかなか出てこなかったりしますよね。

これら全て前頭葉の働きが悪くなったことが原因で起こっている脳の老化症状です。

こうした誰にでも起こる脳の老化による前頭葉の機能低下は、放置すると、歳を重ねる度に酷くなっていく場合もあります。

脳の老化を進行させないために、前頭葉の働きを維持するために、日頃から前頭葉を刺激し、鍛えておくことは必要不可欠です。

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